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本編
61話
しおりを挟む抑え込んでた想いを吐き出すかのように泣いた僕は、恥ずかしさでヴァルの顔が見れない。
地球に住んでた頃は、何があっても泣かなかったから。いや、泣くことすら諦めてしまったから。
だから、こんなに何もかもを吐き出すように泣いたのは初めてかもしれない。
『少しは落ち着いたか?』
「ぅ、ぅん...」
『我は役得というものを味わった』
「役得・・・?」
『理由が何であれ碧衣が初めて我の胸で感情を表に出した。とても嬉しいことだ』
「ぁ、恥かしいから忘れて!」
『忘れぬよ。我と碧衣は一心同体だからな。ハハハ』
あれ?ちょっと待って・・・。
少し前まで僕の名前を呼ぶ時片言じゃなかったっけ?
今、普通に僕のこと呼ぶのに小骨が取れたような・・・。なんというか、話し方が流暢になってるような・・・?
「ねぇ、ヴァル。 気になることあるんだけど」
『どうしたのだ?』
「僕のこと呼ぶ時、いつもなら片言じゃなかった? なんか、こう話し方がスムーズになってる気がするんだけど・・・。僕の勘違いかな?」
『この話し方は前からだぞ。碧衣を怖がらせまいと話慣れしてない感じにしていたのだ』
それに、我に怯えていただろう?
と言われてしまえば何も反論できない碧衣は、確かにと納得したのだった。
「ところで、これいつまで膜張ってるのかな? 僕、こういうのよく分からないんだけど」
『我ではどうすることも出来ないな。 そもそも、この水膜は碧衣の心に反応しておる。 何が理由で碧衣が上位魔法を発動させたのか分からぬことには下手なことはせぬほうがよいだろうな』
「え? 僕、下位魔法もまだ習得してないよね?」
『いや、碧衣は既に中位魔法まで習得しておるぞ』
「・・・・・・・」
固まっている碧衣に対してヴァルは何が面白いのかクックッと喉を鳴らしている。
数秒後か、数分後かは分からない。 それでも、徐々に思考が動き始め碧衣は叫ぶことになった。
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