自宅が全焼して女神様と同居する事になりました

皐月 遊

文字の大きさ
33 / 63
二章 新学期、新たな出会い編

33話 「正反対の2人」

しおりを挟む
「柊さんじゃん、如月もいるし。 何?やっぱり付き合ってんの?」

「他に七海さんと海堂さんが居るのが見えませんか? 相変わらず思い込みが激しい方ですね?」

神崎と柊が笑顔で言い合う。
2人とも笑顔だが、2人の背後には鬼神が見える程に怖い。

なんなのこの威圧感。 柊さっきまで笑顔だったじゃん。

「…ごめん、話しかけるべきじゃなかったね…」

「…今更遅いだろ…」

八神が小声で謝ってくるが、もう始まってしまったから仕方がない。

「加奈には昨日ちゃんと言ったんだけどな…」

「まぁ…あの2人は正反対だからな。 根本的に合わないんだろう」

柊達を見ると、未だに笑顔で睨み合っていた。
柊があそこまでなるのは本当に珍しいからな…余程神崎の事が気に入らないんだろう。

「てか、柊さんもゲーセンとか来るんだ? 真面目ぶってるけど、意外とそうでもない感じ?」

「私が何処に居ようが私の勝手でしょう? 」

「ふ~ん…?」

神崎は柊から視線を外し、今度は七海を見る。
七海はビクッと身体を震わせて神崎から目を逸らし、春樹の後ろに隠れた。

七海は神崎みたいな陽キャが苦手だからな…

「あんた知ってるよ。 青葉七海でしょ。 横にいるのは海堂春樹。 柊さんに青葉さんに海堂。 3人とも有名人じゃん?」

その後、神崎は俺の方を見てニヤリと笑う。

「如月あんたさ、この3人と釣り合ってなくない? 何?荷物持ちかなにか?」

「加奈。 それは言い過…」

「いい加減にして下さい」

八神が言い返す前に、柊が言い放った。
柊からは笑顔が消え、今は神崎を睨みつけている。

「貴方は容姿でしか人を判断できないんですか? 良くも悪くも高校生らしい考え方ですね」

「はぁ?」

「まず、如月さんに謝って下さい。 前回の事と、今回の事も含めて」

「なんで私が謝らなきゃ…」

「謝って下さい」

神崎の言葉を遮り、柊が言う。
神崎は急に雰囲気が変わった柊に押されている。

「私は本当の事を言っただけじゃん? 
ていうか、本当はあんたら3人も、如月の事を引き立て役くらいにしか思ってないんでしょ?」

早口で捲し立てる神崎に、とうとう柊がブチギレた。

「貴女は…!いい加減に…!!」

「柊、やめろ」

今にも怒鳴りだしそうな柊を止める。
柊は俺を見て目を見開く。

「なんですか…また我慢ですか…?」

悲しそうな顔をする柊に、俺は小さく笑い、柊を神崎から離し、七海達の近くに連れて行く。
そして、俺は神崎と向かい合う。

「…別に俺はさ、周りの奴らに自分がどう思われようが興味ないんだよ。
人それぞれ考え方は違うからな」

「…はぁ?」

俺の言葉に、神崎は顔をしかめる。

「だけど、俺が悪口を言われる事で、俺の友達は辛い思いをするらしい。
正直、俺にはその気持ちは分からなかった。
だけど、今なら分かる」

俺は、神崎を睨みつける。

「俺の事はボロクソに言っても良いけどな、俺の友達を悪く言うのは辞めろ。
コイツらは引き立て役とか、そんな事を考えるような奴らじゃねぇ」

そう言うと、神崎は鼻で笑った。

「そんなの、なんで分か…」

「分かる。 コイツらの顔を見たら分かるんだよ」

柊だけじゃない。言い返さないだけで、七海も春樹も怒っていた。

そして、八神でさえも怒っていた。

「別に謝れとは言わねぇよ。 ただ、根拠もなく人を馬鹿にするのは辞めろ」

「…俺からもいいか?加奈」

八神が言うと、神崎はビクッと身体を震わせた。

「…さっきから黙って聞いてたけど、流石に度が過ぎるよ。 前に俺が言った事、もう忘れたか?
如月は俺の友達。 俺はそう言ったよな?」

神崎は震えながら頷く。

「じゃあ、俺が友達を馬鹿にされたらどう思うかも、知ってるよな」

神崎は泣きそうになる。

八神って怒るとこうなるんだな…
冷静に捲し立てて行くタイプか…

「なら、どうすればいいと思う?」

八神は笑顔で言う。
すると、神崎は俺達に頭を下げてきた。

「ご…ごめん…なさい…」

あの女王様でも、王子様には勝てないらしい。
素直にいう事を聞いて謝罪をする神崎に、俺達4人は苦笑いをする。

「俺からも謝るよ。 今回こうなった原因は俺が話しかけたせいだしね。
本当にすまない」

神崎と共に、八神も頭を下げる。

その後、八神は神崎を連れて何処かへ去って行った。

「ふぅ…疲れた」

俺は力無く自動販売機の前に置いてある休憩用の椅子に座る。

「…如月くん」

柊は、不安そうな顔で俺を見る。

「柊、今回も言い返してくれてありがとな」

「…こちらこそ、言い返してくれてありがとうございました」

柊はペコリと頭を下げてくる。

「正直、また言い返さずに我慢するのかと思ってました」

「私も思った」

「僕も同じだね」

「お前ら…どんだけ信用されてないんだよ俺は」

落ち込む俺を見て、柊は笑った。
そして、柊は元気よく立ち上がる。

