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悪役令嬢流告白
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夏休みが近づいている。
その頃になれば御神本舞華が神尾拓に絡むのも恒例行事となりつつあった。
周りの生徒達もいつものことだと気にしなくなっていた。
と、いうか……周りからすれば御神本舞華が神尾拓に気があることはバレバレな事実となっていたのだった。
「神尾さん、神尾さんはいますか?」
昼休みのチャイムが鳴ると同時、教室の扉を勢いよく開けて入ってきたのは御神本舞華。
御神本舞華は神尾拓が関わっていない場では依然として暴君な悪役令嬢のままであり、それもあって神尾拓に好意はもちつつも狙おうとする女子はほぼ存在しなくなっていた。
「御神本さん! なんでチャイムと同時に来れるんですか!?」
田中美洋、彼女だけは違った。
御神本舞華相手にも臆することなく向かっていく。
「あら、田中さん、こんにちは。神尾さんはいます?」
「こんにちは……じゃなくて! 授業はどうしたんですか!」
「そんなもの――途中で抜け出してきました」
「抜け出さないでください!」
こんな光景もいつものことだった。
御神本舞華にとって自分にこんなに言い返してくる存在は貴重だった。
最近はこのやりとりを楽しんでいるような気さえする。
そんな二人に近づく人影があった。
「抜け出すのは駄目だよ舞華さん。そんなことしなくても俺は逃げないよ」
神尾拓、その人だ。
彼はどちらかと言えば一人で過ごすのが好きだ。
だから最初のうちは御神本舞華から逃げるように日々色々な場所を転々として逃げるような行動をとっていた。
だが、全て最後には見つかるのだ。
だから最近は逃げること自体を諦めている。
一人が好きだが、別にそれ以外に被害はないのだ。
そして、最近……彼女に半ば強制的に名前で呼ぶようにと求められた。
「あら拓さん。あなたに早く会いたくて……だから仕方がなかったの」
御神本舞華も神尾拓を名前で呼ぶ。
最初は呼ぶたびに顔を赤くしていた彼女だが最近は吹っ切れたようだった。
「全然仕方なくないよ」
神尾拓はため息を吐く。
このように、最近の御神本舞華は自分への好意を隠さない。
あの日の出来事が原因になっているのは間違いなかった。
○ ○ ○
休みの日、神尾拓の家まで御神本舞華がやってきた日の事だ。
あの日、一日中二人で出かけた。
周りから見たらほぼデートであり、御神本舞華もそのつもりであったことだろう。
神尾拓は買おうと思っていた本の事を考えていたが。
デート中の御神本舞華は終始上機嫌で普段は見せない魅力的な笑顔を振りまいていた。
彼女を知らない人間が彼女を見たら一発で一目惚れしてしまうことは間違いない。
その日の帰り際……御神本舞華は神尾拓に告白した。
「神尾さん。あなたとお付き合いしてあげる。私と交際できるんだから光栄に思ってください」
腕を組んで顔を真っ赤にして御神本舞華は告白した。
告白? した。
「え~っと……」
神尾拓は戸惑った表情で、
「ありがとう。気持ちは嬉しいよ」
と、言った。
御神本舞華の表情に少し安堵の色が見えた……が、
続けて言った神尾拓の言葉に御神本舞華本人だけでなく後ろに控えていた従者の少女の表情まで凍り付いた。
「でも……ごめん。二次元になってからお願いします」
その頃になれば御神本舞華が神尾拓に絡むのも恒例行事となりつつあった。
周りの生徒達もいつものことだと気にしなくなっていた。
と、いうか……周りからすれば御神本舞華が神尾拓に気があることはバレバレな事実となっていたのだった。
「神尾さん、神尾さんはいますか?」
昼休みのチャイムが鳴ると同時、教室の扉を勢いよく開けて入ってきたのは御神本舞華。
御神本舞華は神尾拓が関わっていない場では依然として暴君な悪役令嬢のままであり、それもあって神尾拓に好意はもちつつも狙おうとする女子はほぼ存在しなくなっていた。
「御神本さん! なんでチャイムと同時に来れるんですか!?」
田中美洋、彼女だけは違った。
御神本舞華相手にも臆することなく向かっていく。
「あら、田中さん、こんにちは。神尾さんはいます?」
「こんにちは……じゃなくて! 授業はどうしたんですか!」
「そんなもの――途中で抜け出してきました」
「抜け出さないでください!」
こんな光景もいつものことだった。
御神本舞華にとって自分にこんなに言い返してくる存在は貴重だった。
最近はこのやりとりを楽しんでいるような気さえする。
そんな二人に近づく人影があった。
「抜け出すのは駄目だよ舞華さん。そんなことしなくても俺は逃げないよ」
神尾拓、その人だ。
彼はどちらかと言えば一人で過ごすのが好きだ。
だから最初のうちは御神本舞華から逃げるように日々色々な場所を転々として逃げるような行動をとっていた。
だが、全て最後には見つかるのだ。
だから最近は逃げること自体を諦めている。
一人が好きだが、別にそれ以外に被害はないのだ。
そして、最近……彼女に半ば強制的に名前で呼ぶようにと求められた。
「あら拓さん。あなたに早く会いたくて……だから仕方がなかったの」
御神本舞華も神尾拓を名前で呼ぶ。
最初は呼ぶたびに顔を赤くしていた彼女だが最近は吹っ切れたようだった。
「全然仕方なくないよ」
神尾拓はため息を吐く。
このように、最近の御神本舞華は自分への好意を隠さない。
あの日の出来事が原因になっているのは間違いなかった。
○ ○ ○
休みの日、神尾拓の家まで御神本舞華がやってきた日の事だ。
あの日、一日中二人で出かけた。
周りから見たらほぼデートであり、御神本舞華もそのつもりであったことだろう。
神尾拓は買おうと思っていた本の事を考えていたが。
デート中の御神本舞華は終始上機嫌で普段は見せない魅力的な笑顔を振りまいていた。
彼女を知らない人間が彼女を見たら一発で一目惚れしてしまうことは間違いない。
その日の帰り際……御神本舞華は神尾拓に告白した。
「神尾さん。あなたとお付き合いしてあげる。私と交際できるんだから光栄に思ってください」
腕を組んで顔を真っ赤にして御神本舞華は告白した。
告白? した。
「え~っと……」
神尾拓は戸惑った表情で、
「ありがとう。気持ちは嬉しいよ」
と、言った。
御神本舞華の表情に少し安堵の色が見えた……が、
続けて言った神尾拓の言葉に御神本舞華本人だけでなく後ろに控えていた従者の少女の表情まで凍り付いた。
「でも……ごめん。二次元になってからお願いします」
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