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再会
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そうして、三年後。目の前に、あの憎っくきヴェルハルトが立っていた。
「なんで、お前がここにいる…?」
あの後私は、すぐ家を出て冒険者になった。
元々生まれつき適性のあった私だが本来ならそんな必要はなかった。
そう、本来なら幼い頃から婚約者のいる伯爵令嬢には必要なかった。
自分は守られて当然と思っていたし周りもそうだったから。
けど、幼い時仲の良かった乳母一家…正確には私の乳母とその夫、同じ年の乳兄弟とその兄は皆うちの使用人として当家に仕えていた。乳母の夫は腕に覚えがある人だったし乳兄弟の兄も もう剣も使え士官してもおかしくないくらいに成長していた。
なのに、たまたま狙っていた獲物を逃したあげく兵士に追われて手負いの獣のようになっていた盗賊にかち合ってしまい、私と乳兄弟以外皆殺された。
「お嬢様だけは死んでも必ず!」
「逃げて下さい早く…!」
皆が叫びながら死んで行ったのを忘れない。
忘れる事が出来ない。
どうして。
大好きだったのに。
皆ずっと一緒だと思っていたのに。
一人生き残った乳兄弟は
「お嬢様だけでも無事で良かったです」と言った。
泣きそうな顔で。
心はもっとずっと激しく慟哭しているのだろう事が容易にわかる顔で…
いざという時、自分の身すら守れない者は大切なものも守れない。
そう強く思い知った私はお父様に願い出た。剣を習い、実戦でも役に立つくらい強くなりたいと。
父は「花嫁修業だけしていれば良い」と良い顔をしなかったが乳母一家殺害を目にした私の心中を慮ってだろう、渋々「本来やるべき事も疎かにしない」事を条件に私が冒険者としての修行をするのを認めた。すぐに脱落すると思っていたのだとも思う。
だが、私には適正があったらしい。
すぐに上達し、一番狩るのが容易なC級モンスターから始めてすぐにB級までなら単独で狩れるようになった。A級はまだ助けがないと無理だったが….卒業したらすぐに結婚するのだからそろそろやめろと言われていた。
もう護身術としては充分だろうと。
言われて基礎のトレーニングだけは続けさせてもらう条件で不承不承頷いたところに、まさかの〝当の婚約者の心変わり〟である。
伯父様に話を通すのと同様、父にも同じく話を付け、同時に修行の難易度を上げた。
「もしヴェルハルトが婚約破棄してきたなら私は家を出てハンターになる、醜聞になったあとこの町にはいたくない」と。
父は何故落ち度のない私が出て行くのか、証拠は抑えてあるのだからヴェルハルトをとっちめればいい、と言ったが
「私がもう男性不信なのです。誰とも結婚したくありません。けれどお父様と伯父様が今でも固い友情で結ばれていることも承知しています。私の事とは関係なく変わらずお付き合いしていただきたいのです。ですから、、ヴェルハルトとの婚約が間違いだったとお考えなら私の望みを叶えて下さいませ。私の事を誰も知らない場所で生きてみたいのです」
と説得した。ヴェルハルトやその他(攻略対象ズ)の様子からやらかす事は間違いないと踏んだ私は既に準備万端整えて今日を迎えた。
家に戻った私は家族に挨拶しすぐに着替えて出発した。
夜のうちに町を出て翌日には国も出て、隣国のギルドに登録した。
最初は実力を測る為の雑魚モンスターから初めて次にB級を楽に倒せるのに驚かれ、次いでA級も狩ってみせたら何故かギルドの宿で祝杯をあげられ 無事ギルドの洗礼(?)を通過した。訳ありの冒険者なんて珍しくないから、皆私の素性は詮索しないし腕が確かだと広まるにつれ依頼も増え私のハンター名〝アイリ〟(前世名からとったわけではない。単にCodiliaの綴りを逆読みにして取っただけである)は広まっていった。
ハンターになって一年後には私は単独でS級を狩れる一人としてその名を知られていた。
赤い髪に金茶の瞳、量の多い髪は家を出る時にばっさり切ったが1年後には肩より下まで伸びて風を受けると広がるのとこれは自分ではよくわからないが戦ってる時の私の瞳は金色に輝いてるのだそうだ
。そのせいで妙な二つ名が付いてるらしいがそこは深く考えない事にした。
冒険者は基本〝流し〟だからあちこちのギルド拠点を点々としながら依頼をこなす。国内の拠点のみを点々とする者もいたが私は国外にもどんどん出て行った。そこで初めて会う人間もいれば以前別のギルド拠点で顔見知りになった人もいて挨拶を交わす、そんな生活が当たり前になった。
基本的にソロの私はパーティーは組まないが、大物依頼でその時だけ一緒にハントする依頼も条件が悪くなければ受ける。そうしておけば顔つなぎになるしそういった知り合いとは連帯感も信頼も得られるから次のちょっと美味しい仕事二人ひと組の依頼なんだけど一緒にどぉ?と言ってもらえたりするし、大人数パーティーでも使えるハンターだと認識してもらえればこういった依頼は途切れない。
今回の仕事も以前大人数パーティーで組んだ事のある顔見知りに声を掛けられて受けた依頼で、目的は森で暴れ出したドラゴンの殲滅。かなり大規模なパーティーで先陣が盾、中核が攻撃、後陣がヒール及び後方支援と分けられた本格的パーティーだった。こういった依頼は受ける面子が大体決まっていたので殆どが一度は組んだ事があるかなくてもどこかで見かけた顔だったのだが全く知らない顔も幾人か混ざっていた。そしてその中に何故かヴェルハルトがいた。
