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帰国
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そして現在私は母国の王宮にいる。
依頼内容は
「親父には一度婚約者を連れて無事な姿を見せに行くからこれ以上追手を出さねーように話をつけるからその婚約者のふりをしてくれ」
だった。
当然「冗談じゃない」と即お断りをしたのだが「王宮マナーが身についてる冒険者なんてそうそういねぇだろ。アンタだって実家に挨拶くらいしたいんじゃないか?」
私は実家にだけは現在地と元気でやっている旨をまめに知らせていた。
親不孝な娘からのせめてもの親孝行である。
「………」
「な?夜会の準備はこっちでするしその後俺は王宮で親父と話つけるから2~3日滞在する。その間あんたは実家でしばし休養すれば良い。それまでの費用はもちろんギャラも色つけて払う。悪い話じゃないだろ?」
そう言われて不承不承来てみてはみたものの。
王族がたもひと通り入場を済ませて歓談しだした夜会の中盤いきなり私を連れてずかずかと王に近づいていったコイツは
「お久しぶりです父上。お元気そうで何よりですその様子ならまだまだ先も長そうですね。第二第三王子の教育頑張って下さい」
と早口でまくしたて、
「お前っ…!」
国王を絶句させた。
「これを期に申し上げておきますが今後あのようは追っ手を行く先々に放たれませんよう。私を追うよりご自分の、ひいては国の足元をご覧になった方がいい」
「…な ん だ と…?」
持っている盃を震わせる国王の反応に頓着せず
「あ そうそう彼女が私の婚約者 兼 相棒のアイリです」
誰が相棒だ誰が。
思いつつ相手は国王なので最上級の礼をすると周囲が息をのんだ。
国王もしげしげと私を見遣り、
「其方は…」
「流石父上。お分りですか、彼女は愚かな弟をはじめ有力な貴族子弟が次々引っかかったハニートラップの被害者コーディリア・バルトア令嬢です。婚約者に愛想をつかした彼女は元々あった魔法素養を磨き今や一流の冒険者の仲間入り。素晴らしいでしょう?」
おぉ、とどよめきにも似た声があがり続いて「やはり…、」とか「まさか」といったひそひそ声が混ざる。
その時、「コーディリア様!お会いしたかったですわ!」と飛びついてきた令嬢がいた。
「っ?!」
そんな覚えはなかったので一瞬身構えたがその令嬢の顔を見、あの王太子の婚約者だと気付く。
「あの時、貴女がああしてくれなかったら私達は皆謂れのない罪を着せられ未だ立ち直れないままだったかもしれません。ずっとお礼が言いたかったのです」
「そうでしたか。それは良かった」
微笑んで言えば何故かキャーッと悲鳴があがる。
「私も!ずっとお礼が言いたかったのです!あの不実な元婚約者に言ってやりたい事全部言ってくださって本当に!すっきりしましたわ!」
「私もです!あの時のコーディリア様は本当に美しくて、いえどんな騎士様より格好良かったですわ!私胸が高まってしまって…!」
「本当に!あの時の不実な殿方達に比べてあの時のコーディリア様の凛々しさといったら…、あの後冒険者になられてたなんて素敵あ いえその…、またお会い出来て嬉しいですわ。ずっとお礼が言いたかったんですの」
「それは皆一緒ですわ。そうだ!コーディリア様、我が家でお茶会を開きますので是非!旅のお話もお聞きしたいわ」
婚約破棄した貴族の令嬢が家を出て冒険者やってたなんて、今までの貴族社会ではつまはじきにされてた筈なのに、何故か歓迎されている。その様子に、まず国王が驚愕した。
「これが現在の貴族達の答えですよ。長年王妃教育に耐えてこられた高位の貴族令嬢に対してあんな辱しめを与えた王家に娘を託す貴族は確実に減っていくと思われた方がいい」
あの馬鹿王太子はまだ廃太子されていない。第一が出奔したままなのと、第三がまだ九歳と幼いからだ。
「だからお前を戻そうとしたのだろうがっっ」
「俺は出て行く時にちゃんと王家の特権放棄してったでしょう?そもそも王太子だからといってアレに我儘放題させすぎだあなたは。だから、」
ちら、と会場の端に目をやった途端、
「ちっ、出るぞ全員で抑え込め!」
