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後編
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生を受けて、友梨と出逢ったのは高校の時だった。すぐに意気投合して、バカみたいに騒ぎ合って。
けど俺は、精神的にまだ幼かった。
友梨と一緒にいる時間以上に、友人達と遊んでいる時間の方が多く取ってしまっていた。バランスが取れなくなっていたのだろう。
次第に彼女の存在が煩わしくなって、自分から別れを切り出した。
彼女は悲しそうにしながらも、仕方ないね、と無理やり笑顔を見せた。それが友梨なりの気遣いだと気づいたのは、ごく最近のこと。
別れた直後はタガが外れたみたいに遊び呆けていた。けど、そんな俺もすぐに彼女の大切さに気づかされた。
ふと考えては、未練がましく連絡先を見つめる。友人を介して動向を知る。一度、実際に連絡したこともあった。
けど繋がらなかった。
それからは、諦めばかりを残していた気がする。
だけど今日、連絡が取れなかった理由がなんとなく分かったのだ。
恐らくそれは制約のせいだと。
きっとこれからも彼女と道が交わることはない。まるでこのスクランブル交差点のように。
人を挟んで、彼女の声が耳に入った。
「ねえ、尊ってヤキモチとか妬いてくれないよね?」
「なに? 妬いてほしいの?」
「そりゃ……まあ、私もモテたりしないから無理かもしれないけど、たまにはね」
くくっと尊が笑う。人の合間から、一瞬目が合った気がした。
「友梨はモテてないわけじゃないよ。ただ、他の男と縁がないってだけ」
「あー、そっか。そういうのもご縁になるんだね。ま、私は尊と縁があればいいや」
「だろ? ほら、映画が始まるから早く行こう」
手を繋いだ二人が離れていく。
その後ろ姿を見送ってふと思う。
記憶が蘇るのは敗者だけのはずだけど……彼は覚えているのだろうか、と。
けど俺は、精神的にまだ幼かった。
友梨と一緒にいる時間以上に、友人達と遊んでいる時間の方が多く取ってしまっていた。バランスが取れなくなっていたのだろう。
次第に彼女の存在が煩わしくなって、自分から別れを切り出した。
彼女は悲しそうにしながらも、仕方ないね、と無理やり笑顔を見せた。それが友梨なりの気遣いだと気づいたのは、ごく最近のこと。
別れた直後はタガが外れたみたいに遊び呆けていた。けど、そんな俺もすぐに彼女の大切さに気づかされた。
ふと考えては、未練がましく連絡先を見つめる。友人を介して動向を知る。一度、実際に連絡したこともあった。
けど繋がらなかった。
それからは、諦めばかりを残していた気がする。
だけど今日、連絡が取れなかった理由がなんとなく分かったのだ。
恐らくそれは制約のせいだと。
きっとこれからも彼女と道が交わることはない。まるでこのスクランブル交差点のように。
人を挟んで、彼女の声が耳に入った。
「ねえ、尊ってヤキモチとか妬いてくれないよね?」
「なに? 妬いてほしいの?」
「そりゃ……まあ、私もモテたりしないから無理かもしれないけど、たまにはね」
くくっと尊が笑う。人の合間から、一瞬目が合った気がした。
「友梨はモテてないわけじゃないよ。ただ、他の男と縁がないってだけ」
「あー、そっか。そういうのもご縁になるんだね。ま、私は尊と縁があればいいや」
「だろ? ほら、映画が始まるから早く行こう」
手を繋いだ二人が離れていく。
その後ろ姿を見送ってふと思う。
記憶が蘇るのは敗者だけのはずだけど……彼は覚えているのだろうか、と。
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