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第5章 勇者と調査クエスト編
第52話 勇者と便利なスキル……オートマッピングさん!
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「待って! 戦う意思はないわ。この先で魔物に襲われて……お願い仲間を助けて!」
ヒロ達の前に現れたのは、傷付いた若い二人の女性だった。一人は足を怪我しており、仲間の肩を借りている。
二人とも装備している防具と服が、所々傷付き汚れており、足を怪我した女性は喋るのも辛いのか、下を向いて荒い息を吐いていた。
「だ、大丈夫ですか?」
不用意に近づこうとしたリーシアを、ヒロが手で静止すると警戒しながら話し掛ける。
「ヒロ?」
「何がありました?」
「この先で仲間が襲われて、お願いです。一緒に仲間を助けてください」
「この先ですか?」
「はい。歩いているところを魔物に襲われて……突然のことだったので不意を突かれてしまい、私たち二人だけが何とか逃げ出せました。この先にいる仲間を助けてください!」
「お、お願いします。私たちが不意を突かれなければこんなことには……残った仲間が心配で……助けてくれたら何でもします。だから……助けて……」
必死に懇願する女性たちにヒロは、何か違和感を覚えると、視界の隅に表示させておいた簡易MAP画面に目を走らせる。二人の光点の色を確かめたヒロ……違和感は確信へと変わる。
「とりあえず、先にケガの手当てをしましょう。コチラへ」
リーシアが二人の女性の手当てするのに、明るい焚き火のそばへ誘導しようとした時、腰に吊るしたショートソードの柄に手を置いたヒロが、リーシアの前に立つ。
「その前に……冒険者ですよね?」
「ええ、当然です」
「失礼ですが、ギルドタグを見せてもらえませんか?」
「そんなことよりも、早く仲間を助けてください!」
「ギルドタグを持っていないのですか? コレですよ」
ヒロは空いている手で、ある物を持ち二人に見せる。
後ろにいるリーシアも、ヒロの手に持った物を見て、目を見張った。
「え……ヒロ? 大丈夫ですか? どこかに頭を打ちました?」
リーシアに頭がおかしくなったのかと心配されてしまったが、ヒロはリーシアの言葉を無視して話を続ける。
「冒険者なら当然、この冒険者タグを持っていますよね?」
「ええ、当たり前です。今お見せします。コレです」
「私のは……コレです」
二人の出した物を確認して確信したヒロは、鞘に納められたショートソードに【溜め】をはじめていた。普段【溜め】を行うと、剣身部分が銀色に光るのだが、鞘に納めている間は銀色の光が鞘に隠され相手に気付かれない。
リーシアも二人が見せてきたギルドタグを見て気付き、いつでもヒロをフォローできるよう、重心をコントロールする。
「これでいいですか? 疑いが晴れたのなら彼女を手当てして、早く仲間を助けて」
「ええ……コレがギルドタグという時点で疑いは晴れました!」
ヒロは手に持った銅貨を二人の女たちに向かって投げつける。
投擲術で威力とスピードが高まった銅貨を、肩を貸していた女の顔に当たると……女は形相を変えてヒロに襲い掛かって来た。
〈ミミックが現れた!〉
手がグニャリと歪むと半透明な触手に変わり、ヒロに打ちつけようとミミックが振りかぶる!
ヒロは鞘から銀色に輝くショートソードを抜き、振り下ろされた触手を下から振り上げて切り裂いていた。
切り裂いた剣はそのまま剣先の角度を変えて、もう一匹のミミックに振り下ろされる!
