彼女はこのあと、僕がおいしく頂きました

なしひと

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25.泥沼の抗争を清潔なゲームへ

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 翌朝、僕が起きた頃にはすでに妹は登校を済ませていて、階下に降りてみれば居間には、恐らく僕の分ということだろう朝食の用意が残されていた。ありがたくいただいて、食器の片付けを請け負う。

 僕と浮月さんはどうせ今日も不登校だろう。

 そう構えて遅めながらも慌てることなく玄関を出た僕の真正面に立っていたのは、デインズさんだった。

 彼女はしかし特に僕の出現を待っていたという様子でもなく、音に気付いてこちらへと視線を向けはしたものの、目の前に突っ立っている間抜けが僕と知れるとまた元見ていたものへと目を戻した。それは僕の頭上であり、背後。つまりは今し方出てきたばかりの僕の家だった。

「……」

 連れられるように振り返ってみてもそれは何かしら代わり映えのある景色でもなく、何をそうまで熱心に見つめる理由があるのかと内心首を傾げる。

「おはよう、坊や」

 相変わらずな上の空のまま、デインズさんはしかし礼儀を忘れていなかったらしい。

「ハイスクールには遅くないかい」

 なんて常識的なことまで言われて、浮かべる微笑みに皮肉なものが混じりかけた。

「今からでも間に合いますよ」と嘯いて。「上がっていきますか?」

 実のところ、彼女は僕の父親と旧知の仲だった。

 生きていた頃の父は異常に人脈の広い人だった。人間の身でありながら母のようなよくわからない生き物と婚姻を結んで、僕や妹のようなよくわからない子どもを作ったことからも、その懐の広さというか危機感のなさが伺える。挙句の果てには現状、死んでも死にきれないを地で進行中だし。

 けれどそんな父の知り合いのうちでも、生前は言うに及ばず死後さえ付き合いがあるのはデインズさんくらいのもので、彼女だけは今もたまにこうしてガムテープ張りの部屋へと足を運ぶ。父の相手をしてくれる以上に何かと僕の面倒も見てくれているのだから、余程の親交だったのだろうと思う。こちらとしても、するつもりがないのはもとより、おいそれと邪険にもできない。

「もう私は入れないだろうね」
「……」

 だからこそ。そんな予想だにしないことを唐突に言われて、固まってしまう。

 デインズさんがそう口にする理由は、やはり妹なのだろうなんて予測が自ずから立って、最初からここに住んでいた僕には何も感じられないけれど、恐らくデインズさんが尻込みする程度の結界のようなものが、この家にはすでに張られているのかもしれない。

 なんてことを考えていたから。

「どうせ暇だろう」

 と、視線も寄越さずに尋ねられた相手が僕だと気付くのに、少し時間がかかった。

 それどころか、デインズさんはすでに背中を向けて歩き始めていて、そもそも先の台詞が問いであったのかだって怪しいところ。

 されど普段のその神出鬼没具合と比べれば微笑ましく感じてしまうほどに彼女の足取りは常識的な範囲で、つまりは付いて来いということだろうと判断して後に続く。

「……」

 一瞬だけ、僕の脳裏に浮かんだイメージは待ちぼうけをくらう浮月さん。

 とはいうものの、別段浮月さんとは朝から約束していたわけでもなし、彼女の家へとお邪魔するのは昼過ぎからでも悪くないだろう。なんて言い訳を内心で用意しつつ後ろめたさを誤魔化していた僕の前に、運が良いのか悪いのか、当の浮月さん本人が現れる。