「なんで、お前がここにいる…?」
あの後私は、すぐ家を出て冒険者になった。
元々生まれつき適性のあった私だが本来ならそんな必要はなかった。
そう、本来なら幼い頃から婚約者のいる伯爵令嬢には必要なかった。
自分は守られて当然と思っていたし周りもそうだったから。
けど、幼い時仲の良かった乳母一家…正確には私の乳母とその夫、同じ年の乳兄弟とその兄は皆うちの使用人として当家に仕えていた。乳母の夫は腕に覚えがある人だったし乳兄弟の兄も もう剣も使え士官してもおかしくないくらいに成長していた。
なのに、たまたま狙っていた獲物を逃したあげく兵士に追われて手負いの獣のようになっていた盗賊にかち合ってしまい、私と乳兄弟以外皆殺された。
「お嬢様だけは死んでも必ず!」
「逃げて下さい早く…!」
皆が叫びながら死んで行ったのを忘れない。
忘れる事が出来ない。
どうして。
大好きだったのに。
皆ずっと一緒だと思っていたのに。
一人生き残った乳兄弟は
「お嬢様だけでも無事で良かったです」と言った。
泣きそうな顔で。
心はもっとずっと激しく慟哭しているのだろう事が容易にわかる顔で…
いざという時、自分の身すら守れない者は大切なものも守れない。
そう強く思い知った私はお父様に願い出た。剣を習い、実戦でも役に立つくらい強くなりたいと。
父は「花嫁修業だけしていれば良い」と良い顔をしなかったが乳母一家殺害を目にした私の心中を慮ってだろう、渋々「本来やるべき事も疎かにしない」事を条件に私が冒険者としての修行をするのを認めた。すぐに脱落すると思っていたのだとも思う。
だが、私には適正があったらしい。
すぐに上達し、一番狩るのが容易なC級モンスターから始めてすぐにB級までなら単独で狩れるようになった。A級はまだ助けがないと無理だったが….卒業したらすぐに結婚するのだからそろそろやめろと言われていた。
もう護身術としては充分だろうと。
言われて基礎のトレーニングだけは続けさせてもらう条件で不承不承頷いたところに、まさかの〝当の婚約者の心変わり〟である。
伯父様に話を通すのと同様、父にも同じく話を付け、同時に修行の難易度を上げた。
「もしヴェルハルトが婚約破棄してきたなら私は家を出てハンターになる、醜聞になったあとこの町にはいたくない」と。
父は何故落ち度のない私が出て行くのか、証拠は抑えてあるのだからヴェルハルトをとっちめればいい、と言ったが
「私がもう男性不信なのです。誰とも結婚したくありません。けれどお父様と伯父様が今でも固い友情で結ばれていることも承知しています。私の事とは関係なく変わらずお付き合いしていただきたいのです。ですから、、ヴェルハルトとの婚約が間違いだったとお考えなら私の望みを叶えて下さいませ。私の事を誰も知らない場所で生きてみたいのです」
と説得した。ヴェルハルトやその他(攻略対象ズ)の様子からやらかす事は間違いないと踏んだ私は既に準備万端整えて今日を迎えた。
家に戻った私は家族に挨拶しすぐに着替えて出発した。
夜のうちに町を出て翌日には国も出て、隣国のギルドに登録した。
最初は実力を測る為の雑魚モンスターから初めて次にB級を楽に倒せるのに驚かれ、次いでA級も狩ってみせたら何故かギルドの宿で祝杯をあげられ 無事ギルドの洗礼(?)を通過した。訳ありの冒険者なんて珍しくないから、皆私の素性は詮索しないし腕が確かだと広まるにつれ依頼も増え私のハンター名〝アイリ〟(前世名からとったわけではない。単にCodiliaの綴りを逆読みにして取っただけである)は広まっていった。
ハンターになって一年後には私は単独でS級を狩れる一人としてその名を知られていた。
赤い髪に金茶の瞳、量の多い髪は家を出る時にばっさり切ったが1年後には肩より下まで伸びて風を受けると広がるのとこれは自分ではよくわからないが戦ってる時の私の瞳は金色に輝いてるのだそうだ
。そのせいで妙な二つ名が付いてるらしいがそこは深く考えない事にした。
冒険者は基本〝流し〟だからあちこちのギルド拠点を点々としながら依頼をこなす。国内の拠点のみを点々とする者もいたが私は国外にもどんどん出て行った。そこで初めて会う人間もいれば以前別のギルド拠点で顔見知りになった人もいて挨拶を交わす、そんな生活が当たり前になった。
基本的にソロの私はパーティーは組まないが、大物依頼でその時だけ一緒にハントする依頼も条件が悪くなければ受ける。そうしておけば顔つなぎになるしそういった知り合いとは連帯感も信頼も得られるから次のちょっと美味しい仕事二人ひと組の依頼なんだけど一緒にどぉ?と言ってもらえたりするし、大人数パーティーでも使えるハンターだと認識してもらえればこういった依頼は途切れない。
今回の仕事も以前大人数パーティーで組んだ事のある顔見知りに声を掛けられて受けた依頼で、目的は森で暴れ出したドラゴンの殲滅。かなり大規模なパーティーで先陣が盾、中核が攻撃、後陣がヒール及び後方支援と分けられた本格的パーティーだった。こういった依頼は受ける面子が大体決まっていたので殆どが一度は組んだ事があるかなくてもどこかで見かけた顔だったのだが全く知らない顔も幾人か混ざっていた。そしてその中に何故かヴェルハルトがいた。
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