【溜め】により威力が高まった剣術スキルの連続斬りが決まり、ヒロはミミック達にダメージを与えていた。
先制攻撃されたミミックが、堪らず体制を整えようと後ろに引こうとするが……。
「させません!」
すぐに動けるようにと待機していたリーシアが、後退するミミック達に追いすがり攻撃の手を緩めない。
リーシアがスピードに乗った前蹴りを放つと、ミミックは残った腕を触手に変化させて前蹴りをガードする。
しかしリーシアの前蹴りのモーションが、腰と膝の捻りでハイキックへと空中で高速に変化し、ミミックの頭にクリーンヒットする。
ミミックは、急激に変わった攻撃の軌道についていけず、強烈な蹴りの威力に吹き飛ばされていた。
二匹のミミックとの距離が空くと、リーシアが吹き飛んだミミックに追撃を行うべく走り出す。
「ヒロ、そっちを頼みます」
「わかりました」
その場に残ったミミックに、腰に装備していたナイフを投げるヒロ……【溜め】がされていないナイフは、ミミックの触手に阻まれ弾かれる。
だがそれは、あくまでも牽制であり、その隙に投げナイフに反応したミミックへ、ヒロが低い姿勢からのBダッシュで肉薄し剣を振り上げる。
剣術スキル【パワースラッシュ】を発動したヒロの一撃は、ガードした触手をすべて切り裂き、胴体部分に大きな傷を作りだす。
切り落とされた触手は地面に落ちると、そのまま溶けてなくなってしまう。
だがミミックの傷口は、何事もなかったかのようにグニャリと形を変え元の触手へと戻ってしまう。
「ヒロ! ミミックは体の中心にある魔石を破壊するか、細切れになるまで切断しないと倒せません!」
「削るか真っぷたつですか……やってみます!」
ヒロは手に持ったショートソードを構え、溜めを開始する。時間は五秒……その間に、無防備になったヒロを逃さず、ミミックが襲い掛かって来た。ヒロはミミックの攻撃を体捌きだけで避けながら再び【溜め】を行う。
溜めのアクション中は攻撃ができなくなるだけで、移動不能になるわけではない。動いている最中、武器に力を流すイメージが維持できれば溜めは可能だった。
だが、コレができるかは生まれ持った才能が必要になる。要は空中に右手で円を描きながら、左手で四角を描けるかどうかの話である。ふたつのアクションを同時にこなせる能力があれば、動きながらでも溜めを行うことが出来るのだ。
検証と実戦で鍛えられたヒロは、誰に教わるでもなく、ミミックの攻撃を回避しながら武器に溜めを行い。ちょうど五秒キッカリでショートソードの剣身が、銀色の光に包まれ光り出した。
ミミックがそんなヒロを見て、攻撃を止め後ろに退避しようと飛び退くが、ヒロに逃すつもりはない!
Bダッシュと二段ジャンプを組み合わせた高速移動でミミックが飛び退くよりも速く追いついたヒロの剣が、銀色の軌跡を残しながらミミックを頭から真っぷたつに両断していた。
両断する時、ヒロの手には硬い何かを斬る感触が残り、確実に魔石を破壊していた。
魔石を斬られたミミックは、斬られた魔石を残して身体がすべて溶けて消滅してしまう。
「リーシア!」
ヒロはミミックの最後を見届けてから、リーシアの名を叫び辺りを見回すと……少女の華麗な連続蹴りがミミックに決める光景が見えた。
足を蹴り抜く度に体の一部が吹き飛ばされるミミック……最初のときよりも、体の体積を減らし小さくなっていた。
止まらない連続蹴りは、まるでワルツを踊るかの如く流麗な動きで攻撃をかい潜り、ミミックの体を削り続ける。
永遠に繰り出される蹴りの嵐に、ついにミミックが力尽きると、魔石を地面に残し、体は溶けて完全に消滅してしまう。
「ふ~、何とか倒せました」
リーシアは残心のまま構えを解かず、周りを警戒しながらヒロと合流するべく歩き出した。
「リーシア、大丈夫そうですね。良かった」
「はい。私は何ともないです。ヒロも問題なさそうですね。しかし、よくミミックが擬態しているとわかりましたね?」
お互いの無事を確認すると、感心したリーシアがヒロに聞いてみた。
「ええ、最初に違和感を覚えたのは、歩いているところを襲われと言っていたことですね。こんな暗くて危険な夜の森をわざわざ歩くなんてあるのかと……まともなパーティーなら夜営しますよね?」
「でも、内容によっては、夜じゃないと達成できないクエストもありますから、夜に行動して襲われる可能性もありますよ?」
「これはリーシアだけに話しますが、僕のスキル欄にオートマッピングと呼ばれるスキルがさっき現れました」
「オートマッピング?」
「自動的に歩いた道が、マップとして頭の中に表示されるスキルです」
「便利そうなスキルですね」
「はい。使い勝手はコレから検証しますが、地図を自動で作れるのは凄い便利です。でもこのスキルの本当に凄いところは別にあります」
「別にですか?」