「あら、おはようございます。星田くん」

 我が家へと向かって来る途中だったらしき彼女は、そう言った直後、デインズさんの存在に気付いて訝しげな視線を送る。

 ……。タイミングの良し悪しを、改めて悩まされる絵面だった。

「星田くん、この方は」

 どう紹介したものかと悩む僕に、彼女は真顔で尋ねた。

「妹さんですか?」「もちろん違うよ、浮月さん」

 冗談です。と肩をすくめる。

 お茶目な冗談にしても限度があって、瞬間、ふるりと僕の背筋を冷たいものが滑り落ちたことは特筆しておきたい。

 一方、当の老女は浮月さんの無遠慮な妹扱いにも動じることなく、向かいの彼女を顎で指した。

「そっちは雛の子だね?」
「……」

 自身のことを予め知られている不可思議に浮月さんは眉根を寄せる。

 ふいに険しくなった視線がこちらへと向かい、僕は冤罪を主張して小さく首を振った。

「嬢ちゃんも来なさい」

 呆然とする二人を差し置く形で、事態はたった一人の口上をとんとん拍子に進むものだから。

 流れに振り落とされまいと互いにしがみ付く一瞬の間、僕らは改めて視線で会話する。

 どなたですかこの人。

 たぶん大丈夫。

 意思の疎通はどうも上手く行かなかったらしく、呆れたような視線でもって会話は一方的に破棄。役立たずな僕は船のマストから放り投げられる。

 他方、相も変わらず背中より後ろの世界に興味のないデインズさんは、すでに歩き始めていた。

「それで、どちら様ですかあなた」

 と早々に僕から引き出せる耳垢未満の情報を見限って、直接に尋ねる浮月さん。

 面白くもなさそうな視線が振り返り。されど口元だけが微笑みをかたどった別の生き物のように開いて。


 『抑止力』。と一言。


 しかしそのたった一言が、理解に。

 至るまで。のコンマゼロ以下。

 の逡巡。

 。

「!」

 のち弾かれたようにバックステップで距離を稼いだ浮月さんが老女へと差し向けた右手には、穏やかな午前にそぐわない折りたたみナイフ。

 瞳には殺意と戸惑いの色が映り、混じり。

 解体の手順を想像していただろう脳裏が想定さえしない唐突さで。

 とん、と背中を突かれる。

「な」

 炎天下。道の中央に壁があるはずもなく、だからこそ浮月さんだって後ろを確認もせずに後退ったのに。

 彼女が振り返った背後には、どう時空を捻じ曲げたのか瞬間先まで自身がナイフを向け、距離を取ったはずのデインズさんがいて。

 その細い指のゆったりとした動きに、避けるという概念さえも忘れて、ただ為す術もなく喉元を掴まれる。

「……」「……」

 数秒の沈黙のあと、浮月さんが先に持っていたナイフを地面へと落とし、決着がつく。

 手を離したデインズさんは何事もなかったかのように、立ち尽くすばかりだった僕を追い越して、すべてを背後へと追いやる位置に戻った。

 拾い直したナイフを折りたたむ浮月さんは少し悔しげにその背中へと尋ねる。

「いつでも殺せたってことですか」

 それは今この瞬間のみならず、これまでずっと僕らが監視されていただろうことを見透かしての言葉だった。

 返事のない背中へと苛立ちを繰り返す。

「どうして見逃すんです」

 嘲笑混じりのため息とともに。

「私の仕事じゃないよ」
「……」

 浮月さんが黙り込んでしまう。

 一方、その景色のハリボテ具合を知っている僕は唸りそうになってしまう。

 デインズさんはこう、大義そうにもっともらしいことを仰ったけれど。

 実のところデインズさんの能力は基本的に地理をいじるだけで、人を殺すだけの怪力もなければ技術もない。

 浮月さんの喉元に手をやったのは、それが彼女に最も恐怖を与えると想定しての行為だろうし、仕事じゃないと言うのだって、できないからやらないという意味だろう。

 しかし種を明かせば虚仮威しにしか見えないそんな思惑の積み重なりは、どうもやたらと上手く機能してしまったらしく、浮月さんの目に老女は相当な脅威として映っているみたい。

 じゃあ、と抑えた声で。

「星田くんに近付いたのは」

 職人芸級のタイミングでお嬢ちゃん、と遮る。

「あんたたちはあんた自身が思っているほど大した脅威じゃないんだよ」
「……」

 浮月さんの右手が再び懐へと動きかけたのを僕は見た。

 化けの皮が剥がされるかという僕の期待を裏切る形で、しかしその手元に凶器が取り出されることはなく、代わりとばかりに偶然目があった僕へと八つ当たり半分の睨みが飛んでくる。

 ……、えっと。

 てっきり高みの見物のつもりだったのに、気付いてみれば煙と何とかの好きな場所から引きずり落とされていたのはこちらの方、なんて事態。僕も煙でない方ゆえまったく想定してなくて。

「浮月さんも登校する予定だったの?」

 話を逸らすつもり半分に尋ねてみる。と言うのも、神社から出てきた彼女が鞄までは持たないながら、僕と同じように制服姿だったから。

「偵察にでも行こうかと思っていたんです」

 チョ○Qよりちょろいと評判の何とかさんは、若干の不機嫌な声音のままにそう答える。

「それより、」と彼女はデインズさんの方を向いて。「あなたは今、『抑止力』としての立場からここにいるのですか」
「……半々、と言ったところかね」

 あくまでこれは私の仕事じゃないんだ、と。

「残り半分は?」
「これからあんたたちに会わせる人間も『抑止力』だ」
「……」
「奴はそこで、あんたたちに一つ提案をするだろう。悪くない提案だよ」
「……悪くない?」
「注意深くしていれば、食われはしない」
「……」

 そこでデインズさんがこちらへと視線をくれてようやく僕は、これから行く先にいるのが以前彼女が忠告してくれた『昔の仲間』なのだと悟る。忠告の内容は確か、その男は僕らを殺そうとしているのだと。常識的に考えて、こちらを殺そうとしている相手からの提案が、無条件で僕らの利益となる可能性は皆無だろう。

