あまがみ

り。

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俺の前世は犬だと思う。

いや、冗談じゃなくて。

俺は東雲 勇太という男をよく慕う忠実な犬だ。堅実な犬だ。自分で思う。それはどうしたって抗えるものではなくて、確実なもの。いつからこうなったんだかは分からないけどとにかく今となっては明確にそう思う。

「なあ圭ちゃん」

「なんだよ」

「したい」

「却下」

「えー、いいじゃん一回だけ」

「お前一回じゃ済まないだろ」

「え?それが?」

「曇りのない目で聞くなよ、疲れてるからやだ」

「そんなこと言うなって」

隣に座っていたのが失敗だった。勇太は俺の首に絡みつくとあちこちにキスをしてきた。いつも最中にしてくるようなねっとりしたやつ。思い出して、俺もそういう気分になってくる。

「お、おい……やめ……ッ」

「いいでしょ?ちょっとだけ」

「分かった、分かったよ……」

ああ、まただ。燃えるように身体が熱い。いつもこうだ。勇太に前戯をされるといつもこうなる。火照って、まるで自分の体が勇太のものになってしまったかのような感覚に襲われる。

「勇太、も、もう入れて……っ」

「なぁに圭ちゃん、もう我慢できないの?」

「お願い……」

「はいはい、仰せのままに」

行為をせがむのは勇太の方なのに、挿入をせがむのはいつも俺。本当に勇太はその気にさせるのが上手い。どんどん夢中になっていく。こんなのずるい、溶けていく意識の中俺はそう思った。そしてこうも思った。

こんながっついてたら、嫌われるかな……。

「……っぐす」

「? 圭ちゃん?」

「勇太ぁ……ぐすっ」

「え、何ごめん、痛かった? 強かった!?」

「んーん、俺、っ……勇太が好きだよ……」

「え? お、おう」

「勇太は……ぐすっ、俺のこと嫌いに、なっちゃうかもしれない……」

「なんで」

「俺が、勇太に甘えすぎちゃうから……」

「……」

「勇太……?」

「圭ちゃん聞いて、俺は圭ちゃんが好きだよどんなに圭ちゃんが甘えてこようと圭ちゃんのこと世界でいちばん大好きだから、これは真剣に」

「っ……」

「本当は俺もベタベタし過ぎて圭ちゃんに嫌われちゃうんじゃないかって思ってたけど、今それ聞いて安心した、俺たち同じこと思ってたんだな。俺は圭ちゃん愛してるから、何があっても嫌わないし、むしろどんどん好きになる。俺は圭ちゃんいちばんだから、それだけ覚えておいて」

「勇太……」

悲しみの感情から一変し喜びが溢れてくる。感極まってさっきとは違った涙が流れてくる。嬉しい。不安がすうっと消えていき幸せでむせ返りそうなほど胸がいっぱいになる。

「俺も、勇太のこと好き……大好き!」

嬉しさで泣きながら、でも少しの恥ずかしさで顔を赤らめて笑う。なんとも言えないむず痒い感情のまま、俺は勇太に愛を告げる。勇太も照れくさそうに笑いながら抱きしめてくる。

俺は勇太の犬だ。俺は東雲 勇太という男をよく慕う忠実な犬だ。堅実な犬だ。自分で思う。それはどうしたって抗えるものではなくて、確実なもの。いつからこうなったんだかは分からないけどとにかく今となっては明確にそう思う。


…… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽.

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