「はい。このスキルは簡易MAPを視界に表示できるのですが、敵と味方を光点の色で識別できるみたいなんです」
「すると、さっきのミミックは?」
「最初は灰色でしたが、リーシアが二人の怪我を治療するために近づこうとしたとき、僕がリーシアを静止すると光点が黄色に変わりました。さらにリーシアが手当てをするのに焚き火のそばに招こうとして、僕が間に立った時には赤い光点に変わってしまいました」
「赤いということは……」
「因みにリーシアは青い光点ですよ。つまり明確な敵として簡易MAPに赤く表示されたと言うことです。あとは間違っていたらまずいので、冒険者なら持っていて当たり前のギルドタグを持っているか確認したんです」
「それで銅貨をギルドタグと偽って、ミミックに見せたんですね」
「はい。見事に引っ掛かってくれました。銅貨を見せて、それがギルドタグだと言う冒険者はいないでしょ? 仮にいた時の保険の為に、当たっても謝れば済む銅貨を投擲スキルで投げつけて、様子をうかがう予定でしたが……」
「なるほど、そこで馬脚を現したわけですね。私一人だったら不意を打たれていました。ミミックと戦うのは、はじめてでしたから、危なかったです。ヒロ、ありがとう」
「どういたしまして、無事に倒せて良かったです」
「やはり聞くと戦うのでは違いますね。ミミックの攻撃自体に問題はないですが、擬態に騙されて殺られていたかも知れません」
リーシアが言葉を詰まらせて真剣な顔で考えはじめ、それを見たヒロが心配して声を掛ける。
「どうかしましたか?」
「いえ……実は以前読んだ魔物図鑑に書いてあった内容を思い出していたのですが……確か図鑑には、ミミックの擬態は自分で見た者にしか擬態出来ず、1時間しか持たないって書いてあった気がするんです」
「つまり……」
「この近くに。擬態の元になった女性がいるかも知れません!」
〈緊急救出クエストが発生した!〉
ヒロ達の前に現れたのは、傷付いた若い二人の女性だった。一人は足を怪我しており、仲間の肩を借りている。
二人とも装備している防具と服が、所々傷付き汚れており、足を怪我した女性は喋るのも辛いのか、下を向いて荒い息を吐いていた。
「だ、大丈夫ですか?」
不用意に近づこうとしたリーシアを、ヒロが手で静止すると警戒しながら話し掛ける。
「ヒロ?」
「何がありました?」
「この先で仲間が襲われて、お願いです。一緒に仲間を助けてください」
「この先ですか?」
「はい。歩いているところを魔物に襲われて……突然のことだったので不意を突かれてしまい、私たち二人だけが何とか逃げ出せました。この先にいる仲間を助けてください!」
「お、お願いします。私たちが不意を突かれなければこんなことには……残った仲間が心配で……助けてくれたら何でもします。だから……助けて……」
必死に懇願する女性たちにヒロは、何か違和感を覚えると、視界の隅に表示させておいた簡易MAP画面に目を走らせる。二人の光点の色を確かめたヒロ……違和感は確信へと変わる。
「とりあえず、先にケガの手当てをしましょう。コチラへ」
リーシアが二人の女性の手当てするのに、明るい焚き火のそばへ誘導しようとした時、腰に吊るしたショートソードの柄に手を置いたヒロが、リーシアの前に立つ。
「その前に……冒険者ですよね?」
「ええ、当然です」
「失礼ですが、ギルドタグを見せてもらえませんか?」
「そんなことよりも、早く仲間を助けてください!」
「ギルドタグを持っていないのですか? コレですよ」
ヒロは空いている手で、ある物を持ち二人に見せる。
後ろにいるリーシアも、ヒロの手に持った物を見て、目を見張った。
「え……ヒロ? 大丈夫ですか? どこかに頭を打ちました?」
リーシアに頭がおかしくなったのかと心配されてしまったが、ヒロはリーシアの言葉を無視して話を続ける。
「冒険者なら当然、この冒険者タグを持っていますよね?」
「ええ、当たり前です。今お見せします。コレです」
「私のは……コレです」
二人の出した物を確認して確信したヒロは、鞘に納められたショートソードに【溜め】をはじめていた。普段【溜め】を行うと、剣身部分が銀色に光るのだが、鞘に納めている間は銀色の光が鞘に隠され相手に気付かれない。
リーシアも二人が見せてきたギルドタグを見て気付き、いつでもヒロをフォローできるよう、重心をコントロールする。
「これでいいですか? 疑いが晴れたのなら彼女を手当てして、早く仲間を助けて」
「ええ……コレがギルドタグという時点で疑いは晴れました!」
ヒロは手に持った銅貨を二人の女たちに向かって投げつける。
投擲術で威力とスピードが高まった銅貨を、肩を貸していた女の顔に当たると……女は形相を変えてヒロに襲い掛かって来た。
〈ミミックが現れた!〉
手がグニャリと歪むと半透明な触手に変わり、ヒロに打ちつけようとミミックが振りかぶる!