「敵を間違えるんじゃないよ、坊や」

 更にはあの時の台詞を繰り返すことで念押しされる。

 つまりデインズさんは、僕らに再び警戒を促してくれているのだ。これから会わせる人間を信用するな、と。

 こちらが見せた理解の色を確認して、それ以降は二度と振り返ることもなく無言の道中だった。

 やがて僕らはデインズさんの相変わらずな縮地具合に乗せられて(巻き込まれて)、先日と同じバーへとたどり着く。

 扉にかかっていたクローズドの札を一顧だにせず、デインズさんは薄暗い店内へと入る。

 中にいたのは生気のない男が一人、カウンター内側。

「……」

 店主らしき彼は委細了解したような顔のまま、面子を確認した視線で僕らにテーブルを使うよう促した。

 数分後には炭酸水のボトルとグラスが運ばれてくる。四つ。

 人数に合わないと思っていた余るその一つを自身の前に引き寄せ、男はデインズさんの隣に腰を下ろした。

 なるほどこの人こそ、デインズさんが僕らに引き会わせたかった相手なのだろうと合点がいく。

「我々は良好な関係が築けるだろう」

 デインズさんの紹介も待たずため息混じりに巳寅と名乗ったその音は、訛りのある固い言葉だった。

 ひと目では気付かなかったけれど、両耳に一対、喉元に四対のピアスが埋め込まれていた。

「この街には現状、いくつかトラブルがある。まず」

 君らだ。と律儀にも二度、浮月さんと僕を指差す。

 その爪は薄い漆細工のように整えられていた。

「それから、君の」と僕の見つめる指先を逸らさないまま。「親族たる『影血鬼』」
「……」

 独特の動作リズムで場の空気を握った彼の言葉には、浮月さんでさえ口を挟もうとしない。

 しかしこの場で彼が僕らを敵に回したとしても、暴力の大小であれば恐らく有利なのはまだこちら側だった。だからこそ僕らとしてもいくらかの落ち着きをもって話が聞けて、それも込みでこんな非戦闘員らしき男が僕らとの接触役を担っているのかもしれない。

 なんてことを考えたその時ようやく、目の前の彼が前回メニューを持ってきてくれた男だと気付く。

「……」

 デインズさんはと言えば、双方を引き会わせたきり役目は終わったとばかりに自前のラジオをテーブルの真ん中に置き、チャンネルを合わせていたのがたった今、終わったところだったらしい。

 砂嵐。

 その音を背景に、巳寅さんが指を重ねる。

「我々は君らの危険性を管理する。求められるものは均衡だ」

 彼の口から出てくるすべての言葉の重みは、内容如何に依らず客に注文を確認するそれと変わらないかのごとく、淡々と述べられる。

「限られた手数のうちに狂いのないシステムを作り上げる。際しては幾人かの助力を必要とする」
「それが、」浮月さんは慎重に言葉を紡いだ。「私たちですか?」

 当たり前のことを問われたような戸惑いを滲ませた沈黙が挟まれて。

 浮月さんが薄く息を飲む。されど飲み込まれはせず睨み返す。浅い吐息。

「君らは硬直状態にあると聞いた」
「あなた方の手が必要とも思えませんが」
「むろん代理戦争ではない」男は手を組み合わせた。「我々はテーブルを用意しようと言っている」
「テーブル?」と、これは僕。
「泥沼の抗争を清潔なゲームへ」
「じゃあ、あなたは私たちに」

