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3.職業判明!

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「んじゃ、改めて言うけど、さっきはごめんなさいねー。わたし、もしかしておそわれちゃう⁉ って、つい攻撃しそうになっちゃった。
それにしても、かわいい管理人さんができてうれしいわー。エートちゃんだっけ? 女の子の管理人が増えるのは大歓迎よー。ほら、どうしても男の人には言いづらいこととかあるじゃない? 
あ、わたしのことは清き水の貴婦人、とでも呼んでちょうだい。略して、キヨコでもよしよ」
 べらべらべらっと、えーと、清き水の貴婦人、だと長いな。キヨコが喋った。
「キヨコ、まだエートは管理人じゃない。そいつには、あのカゼひきサラマンダーをなんとかしてもらうのを手伝って……」
 そうヴァンが言ってる最中に、キヨコはぽんっと手を叩いた。
「そうそうそう、それなんだけどね。薬って液体でしょ? だから、わたしがその液体をあやつって、無理矢理アイツの口に流しこんじゃおっかってマオと話してたのよ」
「お、マジか。じゃあ、エート、いらねーじゃん」
 えっ、キヨコの登場で、まさかの試験不合格?
「いや! わたしがやってみます!」
 思わずそう言うと、みんなの視線がわたしに集まった。
「魔物使いになったことですし、わたし、説得してみます!」
 ヴァンは目を見開き、「本気か?」とひとこと。
「あらあら、エートちゃんがそうしてくれると助かるわ~。正直、火のエリアだから、熱くていやだわ~って思ってたの」とキヨコ。
 今までやりとりを見守ってたマオはというと……。
「ほう……。そうだな、では、頼もう」
 よしっ、試験続行決定!
「ああ⁉ おれが散々説得しただろ! ムダだ、ムダ。アイツに説得なんて」
 ヴァンが不満をありありと顔に出して言うも、「ヴァン、おまえの説得は雑なんだ。ここはエートにまかせてみないか?」とマオになだめられている。
「……ちっ、マオが言うならしょうがねー。ただし、これでしくじったら、コイツはもう失格だからな」
 その言葉に、身を引きしめる。
 やれるだけのことを、やってみよう。
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