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4.魔物使いの力
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感動していると、ぶすぶすという音と、コゲ臭いにおい。
「何やってんだ! エート、ムドーをひっこめろ! 火事になる!」
ヴァンがソファから飛び起きて言った。
げ、ムドーの体を包んでいる炎が、床と敷物をこがしちゃってる!
「ふん、少しこげたくらいで騒ぐな、小僧」
「修理すんの、だれだと思ってんだよ!」
やばっ、ケンカしだしちゃったよ!
でも、ひっこめ方、分かんない……。
「すまないな、ムドー。今はちょっと試しで呼んだんだ。エート、戻す呪文はこれだ。『エートの名において、友の助力に感謝する』」
「ごめんね、ムドー! エートの名において、友の助力に感謝する」
マオに続いて復唱すると、ムドーの体の下にまた魔法陣があらわれ、ムドーはそこに吸いこまれていった。
「あれ……?」
くらりと感じるめまい。なんだか、ものすごく体が疲れて、だるい。
「ううう、マオ、ちょっと気分が悪くなったんだけど……」
「ああ、魔力切れだな。まだおまえは魔物使いのレベル一だから」
がーん。もう、魔力切れ?
魔力っていうのは、精神の体力って言えばいいかな。
ほら、動くときには、体力を消耗するでしょ?
それと同じように、魔法を使うと魔力を使うんだ。
魔力は、レベルを上げると、一緒に上がっていく。
ということで、魔力の少ない今のわたしじゃあ、最初から仲間を大量召喚ってのはできないのね……。
「魔物使いとしてのレベルを上げるにはどうすればいいの?」
「そうだな、それこそこ管理人の仕事がぴったりだと思うぞ。モンスターの世話に、苦情処理……。ムドーを仲間にした時みたいに、話術の勉強もするといい。経験値がたまっていく」
ふむふむ、そうなのね。マオの言葉をしっかりと頭に刻み込む。
「ひとまず、少し休むといい。部屋に案内しよう」
マオに連れられて、一階の奥へと進む。
窓の外を見ると、もう夕方になっていた。
今日は不思議なことがありすぎて、もうヘトヘトだよ……。
「ここだ。食事の時間になったら、呼びに来る」
「ありがとう、マオ」
こじんまりしてるけど、ふかふかのベッドに、机とイスのセットがある。
ダンジョンみたいな部屋だったらどうしようかと思っていたけど、ごくごくフツーの部屋で安心。
じゃあなと部屋のドアが閉められた瞬間、わたしははあ~と大きなため息をついた。
そうとう疲れがたまってたみたい。
でも、すごく充実した一日だった。わたしの力で、生きていけるんだって分かったし。
それに……。マオが、家族だって言ってくれた。
うれしい。わたし、このマンションの家族になれたんだ。
ずるずると重い体をひきずって、ベッドにたどり着き、横になるとすぐ睡魔がやってきた。
おやすみなさーい。
「何やってんだ! エート、ムドーをひっこめろ! 火事になる!」
ヴァンがソファから飛び起きて言った。
げ、ムドーの体を包んでいる炎が、床と敷物をこがしちゃってる!
「ふん、少しこげたくらいで騒ぐな、小僧」
「修理すんの、だれだと思ってんだよ!」
やばっ、ケンカしだしちゃったよ!
でも、ひっこめ方、分かんない……。
「すまないな、ムドー。今はちょっと試しで呼んだんだ。エート、戻す呪文はこれだ。『エートの名において、友の助力に感謝する』」
「ごめんね、ムドー! エートの名において、友の助力に感謝する」
マオに続いて復唱すると、ムドーの体の下にまた魔法陣があらわれ、ムドーはそこに吸いこまれていった。
「あれ……?」
くらりと感じるめまい。なんだか、ものすごく体が疲れて、だるい。
「ううう、マオ、ちょっと気分が悪くなったんだけど……」
「ああ、魔力切れだな。まだおまえは魔物使いのレベル一だから」
がーん。もう、魔力切れ?
魔力っていうのは、精神の体力って言えばいいかな。
ほら、動くときには、体力を消耗するでしょ?
それと同じように、魔法を使うと魔力を使うんだ。
魔力は、レベルを上げると、一緒に上がっていく。
ということで、魔力の少ない今のわたしじゃあ、最初から仲間を大量召喚ってのはできないのね……。
「魔物使いとしてのレベルを上げるにはどうすればいいの?」
「そうだな、それこそこ管理人の仕事がぴったりだと思うぞ。モンスターの世話に、苦情処理……。ムドーを仲間にした時みたいに、話術の勉強もするといい。経験値がたまっていく」
ふむふむ、そうなのね。マオの言葉をしっかりと頭に刻み込む。
「ひとまず、少し休むといい。部屋に案内しよう」
マオに連れられて、一階の奥へと進む。
窓の外を見ると、もう夕方になっていた。
今日は不思議なことがありすぎて、もうヘトヘトだよ……。
「ここだ。食事の時間になったら、呼びに来る」
「ありがとう、マオ」
こじんまりしてるけど、ふかふかのベッドに、机とイスのセットがある。
ダンジョンみたいな部屋だったらどうしようかと思っていたけど、ごくごくフツーの部屋で安心。
じゃあなと部屋のドアが閉められた瞬間、わたしははあ~と大きなため息をついた。
そうとう疲れがたまってたみたい。
でも、すごく充実した一日だった。わたしの力で、生きていけるんだって分かったし。
それに……。マオが、家族だって言ってくれた。
うれしい。わたし、このマンションの家族になれたんだ。
ずるずると重い体をひきずって、ベッドにたどり着き、横になるとすぐ睡魔がやってきた。
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