黒装束の男が会場のあらゆる物陰から踊り出てくる。
「こうなるんだよっ!」
依頼内容は
「親父には一度婚約者を連れて無事な姿を見せに行くからこれ以上追手を出さねーように話をつけるからその婚約者のふりをしてくれ」
だった。
当然「冗談じゃない」と即お断りをしたのだが「王宮マナーが身についてる冒険者なんてそうそういねぇだろ。アンタだって実家に挨拶くらいしたいんじゃないか?」
私は実家にだけは現在地と元気でやっている旨をまめに知らせていた。
親不孝な娘からのせめてもの親孝行である。
「………」
「な?夜会の準備はこっちでするしその後俺は王宮で親父と話つけるから2~3日滞在する。その間あんたは実家でしばし休養すれば良い。それまでの費用はもちろんギャラも色つけて払う。悪い話じゃないだろ?」
そう言われて不承不承来てみてはみたものの。
王族がたもひと通り入場を済ませて歓談しだした夜会の中盤いきなり私を連れてずかずかと王に近づいていったコイツは
「お久しぶりです父上。お元気そうで何よりですその様子ならまだまだ先も長そうですね。第二第三王子の教育頑張って下さい」
と早口でまくしたて、
「お前っ…!」
国王を絶句させた。
「これを期に申し上げておきますが今後あのようは追っ手を行く先々に放たれませんよう。私を追うよりご自分の、ひいては国の足元をご覧になった方がいい」
「…な ん だ と…?」
持っている盃を震わせる国王の反応に頓着せず
「あ そうそう彼女が私の婚約者 兼 相棒のアイリです」
誰が相棒だ誰が。
思いつつ相手は国王なので最上級の礼をすると周囲が息をのんだ。
国王もしげしげと私を見遣り、
「其方は…」
「流石父上。お分りですか、彼女は愚かな弟をはじめ有力な貴族子弟が次々引っかかったハニートラップの被害者コーディリア・バルトア令嬢です。婚約者に愛想をつかした彼女は元々あった魔法素養を磨き今や一流の冒険者の仲間入り。素晴らしいでしょう?」
おぉ、とどよめきにも似た声があがり続いて「やはり…、」とか「まさか」といったひそひそ声が混ざる。
その時、「コーディリア様!お会いしたかったですわ!」と飛びついてきた令嬢がいた。
「っ?!」
そんな覚えはなかったので一瞬身構えたがその令嬢の顔を見、あの王太子の婚約者だと気付く。
「あの時、貴女がああしてくれなかったら私達は皆謂れのない罪を着せられ未だ立ち直れないままだったかもしれません。ずっとお礼が言いたかったのです」
「そうでしたか。それは良かった」
微笑んで言えば何故かキャーッと悲鳴があがる。
「私も!ずっとお礼が言いたかったのです!あの不実な元婚約者に言ってやりたい事全部言ってくださって本当に!すっきりしましたわ!」
「私もです!あの時のコーディリア様は本当に美しくて、いえどんな騎士様より格好良かったですわ!私胸が高まってしまって…!」
「本当に!あの時の不実な殿方達に比べてあの時のコーディリア様の凛々しさといったら…、あの後冒険者になられてたなんて素敵あ いえその…、またお会い出来て嬉しいですわ。ずっとお礼が言いたかったんですの」
「それは皆一緒ですわ。そうだ!コーディリア様、我が家でお茶会を開きますので是非!旅のお話もお聞きしたいわ」
婚約破棄した貴族の令嬢が家を出て冒険者やってたなんて、今までの貴族社会ではつまはじきにされてた筈なのに、何故か歓迎されている。その様子に、まず国王が驚愕した。
「これが現在の貴族達の答えですよ。長年王妃教育に耐えてこられた高位の貴族令嬢に対してあんな辱しめを与えた王家に娘を託す貴族は確実に減っていくと思われた方がいい」
あの馬鹿王太子はまだ廃太子されていない。第一が出奔したままなのと、第三がまだ九歳と幼いからだ。
「だからお前を戻そうとしたのだろうがっっ」
「俺は出て行く時にちゃんと王家の特権放棄してったでしょう?そもそも王太子だからといってアレに我儘放題させすぎだあなたは。だから、」
ちら、と会場の端に目をやった途端、
「ちっ、出るぞ全員で抑え込め!」
黒装束の男が会場のあらゆる物陰から踊り出てくる。
「こうなるんだよっ!」
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