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自分のことばかりだ、そう、俺のことばかり。
だって凜は自分のやりたいことは我慢するし、俺のことを考えるけどずれてる。
俺だって、凜のことを考えてるつもりだけど、たまにこうやってなんか違うなってなっちゃう。
こうしてほしいああしてほしい、俺が言わなきゃ凜は遠慮する。遠慮しないでと言っても。
甘えた方がかわいい、すきだよと言っても、なんらかの理由をつけて甘えてくれないんだろう。
きらわれるのがこわい。
きらわないよと、何度も言っているのに、凜の性格が、過去の生活が、この性が邪魔をする。
だから俺が我儘に見えようが勝手な奴に見えようが、それでも凜にどうしてほしいか伝えなきゃ、細かく言わなきゃ、凜は学習しない。この、悪いことばっかりかなしいことばっかり考えてしまう頭に、俺に頼って甘えて安心していいんだよって、覚えさせないといけない。
俺から手を繋ぐのも、抱き締めるのも、キスをするのも簡単だ、だからこそ、その簡単なことを、凜からもしてほしいんだ。
「っう、あ、う!」
「……ッ、」
そんなことを言うタイミングは我ながら最悪だな、と思う。
早く挿入したいし、凜だって、こんなになって、ヒート中で、早く欲しいと思ってるだろうに、俺にこんなことを言われて。
凜に挿入ったままの指はきゅうきゅう締め付けられるし、それでだろう、凜も甘い声を上げる。
滅茶苦茶にしてしまいたい、優しくしたい、もっと泣いて喘いで、我儘を言って、くっついて甘える凜がほしい。
凜がそういうの、苦手なタイプなら仕方ないと思うけど、凜すきでしょ、そういうの。
手を繋ぐことも、体温を感じることも。あんなに嬉しそうだったじゃないか。あの時みたいに、素直に俺に手を差し出してくれたら。
「あ、甘えるの、って、久しぶり、でっ……」
「ん?」
「……どうしたら、いいか、わか、っない、いいのかな、って、思っちゃっ……て、その、ぼくがさわって、避けられたり、いやだなっておもわれ、たり、とか……」
「思わないよ、避けない、寧ろ凜が触ってくれないと、俺が無理矢理触ってるみたいな気分になる、俺だって甘える凜のお願いを叶えてあげたいよ」
つっかえつっかえ、視線を合わせないまま口にする凜の頬を撫でる。
たかが触れるだけで、悩むことが多い子だ。それでもいい、噛んでしまう前に、不安なことは吐いてしまえばいい。
「凜がしたいこと、されたいことを言っていいんだよ、俺も自分でやってきたことのせいだって反省してる、けど、それでもやっぱり、凜だけがこんなに悩むなんて嫌だよ」
「……う、」
「甘えてくっついて、欲しいもの言って、たまに意見が合わなくて喧嘩してもいいし、でも仲直りして、一緒に寝よう」
「いっ、しょ……」
「俺は凜以外の番は作らないし、だからといって他のひとと結婚とか、そういうのもしないよ、凜だけ、凜とだけ。不安なのはわかるし、でも俺だって不安だし、一緒に乗り越えていきたいとも思う、その相手は凜がいいし、だから俺も、凜から求められたいと思う。オメガだから、こどもが産めないからって遠慮されるなんて嫌だ、俺は都合のいい道具が欲しいんじゃなくて、すきな子に、だいじな子に、同じように思ってほしいだけだよ」
「れいじさん……」
「かわいいって思うんだ、ずっと一緒にいたいって、そう思うのが凜だったんだよ、ね、だからちゃんと俺の番になって、凜をちょうだい、俺も、俺の人生を、これからをあげるから」
俺から強制はしなかった。
凜の視線が自分から合わせられて、指先が浮いて、迷って迷って、やっと俺の裾を掴む。それに出来るだけ優しく、笑ってみせる。
その指がおずおずと俺の腰に伸びて、……腕を回されることはなかったけど、両手でしっかり、ぎゅうと服を掴んだ。
どうしても遠慮がちになってしまう、それでも凜は頑張ってくれたんだろうなってわかる。
「……つ、番にして、……なっ、なってくれますか……?」
「凜」
「ぼくも、れいじさんがいいです、れいじさん、じゃなきゃいやです、ほ、ほんとは、もっと、い、色々、したい、し、されたい……」
「うん」
「嬉しいんです、れいじさんが触ってくれる、のも、手、手ェ繋ぐの、嬉しかった、あたま、撫でてくれるのも、嬉しくて」
「一緒だよ、俺もそれが欲しいの」
「……あたま、撫でる、のも?」
「それもいいかもね」
そうやって、嬉しいことを嬉しいと言ってくれるのも胸がきゅうとなる。そんなの、もっとしてあげたくなるじゃんか。
「れいじさんの手があったかくて、大きくて、優しくて、あ、安心する、し、どきどきしちゃって、こ、こわくなって、ぼく、なんか、……こんなに、貰っちゃっていいのかなって」
「当たり前でしょ、凜が貰ってくれなきゃ困るよ」
「……もっと、触ってほしいっ……て、おも、おもっちゃ、って」
「俺も一緒だよ」
「……はい」
凜の腕がやっと腰に回されて、一瞬躊躇って、それから胸元にかおを埋めて、玲司さんがほしいです、と言う。
漸くだった。
ふたりしてぐずぐずうだうだ言い訳をつけて遠回りして、逃げて逃げて、漸く。
こんなに単純な答えを、こわくて、不安で怯えて出すことが出来なかった。