ヒロは鞘から銀色に輝くショートソードを抜き、振り下ろされた触手を下から振り上げて切り裂いていた。
切り裂いた剣はそのまま剣先の角度を変えて、もう一匹のミミックに振り下ろされる!
【溜め】により威力が高まった剣術スキルの連続斬りが決まり、ヒロはミミック達にダメージを与えていた。
先制攻撃されたミミックが、堪らず体制を整えようと後ろに引こうとするが……。
「させません!」
すぐに動けるようにと待機していたリーシアが、後退するミミック達に追いすがり攻撃の手を緩めない。
リーシアがスピードに乗った前蹴りを放つと、ミミックは残った腕を触手に変化させて前蹴りをガードする。
しかしリーシアの前蹴りのモーションが、腰と膝の捻りでハイキックへと空中で高速に変化し、ミミックの頭にクリーンヒットする。
ミミックは、急激に変わった攻撃の軌道についていけず、強烈な蹴りの威力に吹き飛ばされていた。
二匹のミミックとの距離が空くと、リーシアが吹き飛んだミミックに追撃を行うべく走り出す。
「ヒロ、そっちを頼みます」
「わかりました」
その場に残ったミミックに、腰に装備していたナイフを投げるヒロ……【溜め】がされていないナイフは、ミミックの触手に阻まれ弾かれる。
だがそれは、あくまでも牽制であり、その隙に投げナイフに反応したミミックへ、ヒロが低い姿勢からのBダッシュで肉薄し剣を振り上げる。
剣術スキル【パワースラッシュ】を発動したヒロの一撃は、ガードした触手をすべて切り裂き、胴体部分に大きな傷を作りだす。
切り落とされた触手は地面に落ちると、そのまま溶けてなくなってしまう。
だがミミックの傷口は、何事もなかったかのようにグニャリと形を変え元の触手へと戻ってしまう。
「ヒロ! ミミックは体の中心にある魔石を破壊するか、細切れになるまで切断しないと倒せません!」
「削るか真っぷたつですか……やってみます!」
ヒロは手に持ったショートソードを構え、溜めを開始する。時間は五秒……その間に、無防備になったヒロを逃さず、ミミックが襲い掛かって来た。ヒロはミミックの攻撃を体捌きだけで避けながら再び【溜め】を行う。
溜めのアクション中は攻撃ができなくなるだけで、移動不能になるわけではない。動いている最中、武器に力を流すイメージが維持できれば溜めは可能だった。
だが、コレができるかは生まれ持った才能が必要になる。要は空中に右手で円を描きながら、左手で四角を描けるかどうかの話である。ふたつのアクションを同時にこなせる能力があれば、動きながらでも溜めを行うことが出来るのだ。
検証と実戦で鍛えられたヒロは、誰に教わるでもなく、ミミックの攻撃を回避しながら武器に溜めを行い。ちょうど五秒キッカリでショートソードの剣身が、銀色の光に包まれ光り出した。
ミミックがそんなヒロを見て、攻撃を止め後ろに退避しようと飛び退くが、ヒロに逃すつもりはない!
