引きこもり魔導師は、お家に帰りたい!

翠月るるな

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叶わない願い

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 見たことのある景色だった。

 少し前に入ったばかりのスフラギト。だけど、目の前に広がるのは、まだ建物一つない荒廃した土地だけ。

 そこに魔導師たちがいる。あのおじいさんが、集まってる人たちに声をかけた。

「国王が我々にこの地を守れば、地位を与えると言った。我々なら出来るだろう。皆協力しようではないか」

 人々が喜びに似た声を出す。誰もが期待の表情をしていた。

 その中に、やはりあの姉妹もいた。荒廃した大地を耕し、建物を建てて、皆が忙しくする中で彼女たちも、あちらこちらと走り回っている。

 やることは多くて忙しそうだったけれど、誰もが生き生きした表情をしていた。

 時折迷い込んでくる魔獣ですら、協力して退けている。こうして開拓を進めていくのだろうと思った矢先、騒ぎが起きた。

 村の入り口で作業をしていた男性らが、大声を上げる。

魔獣移動スタンピードだ! 皆、避難しろ!!」
「早く逃げろ! すごい数だ!」

 人の背丈まである毛むくじゃらの魔獣が、山のように連なり押し寄せてくる。魔導術で防ぎようもないほどの数に、ようやく作り上げた村は跡形もなく消し去られた。

 高台に避難していたおじいさんが言う。

「また一からになるが、何、我々なら出来る」

 その声はどこか力無さげに思えたけれど、周囲の人々からは前向きな声があがっていた。

 ……だけど、その前向きな表情は月日を重ねるうちに曇っていった。

 何度も押し寄せる魔物たち。土地柄か、獣や虫の魔物が頻繁に入り込んでいた。

 対策を取っても、変わらない状況に皆が疲弊しているのが分かる。この頃はまだ、防御や攻撃はさほど組まれておらず、生活に直結するようなものばかりだったと思い出す。

 目の前の光景が高台へ移り、その簡易テントの中で、話し合いをしていた男性が嘆く。

「いったい何回襲われるんだ!! もう限界だ!」
「移住してきて何度村を作り直してきたか分からないわ!!」

 男性の嘆きに同調して、不満が噴出する。気付けばあの姉妹は成人の姿になっていた。周りがそうだそうだ、とみんなが騒ぎ始める。

 するとそれを見ていた、セレスが駆け出した。ミルベルが止めようとしたけれど間に合わず、彼女は人々の前に出た。

「もう一度やってみましょう! もう一度だけ! どうか諦めないで」

 その言葉に、皆が口をつぐむ。少しずつ、それなら、と言う人たちが現れる。ミルベルがセレスに「どうするつもり?」と聞く。

 セレスは「考えがあるの」と答えた。
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