「もう少しだけ遊んで行きましょう? 私、あの車のゲームやってみたいです!」

柊の提案に賛同し、俺達は柊と共に歩き出した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれから時間が経ち、今、俺は新しく飲み物を買いに行き、春樹はトイレに行っているのだが、飲み物を買って2人が待つ場所に戻ると、俺は先程の選択を後悔した。

柊と七海はかなりの美少女だ。
そんな奴らを、2人きりにするべきじゃなかった。

「良いじゃん俺達と遊ぼうよ!ね?」

「ですから…私達には待っている人が…」

ゲーセンという事で、かなり柄の悪い男2人にナンパされていた。
柊はなんとか拒否しているが、人見知りの七海は完全にびびってしまっている。

春樹もいないし、ここは俺が行くしかないだろう。

「柊、七海」

2人に声をかけると、2人の顔が明るくなった。
それとは真逆に、ナンパしていた男2人は俺を睨みつけた。

「何、お前がこの子達のツレ?」

「何この地味な奴。 こんなのより俺達と遊ぼーよ」

男達は無理矢理柊達の手を掴む。
マズイな、ここは強引にでも2人の手を引いて走るしか…

「ナンパとかキモすぎんだけど。 目障りだから他所でやってくんない?」

突然、神崎が声をかけてきた。
どうやらまだゲーセン内に居たらしい。

「あと、そこ邪魔だからどいて。 私そのクレーンゲームやりたいから」

「おぉ、君も可愛いじゃん! 3人とも一緒に…」

めげずに神崎にもナンパする男に、俺は素直に感心してしまう。
神崎は鼻で笑う。

「あんたらみたいな男、私に釣り合わないでしょ。 柊さん達にも釣り合ってないから、とっとと帰れば?」

煽るように言うと、男達はイラついたのか、顔をしかめる。

「店員さんこっちです」

近くで八神と春樹の声が聞こえたのでそちらを見ると、2人が店員をつれてきていた。

ナンパ男2人は店員に何処かへ連れて行かれ、その場には先程の6人が残る。

「柊さんさ、ああいう時はもっと強く拒否んなきゃダメっしょ? 青葉さんもびびってないで、強気に構えなきゃ」

「は、はい」

「…はい」

神崎にダメ出しをされ、柊と七海は頷く。
そして、次に神崎は俺の胸を叩く。

「アンタは1番しっかりしなきゃダメっしょ男なんだから。 さっき私に言い返したみたいに強気に行かないと」

「お、おぉ…?」

なんだ…?なんか神崎の雰囲気がさっきと違う気が…

そんな事を思っていると、八神が察したのか、小さく笑った。

「本来ならね、加奈はとても良い子なんだ。 ただ周りに流されやすいのと、プライドが高すぎる所があってね。
だから今回の件もヒートアップしちゃっただけなんだ」

なるほど、だからヒートアップして柊との口論をやめられなくなってしまったのか。

「加奈はずっと自分が悪いんだって分かってたんだよ。 ね?加奈」

「……」

諭すように言う八神に、神崎は顔を背ける。

嫌な奴だとは思ったが、ただ素直になれない奴だったらしい。

さっきも助けてくれたしな。

「ナンパされてるのを見て、俺は店員を呼びに行こうとしたんだけど、加奈はすぐに走っていったもんね」

「ちょ…! 天馬それは…!」

恥ずかしそうに顔を赤らめる神崎に笑うと、神崎に睨まれた。

こっわ…

「…神崎さん。 私、貴女の事嫌な人だと思ってました」

ゆっくりと、柊が喋る。
そして、神崎に頭を下げた。

「先程は助けてくれてありがとうございます。 そして、色々言いすぎました。ごめんなさ…」

「謝んないで」

謝ろうとする柊の言葉を、神崎は遮った。

「最初に言っとくけど、私あんたの事嫌いだから。 今回助けたのは今までのお詫び。 だから頭なんて下げないでよ気持ち悪い」

神崎が言うと、柊がムッとした顔になる。

「き、気持ち悪いとはなんですか…! 」

「実際にそう思ったから言っただけだけど? 1回助けただけで掌返すとか単純すぎない?」

「な…! やっぱりあなたは嫌な人です!」

「嫌な人で結構~」

また言い合いが始まってしまったが、今回の言い合いは先程の言い合いとは違い、笑いながら見れた。

性格も考え方も正反対な2人だが、柊にとって、七海とは違うタイプの知り合いになれるのかもしれないなと、2人を見て思った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい

沢尻夏芽
恋愛
 自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。  それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。 『様子がおかしい』 ※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。  現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。  他サイトでも掲載中。

処理中です...