だって凜は自分のやりたいことは我慢するし、俺のことを考えるけどずれてる。
俺だって、凜のことを考えてるつもりだけど、たまにこうやってなんか違うなってなっちゃう。
こうしてほしいああしてほしい、俺が言わなきゃ凜は遠慮する。遠慮しないでと言っても。
甘えた方がかわいい、すきだよと言っても、なんらかの理由をつけて甘えてくれないんだろう。
きらわれるのがこわい。
きらわないよと、何度も言っているのに、凜の性格が、過去の生活が、この性が邪魔をする。
だから俺が我儘に見えようが勝手な奴に見えようが、それでも凜にどうしてほしいか伝えなきゃ、細かく言わなきゃ、凜は学習しない。この、悪いことばっかりかなしいことばっかり考えてしまう頭に、俺に頼って甘えて安心していいんだよって、覚えさせないといけない。
俺から手を繋ぐのも、抱き締めるのも、キスをするのも簡単だ、だからこそ、その簡単なことを、凜からもしてほしいんだ。
「っう、あ、う!」
「……ッ、」
そんなことを言うタイミングは我ながら最悪だな、と思う。
早く挿入したいし、凜だって、こんなになって、ヒート中で、早く欲しいと思ってるだろうに、俺にこんなことを言われて。
凜に挿入ったままの指はきゅうきゅう締め付けられるし、それでだろう、凜も甘い声を上げる。
滅茶苦茶にしてしまいたい、優しくしたい、もっと泣いて喘いで、我儘を言って、くっついて甘える凜がほしい。
凜がそういうの、苦手なタイプなら仕方ないと思うけど、凜すきでしょ、そういうの。
手を繋ぐことも、体温を感じることも。あんなに嬉しそうだったじゃないか。あの時みたいに、素直に俺に手を差し出してくれたら。
「あ、甘えるの、って、久しぶり、でっ……」
「ん?」
「……どうしたら、いいか、わか、っない、いいのかな、って、思っちゃっ……て、その、ぼくがさわって、避けられたり、いやだなっておもわれ、たり、とか……」
「思わないよ、避けない、寧ろ凜が触ってくれないと、俺が無理矢理触ってるみたいな気分になる、俺だって甘える凜のお願いを叶えてあげたいよ」
つっかえつっかえ、視線を合わせないまま口にする凜の頬を撫でる。
たかが触れるだけで、悩むことが多い子だ。それでもいい、噛んでしまう前に、不安なことは吐いてしまえばいい。
「凜がしたいこと、されたいことを言っていいんだよ、俺も自分でやってきたことのせいだって反省してる、けど、それでもやっぱり、凜だけがこんなに悩むなんて嫌だよ」
「……う、」
「甘えてくっついて、欲しいもの言って、たまに意見が合わなくて喧嘩してもいいし、でも仲直りして、一緒に寝よう」
「いっ、しょ……」
「俺は凜以外の番は作らないし、だからといって他のひとと結婚とか、そういうのもしないよ、凜だけ、凜とだけ。不安なのはわかるし、でも俺だって不安だし、一緒に乗り越えていきたいとも思う、その相手は凜がいいし、だから俺も、凜から求められたいと思う。オメガだから、こどもが産めないからって遠慮されるなんて嫌だ、俺は都合のいい道具が欲しいんじゃなくて、すきな子に、だいじな子に、同じように思ってほしいだけだよ」
「れいじさん……」
「かわいいって思うんだ、ずっと一緒にいたいって、そう思うのが凜だったんだよ、ね、だからちゃんと俺の番になって、凜をちょうだい、俺も、俺の人生を、これからをあげるから」
俺から強制はしなかった。
凜の視線が自分から合わせられて、指先が浮いて、迷って迷って、やっと俺の裾を掴む。それに出来るだけ優しく、笑ってみせる。
その指がおずおずと俺の腰に伸びて、……腕を回されることはなかったけど、両手でしっかり、ぎゅうと服を掴んだ。
どうしても遠慮がちになってしまう、それでも凜は頑張ってくれたんだろうなってわかる。
「……つ、番にして、……なっ、なってくれますか……?」
「凜」
「ぼくも、れいじさんがいいです、れいじさん、じゃなきゃいやです、ほ、ほんとは、もっと、い、色々、したい、し、されたい……」
「うん」
「嬉しいんです、れいじさんが触ってくれる、のも、手、手ェ繋ぐの、嬉しかった、あたま、撫でてくれるのも、嬉しくて」
「一緒だよ、俺もそれが欲しいの」
「……あたま、撫でる、のも?」
「それもいいかもね」
そうやって、嬉しいことを嬉しいと言ってくれるのも胸がきゅうとなる。そんなの、もっとしてあげたくなるじゃんか。
「れいじさんの手があったかくて、大きくて、優しくて、あ、安心する、し、どきどきしちゃって、こ、こわくなって、ぼく、なんか、……こんなに、貰っちゃっていいのかなって」
「当たり前でしょ、凜が貰ってくれなきゃ困るよ」
「……もっと、触ってほしいっ……て、おも、おもっちゃ、って」
「俺も一緒だよ」
「……はい」
凜の腕がやっと腰に回されて、一瞬躊躇って、それから胸元にかおを埋めて、玲司さんがほしいです、と言う。
漸くだった。
ふたりしてぐずぐずうだうだ言い訳をつけて遠回りして、逃げて逃げて、漸く。
こんなに単純な答えを、こわくて、不安で怯えて出すことが出来なかった。
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