Bダッシュと二段ジャンプを組み合わせた高速移動でミミックが飛び退くよりも速く追いついたヒロの剣が、銀色の軌跡を残しながらミミックを頭から真っぷたつに両断していた。
両断する時、ヒロの手には硬い何かを斬る感触が残り、確実に魔石を破壊していた。
魔石を斬られたミミックは、斬られた魔石を残して身体がすべて溶けて消滅してしまう。
「リーシア!」
ヒロはミミックの最後を見届けてから、リーシアの名を叫び辺りを見回すと……少女の華麗な連続蹴りがミミックに決める光景が見えた。
足を蹴り抜く度に体の一部が吹き飛ばされるミミック……最初のときよりも、体の体積を減らし小さくなっていた。
止まらない連続蹴りは、まるでワルツを踊るかの如く流麗な動きで攻撃をかい潜り、ミミックの体を削り続ける。
永遠に繰り出される蹴りの嵐に、ついにミミックが力尽きると、魔石を地面に残し、体は溶けて完全に消滅してしまう。
「ふ~、何とか倒せました」
リーシアは残心のまま構えを解かず、周りを警戒しながらヒロと合流するべく歩き出した。
「リーシア、大丈夫そうですね。良かった」
「はい。私は何ともないです。ヒロも問題なさそうですね。しかし、よくミミックが擬態しているとわかりましたね?」
お互いの無事を確認すると、感心したリーシアがヒロに聞いてみた。
「ええ、最初に違和感を覚えたのは、歩いているところを襲われと言っていたことですね。こんな暗くて危険な夜の森をわざわざ歩くなんてあるのかと……まともなパーティーなら夜営しますよね?」
「でも、内容によっては、夜じゃないと達成できないクエストもありますから、夜に行動して襲われる可能性もありますよ?」
「これはリーシアだけに話しますが、僕のスキル欄にオートマッピングと呼ばれるスキルがさっき現れました」
「オートマッピング?」
「自動的に歩いた道が、マップとして頭の中に表示されるスキルです」
「便利そうなスキルですね」
「はい。使い勝手はコレから検証しますが、地図を自動で作れるのは凄い便利です。でもこのスキルの本当に凄いところは別にあります」
「別にですか?」
「はい。このスキルは簡易MAPを視界に表示できるのですが、敵と味方を光点の色で識別できるみたいなんです」
「すると、さっきのミミックは?」
「最初は灰色でしたが、リーシアが二人の怪我を治療するために近づこうとしたとき、僕がリーシアを静止すると光点が黄色に変わりました。さらにリーシアが手当てをするのに焚き火のそばに招こうとして、僕が間に立った時には赤い光点に変わってしまいました」
「赤いということは……」
「因みにリーシアは青い光点ですよ。つまり明確な敵として簡易MAPに赤く表示されたと言うことです。あとは間違っていたらまずいので、冒険者なら持っていて当たり前のギルドタグを持っているか確認したんです」
「それで銅貨をギルドタグと偽って、ミミックに見せたんですね」
「はい。見事に引っ掛かってくれました。銅貨を見せて、それがギルドタグだと言う冒険者はいないでしょ? 仮にいた時の保険の為に、当たっても謝れば済む銅貨を投擲スキルで投げつけて、様子をうかがう予定でしたが……」
「なるほど、そこで馬脚を現したわけですね。私一人だったら不意を打たれていました。ミミックと戦うのは、はじめてでしたから、危なかったです。ヒロ、ありがとう」
「どういたしまして、無事に倒せて良かったです」
「やはり聞くと戦うのでは違いますね。ミミックの攻撃自体に問題はないですが、擬態に騙されて殺られていたかも知れません」
リーシアが言葉を詰まらせて真剣な顔で考えはじめ、それを見たヒロが心配して声を掛ける。
「どうかしましたか?」
「いえ……実は以前読んだ魔物図鑑に書いてあった内容を思い出していたのですが……確か図鑑には、ミミックの擬態は自分で見た者にしか擬態出来ず、1時間しか持たないって書いてあった気がするんです」
「つまり……」
「この近くに。擬態の元になった女性がいるかも知れません!」
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