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お友だちが出来ました。(改稿中)
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物置と言われているだけあり、この場所には色々な物が散乱している。
「この絵、埃被ってる……綺麗な絵なんだからちゃんと手入れして飾ればいいのに……」
優しそうな笑みを浮かべる女性が描かれており、平凡以下の私から見れば絶世の美女だ。
「そうだ、物置と言えど私の部屋には変わりないんだから綺麗にして飾っちゃおう」
私の世界では絵画なんて買う余裕も見る余裕もなかったから、ちょっと新鮮な気分だ。
「げっ、げっ、げっ」
絵を磨くため、シンディちゃんにお願いしようとしたら、彼女は止めるように訴えてくる。
「どうしたの? この絵を磨くだけだよ? 名前は知らないけど、こんな綺麗な人の絵なのに埃まみれは可哀想じゃない」
「リリアンよ」
「あ、リリアンさんなんだって。やっぱり美人は名前も可愛いよねぇ」
「まぁ、それほどでもあるけど?」
(ん? 私、さっきから誰と話してるの?)
シンディちゃんも話すけど、正直彼女の言葉は理解不能であり、その場の流れで意思疏通をしている感じだ。
つまり、ここには会話できる人がいるはずなないということで……。
「あたしのこと、綺麗って言ってくれてアリガト♪」
そう言いながら現れたのは、先ほどまで見とれていた絵の中の女性、本人だった。
「ええっ!?」
「壺漁りの勇者やアイテム補充をするダーク様以外でこの物置に誰か来るなんて久しぶり」
けらけらと笑う姿も品があって、よく分からないけど結構な身分の人じゃないのだろうか。
「あたしはリリアン。普通の人間だったんだけど、三代前の魔王の求婚を断ったら絵の中に封じ込められちゃって」
笑いながら言ってるけど、はたして私まで笑ってもいい内容なのか困ってしまう。
「あの、三代前って何年前なんですか?」
「そうねぇ、最初は日にちを数えてたけど千年を超えた辺りから数えるのをやめたわ」
(三代前で最低千年って……長命にも程があるんじゃないかな……)
「あたし、ずっと待ってたのよ。あたしをここから出してくれる人……まぁ、好みのスタイルじゃないけど贅沢は言ってられないわ」
何となく嫌な流れになっている気がして、ひくり、と表情がひきつる。
「ここから出るために貴方の身体、頂くことにするわ」
(や、やっぱり!? に、逃げなきゃ……)
逃げたいのに身体が動かない。
その間にもリリアンさんは私との距離を詰めてきて、ゆっくりとその手を伸ばしてくる。
「心配しなくてもいいわ。貴方の身体はあたしが有意義に使ってあげるから。貧相な身体だから色仕掛けとかは出来ないでしょうけど、まぁ、何とかなるでしょ」
(私の身体なのに酷い言われよう!)
「わ、たしの身体はあなたなんかに渡さない……!」
この世界に来た意味も分からない。
まだこの世界で私は何も出来ていない。
それなのに、こんな所で身体を奪われてたまるものか……!
「うふふ、勝手に言ってれば? あなたがどう足掻こうと身体はあたしがーー」
バチンッ!
リリアンさんの手が私に降れようとした時、何かが弾けるような音が響き渡る。
「その子のことはぁ、ミネルバ様からぁ任されてるのぉ。何かあったら私のせいになっちゃうでしょお?」
ゆっくりと間延びした声が聞こえ、そちらに視線を向けるとリリアンさんにまさるとも劣らない美女が立っていた。
何なのか、この世界は。
女性の美女率が高すぎだろう、とどこか冷静に心の中でツッコミを自分がいる。
「あ、なたは……?」
「んふぅ、それは後でねぇ? さてぇ、リリアン? おいたはするなってぇ、ジャンヌ様とぉ298年前にぃ約束したはずだよねぇ?」
ジャンヌ様、という言葉にリリアンさんがピシリと固まった。
「もしぃ、おいたをしたらぁ即刻消滅させちゃうよぉって言われてたよねぇ?」
「そ、それは……」
「それにぃ、その子はぁミネルバ様のお気に入りだからぁ手を出したらジャンヌ様の
前にぃミネルバ様から殺られちゃうよぉ?」
謎の美女の言葉にリリアンさんは苦々しい表情を見せた後、そのまま消えてしまった。
それと同時に身体の拘束が解けて、その場に座り込んでしまった。
「あ、あの、ありがとうございます……」
「んふふぅ、気にしなくていいのよぉ。私とヨシヨシは相棒だものぉ」
「ーーーーーーーえ?」
「私ぃタコ触手モップ族のシンディよぉ」
あのウネウネタコ触手のイメージとかけ離れすぎて、別な意味で固まってしまった。
「そうだぁ、ヨシヨシ、私とお友だちになりましょうよぉ。ミネルバ様もだけどぉ私もぉヨシヨシのことを気に入ったからぁ」
これからもよろしくね、と言ってシンディちゃんはモップの姿に戻った。
(リリアンさんの絵を磨こうとした時、身体を乗っ取られるからやめろって止めてくれたのかな)
今度からシンディちゃんの言うことは聞いた方が身のためなのかもしれない、と思う。
(友達、か)
異世界での初めての友達が出来て、少し嬉しくなり、私は緩む頬を堪えることで精一杯だった。
続く……
「この絵、埃被ってる……綺麗な絵なんだからちゃんと手入れして飾ればいいのに……」
優しそうな笑みを浮かべる女性が描かれており、平凡以下の私から見れば絶世の美女だ。
「そうだ、物置と言えど私の部屋には変わりないんだから綺麗にして飾っちゃおう」
私の世界では絵画なんて買う余裕も見る余裕もなかったから、ちょっと新鮮な気分だ。
「げっ、げっ、げっ」
絵を磨くため、シンディちゃんにお願いしようとしたら、彼女は止めるように訴えてくる。
「どうしたの? この絵を磨くだけだよ? 名前は知らないけど、こんな綺麗な人の絵なのに埃まみれは可哀想じゃない」
「リリアンよ」
「あ、リリアンさんなんだって。やっぱり美人は名前も可愛いよねぇ」
「まぁ、それほどでもあるけど?」
(ん? 私、さっきから誰と話してるの?)