 馬鹿げているとさえ口に出しかねないほど、浮月さんの声は呆れの色を滲ませて。

「あの子らとトランプをやれと仰るんですか」、と。
「かるたでも良いんじゃないか」

 と、久々に口を開いたデインズさんの言葉を、どう扱うべきか僕らが逡巡した横で。

 恐るべきことに巳寅さんはそれを無視した。

「勝負の種類はこちらが指定する」
「……指定するということは、」

 浮月さんも追随するようにデインズさんを黙殺して。

「事情次第では、種別にある程度の変更が効くということですよね」
「タイマンでもステゴロでも」

 そう聞いて、少し嬉しそうな顔になりかけていた浮月さんが。

「ただし、勝負の設定には双方の合意が必要だ」

 目に見えて沈んだ。

 ……。いくらなんでも露骨過ぎて、少し気の抜けたような苦笑で喉元のピアスを掻く。

「俺の能力は八百長のためのものじゃない」

 能力、と巳寅さんは初めて明言した。

 その言葉からようやっと、彼がやはり『異常』の側の人間なのだと確信する。

「なら、私たちのメリットって何なんですか」
「繰り返すが、テーブルを用意すると」
「それが何の役に立つと」
「反故を防ぐ手立てが提供される」

 しばしの考え込むような沈黙。

「……なるほど、仰るとおり。やり方次第で、簡単なシステムなら手軽に構築できそうですね」

 と納得したように頷く浮月さん。

 しかし僕はといえば、いつの間にか一人だけこの話に置いてけぼりを食らっている。

「えっと、つまり?」
「つまり恐らく巳寅さんは、契約に関する何かなんです」

 ですよねと目で確認し、頷きを返される。

「……何かって、」何だ。

 知りませんよと、少し不機嫌になる浮月さん。

 確かにそんな質問されても困るだろう。これは僕が悪い。

「それはともかく、もしも巳寅さんの話が本当なら、彼の力を介して白地さんたちを契約で縛ることができます」

 ようやく流れが理解できた僕は少しの間、敵側と契約したい内容というものを具体的に想像してみる。

 例えば。

「これ以上仲間を増やすな、とか?」
「あるいは私たちの下僕になれとか」

 ……。思ったよりみんな、下僕が好きなんだな。

 なんてこちらの呆れも知らずに、浮月さんは続ける。

「休戦協定は、いずれ破られるでしょう」、と。

 僕は顔を上げて彼女の瞳に正面から対峙し、見つめ返す視線と出会う。

 僕らが無理に作り上げたこの平穏が砂上の楼閣とは言わないまでも、一皮剥げば簡単に互いの首が撥ね落ちるような事態へと転がりかねないことは僕にもわかる。と言うか昨日実際に、浮月さんの首は切り落とされていたし。

 だからといって頭でわかるのと言葉で事実として眼前に突き出されるのでは、やはり違う。

「私たちの側が先に破るか、向こうが先か。それ自体に大した違いはありません」
「……そうかな?」
「かと言って時間を無駄に費やして潰し合うのも、それこそきっと泥沼でしょう」
「それはまぁ」

 後者の指摘に関してはまったくその通りだと思った。向こうの能力にしてもこちらの能力にしても耐久性、というか生き汚さについてはどちらも劣らないほどの一級品で、お互いを根源から叩き潰すような未来までは、天竺方向に突き抜けるタクラマカン砂漠なんかよりも余程冗長だろう、なんて。

 それにしても。

「ゲーム?」

 首を向けた先の男は手持ち無沙汰だったらしく、自身の爪を眺めていた視線をそのままに。

「取引でも。ただし顧客の多くは賭けを選ぶ」

 俺もその方が好みだ。と付け足した。

「ベットの支払いが確定しているなら実入りが多いのはそちらでしょう。それに」

 と巳寅さんを指した。

「彼がこちらの手の側にある以上、条件の設定はいくらか有利に定められるはずです」
「勝負自体のありなしを決定できるのはこっちだから」
「その通りです」

 聞かされれば聞かされるほどにハイリスクハイリターン。手元にあるのはわずかな優越。

 正直なところ、僕はあまり気が進まなかった。

 個人的には堅実な根回しと交渉で相互にウィンウィンな関係とかの方が好みなのだけど。

 まぁ参加している面子を考えれば、この場面でなくとも僕の嗜好がまかり通るはずもなく。

「乗るの?」

 すぐに返事があるものと思っていた僕の何気ない質問に、浮月さんはしかし束の間、沈黙した。

「……選択肢はあまりありません」
「例え利用されようとも?」

 『抑止力』は僕らを利用しようとしている。その自覚は浮月さんにだって嫌になるほどあったはずだった。

 彼女の包帯の下の口元に小さな苦笑が滲む。

 それでも、と。

「目的は近いものであるはずです」

 しかしそう言葉にする浮月さん自身、そうあって欲しいという以上のものではなく、むしろ何かそれ以外に懸念していることがありつつも、されど言葉にできないように見えた。

 はっきりと言えないのは巳寅さんらの前だからか、あるいは僕が不甲斐ないからか。

 そんなこちらの煩悶など露知らず、浮月さんはそれに、と続けた。

「代理戦争であるうちに、私たちの手で終わらせてしまう方が、来たる結末は遥かにマシでしょう」

 結末、というなら。

「……浮月さんの想定する最悪は?」
「『抑止力』ら自身がこの事態の解決に乗り込んできたなら、その時こそ本当に、私たちの日常は破壊されます」
「……」

 殲滅戦。それこそ、僕らの学校まるごと一つを消し去っても終わらないだろうほどの。

「私たちの手の届く範囲であるうちに事態を収める必要があります」
「なら、」僕も流石に腹を決める。

 言葉の後を繋ぎつつ、彼岸へと視線を向ける。

 返ってきたのは仄暗い眼差し。

 老女は我関せずとラジオの砂嵐を聞いていた。
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