迷子の会社員、異世界で契約取ったら騎士さまに溺愛されました!?

翠月 瑠々奈

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迷子の会社員、無事に居場所を見つけました③

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 王様が静かに続ける。

「やはりお前は愚かだ。娘と思い目を瞑っていたが此度の所業は許すこともできん。このまま国にとって害を成すならば消さねばならぬな」
「! まさか」

 急に慌てた彼女が、今度はフェルに縋りついた。

 見ていられなくて動きかけたら、アンバル様に引き留められる。彼を見上げたら、小さく首を振られた。

 直後、悲痛な叫びが響く。

「フェル、助けて! 貴方の為に! 私は貴方の為に、全てを行ったのよ。だから守るべきでしょう? ねえ! フェル!」
「…………」
「フェル!」

 呼ばれたフェルは、ふわりと微笑む。それに、安心したように王女様が表情を和らげる。けれど、フェルの口からは淡々とした言葉が吐き出された。

「確かに、貴女のおかげでルミと出逢えた。そこには感謝致しましょう。ですが……」

 言うなり、フェルは王女様の手を払う。

「きゃっ!」
「ルミに対する行い、私が許すとお思いですか?」
「フェル……」

 瞬間、ガッと彼女の腕を掴む。彼は恐ろしく低い声を出した。

「それ以上……その顔で、その声で、私の名を呼ぶな」
「ひっ!」
 
 パッと手を離したフェルが優雅に笑う。

「貴女は、ルミに感謝するべきですね。彼女と似た顔をしていたから今はまだ、ご無事でいられる」
「……」

  アミーラ様の顔から、徐々に色が失われていく。力なく項垂れたところで王様が厳しい声を出した。

「小奴は地下牢に入れておけ。処罰は追って下す」

 アミーラ様が、別の騎士達に連れて行かれる。かつての近衛兵達も話を聞くのだろうか。共に連れていかれた。

 それを見届けた後、王様はカデムの元に行く。真っ直ぐ見つめると愛おしげに瞳を細めた。

「大きくなったな」
「そりゃ、成長ぐらい誰だってする」
「だがお前には、いらぬ苦労をかけた」
「それでもアンタは、俺を生かそうとしてくれたんだろ」

 その言葉に王様が目を見開き、再び笑みを浮かべた。

「カデム、この道は辛く険しいだろう。それを受け継ぐ覚悟はあるか?」
「元よりそのつもりで、ここに来た」

 そう言ったカデムは私の方へ顔を動かし、目が合った。王様は小さく息を吐く。

「人は変わる。その可能性を娘にも願っていたのだが」

 王様はバッと身を翻し、場にいた人々へ行き渡るように声を出した。

「皆の者、聞け! 第一王位継承者であるアミーラが罪を犯し、その権利を剥奪された! これより王位継承法に基づき、ここにいる弟の息子カデム・ダルア・ガネーシャが順位繰り上がりにより、正式に王位継承者となった。以後、そのつもりで対応してくれ」

 短い返事をし、皆が頭を下げる。私はワンテンポ遅れて頭を下げたけど、その中心にいたカデムが、なんだか誇らしく見えた気がした。

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