シンディちゃんも話すけど、正直彼女の言葉は理解不能であり、その場の流れで意思疏通をしている感じだ。
つまり、ここには会話できる人がいるはずなないということで……。
「あたしのこと、綺麗って言ってくれてアリガト♪」
そう言いながら現れたのは、先ほどまで見とれていた絵の中の女性、本人だった。
「ええっ!?」
「壺漁りの勇者やアイテム補充をするダーク様以外でこの物置に誰か来るなんて久しぶり」
けらけらと笑う姿も品があって、よく分からないけど結構な身分の人じゃないのだろうか。
「あたしはリリアン。普通の人間だったんだけど、三代前の魔王の求婚を断ったら絵の中に封じ込められちゃって」
笑いながら言ってるけど、はたして私まで笑ってもいい内容なのか困ってしまう。
「あの、三代前って何年前なんですか?」
「そうねぇ、最初は日にちを数えてたけど千年を超えた辺りから数えるのをやめたわ」
(三代前で最低千年って……長命にも程があるんじゃないかな……)
「あたし、ずっと待ってたのよ。あたしをここから出してくれる人……まぁ、好みのスタイルじゃないけど贅沢は言ってられないわ」
何となく嫌な流れになっている気がして、ひくり、と表情がひきつる。
「ここから出るために貴方の身体、頂くことにするわ」
(や、やっぱり!? に、逃げなきゃ……)
逃げたいのに身体が動かない。
その間にもリリアンさんは私との距離を詰めてきて、ゆっくりとその手を伸ばしてくる。
「心配しなくてもいいわ。貴方の身体はあたしが有意義に使ってあげるから。貧相な身体だから色仕掛けとかは出来ないでしょうけど、まぁ、何とかなるでしょ」
(私の身体なのに酷い言われよう!)
「わ、たしの身体はあなたなんかに渡さない……!」
この世界に来た意味も分からない。
まだこの世界で私は何も出来ていない。
それなのに、こんな所で身体を奪われてたまるものか……!
「うふふ、勝手に言ってれば? あなたがどう足掻こうと身体はあたしがーー」
バチンッ!
リリアンさんの手が私に降れようとした時、何かが弾けるような音が響き渡る。
「その子のことはぁ、ミネルバ様からぁ任されてるのぉ。何かあったら私のせいになっちゃうでしょお?」
ゆっくりと間延びした声が聞こえ、そちらに視線を向けるとリリアンさんにまさるとも劣らない美女が立っていた。
何なのか、この世界は。
女性の美女率が高すぎだろう、とどこか冷静に心の中でツッコミを自分がいる。
「あ、なたは……?」
「んふぅ、それは後でねぇ? さてぇ、リリアン? おいたはするなってぇ、ジャンヌ様とぉ298年前にぃ約束したはずだよねぇ?」
ジャンヌ様、という言葉にリリアンさんがピシリと固まった。
「もしぃ、おいたをしたらぁ即刻消滅させちゃうよぉって言われてたよねぇ?」
「そ、それは……」
「それにぃ、その子はぁミネルバ様のお気に入りだからぁ手を出したらジャンヌ様の
前にぃミネルバ様から殺られちゃうよぉ?」
謎の美女の言葉にリリアンさんは苦々しい表情を見せた後、そのまま消えてしまった。
それと同時に身体の拘束が解けて、その場に座り込んでしまった。
「あ、あの、ありがとうございます……」
「んふふぅ、気にしなくていいのよぉ。私とヨシヨシは相棒だものぉ」
「ーーーーーーーえ?」
「私ぃタコ触手モップ族のシンディよぉ」
あのウネウネタコ触手のイメージとかけ離れすぎて、別な意味で固まってしまった。
「そうだぁ、ヨシヨシ、私とお友だちになりましょうよぉ。ミネルバ様もだけどぉ私もぉヨシヨシのことを気に入ったからぁ」
これからもよろしくね、と言ってシンディちゃんはモップの姿に戻った。
(リリアンさんの絵を磨こうとした時、身体を乗っ取られるからやめろって止めてくれたのかな)
今度からシンディちゃんの言うことは聞いた方が身のためなのかもしれない、と思う。
(友達、か)
異世界での初めての友達が出来て、少し嬉しくなり、私は緩む頬を堪えることで精一杯だった。
続く……
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