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15.試練を与えよ!
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わたしは、今、城の謁見の間(目上の人と会う部屋のことね)でお父様の前にいる。
お父様の近くには、ウォルツ竜倒公爵、つまり、アンダーソンの父親もひかえていた。
これは、わたしがそう頼んだのだ。
言いたいことがある、と。
これは、マオと管理人のみんなで立てた計画の第一歩だ。
あの後、わたしとマオで、今までのことを管理人みんなに話した。驚いている人もいれば、うすうす感じていた人もいたけれど……。
ヴァンが、「どんな肩書きであれ、エートはエートだろ」ときっぱり言ったのを皮切りに、みんながヴァンの考えに賛同してくれた。
ありがとね、ヴァン。それにみんな。すっごく心強いよ。
わたしの正体がエレオノーラ王女だって分かっても、みんな緊張したり、かしこまらずに、普通に接してくれたんだ。
管理人は、家族と同じ。それを、じんと感じたよ
その後、マオと管理人のみんなで、わたしがうまく戦えるように計画を立ててくれた。
そして、わたしはみんなから応援され、背中を押されるかたちでダンジョン・マンションを後にしたのだ。
ってわけで、わたしは城の前の門でほくろをはずし、門番に顔を見せ、堂々と帰ってきたのである。
「おお、エレオノーラ。よくぞ、よくぞ無事で戻ってきてくれた……!」
お父様が目に涙を浮かべているのを見て、ちくっと罪悪感が胸を差す。
だめだめ、これにまどわされちゃ。
わたしは気を引きしめる。
タダで戻るワケ、ないじゃない!
「お父様、そして、ウォルツ竜倒公爵様も。ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした。これで、フローリアとアンダーソン様と婚約は解消していただけますか?」
「ああ、分かった。そうしよう。ウォルツ竜倒公爵よ、それでよいな?」
「はい。アンダーソンも、納得するでしょう」
よし、竜倒公爵も納得してくれた。
「ただ、お父様、ウォルツ竜倒公爵。わたくしが、アンダーソン様と結婚するにあたって、条件がありますの」
「おお、何だ? 言ってみろ」
わたしは息をすうっと吸って、大声で言った。
「ぶっちゃけ、アイツ、そんなに強いの? 竜倒公爵の息子にしては、ぶよぶよにたるんでるっ! わたしの結婚相手には、わたしより強い人、この国の王をまかせられる人を連れてこーいっ!」
わたしの言葉がくずれ、お父様……、あーもう、メンドクサイ。父さんと竜倒公爵の目が点になる。
まわりにいた兵士たちも、言葉ははさんでこないけれど、驚いている雰囲気が伝わってきた。
「ど、どうした、王女よ。エレオノーラよ」
「どうしたも何も、言葉の通り。わたし、自分より弱い人と結婚なんて絶対にしない。それに、フローリアとの結婚も、認めてやらないから」
こんな風に父さんに反抗したのは、初めてだ。
手汗がひどい。それをぎゅっとにぎりしめる。
バクバクと鳴る心臓に活を入れて、わたしはしっかりと足をふみしめた。
お父様の近くには、ウォルツ竜倒公爵、つまり、アンダーソンの父親もひかえていた。
これは、わたしがそう頼んだのだ。
言いたいことがある、と。
これは、マオと管理人のみんなで立てた計画の第一歩だ。
あの後、わたしとマオで、今までのことを管理人みんなに話した。驚いている人もいれば、うすうす感じていた人もいたけれど……。
ヴァンが、「どんな肩書きであれ、エートはエートだろ」ときっぱり言ったのを皮切りに、みんながヴァンの考えに賛同してくれた。
ありがとね、ヴァン。それにみんな。すっごく心強いよ。
わたしの正体がエレオノーラ王女だって分かっても、みんな緊張したり、かしこまらずに、普通に接してくれたんだ。
管理人は、家族と同じ。それを、じんと感じたよ
その後、マオと管理人のみんなで、わたしがうまく戦えるように計画を立ててくれた。
そして、わたしはみんなから応援され、背中を押されるかたちでダンジョン・マンションを後にしたのだ。
ってわけで、わたしは城の前の門でほくろをはずし、門番に顔を見せ、堂々と帰ってきたのである。
「おお、エレオノーラ。よくぞ、よくぞ無事で戻ってきてくれた……!」
お父様が目に涙を浮かべているのを見て、ちくっと罪悪感が胸を差す。
だめだめ、これにまどわされちゃ。
わたしは気を引きしめる。
タダで戻るワケ、ないじゃない!
「お父様、そして、ウォルツ竜倒公爵様も。ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした。これで、フローリアとアンダーソン様と婚約は解消していただけますか?」
「ああ、分かった。そうしよう。ウォルツ竜倒公爵よ、それでよいな?」
「はい。アンダーソンも、納得するでしょう」
よし、竜倒公爵も納得してくれた。
「ただ、お父様、ウォルツ竜倒公爵。わたくしが、アンダーソン様と結婚するにあたって、条件がありますの」
「おお、何だ? 言ってみろ」
わたしは息をすうっと吸って、大声で言った。
「ぶっちゃけ、アイツ、そんなに強いの? 竜倒公爵の息子にしては、ぶよぶよにたるんでるっ! わたしの結婚相手には、わたしより強い人、この国の王をまかせられる人を連れてこーいっ!」
わたしの言葉がくずれ、お父様……、あーもう、メンドクサイ。父さんと竜倒公爵の目が点になる。
まわりにいた兵士たちも、言葉ははさんでこないけれど、驚いている雰囲気が伝わってきた。
「ど、どうした、王女よ。エレオノーラよ」
「どうしたも何も、言葉の通り。わたし、自分より弱い人と結婚なんて絶対にしない。それに、フローリアとの結婚も、認めてやらないから」
こんな風に父さんに反抗したのは、初めてだ。
手汗がひどい。それをぎゅっとにぎりしめる。
バクバクと鳴る心臓に活を入れて、わたしはしっかりと足をふみしめた。
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