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月明かりの邂逅
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深更、京の夜の明かりも雲に隠された僅かな月明かりのみとなった頃、そろそろ眠れる場所に移動しようとしたところで「こんばんは、お嬢さん」と声をかけられた。
シルエットですぐに誰か気付いた少女は「“お嬢さん“って、この時代の貴人は使わないわよね?やっぱりあなた達、この世界の人じゃないんだ?あ 人でもないか、正体知らないけど」
特段驚きもせずそう返した少女に月二人は息を呑む。
その時月を覆っていた雲が晴れ、明るい月明かりが少女を照らした。
「お前は……!」
「蓮花さま……?」
眩しそうに纏い付く視線を煩わしそうに払う仕草をした少女は、
「あなた達にはそう見えるのね?」
そう睨む少女の瞳に気付いて、
「その……瞳の色は……!」
「主の知り合いにいるのか?」
驚愕する月影にがらりと口調を変えた少女が問うと、
「いえ……そういうわけでは」
言葉を濁す月影に、
「全く相変わらずの狸っぷりじゃな、其方らは」
紫色の瞳の少女が挑発するように笑う。
「織羽もよくやったものだ、知らぬ世界で其方らとやり合うのは大変だったろうに」
「貴女は一体……」
「其方らに応える義務はない。妾を狩れるものなら狩ってみせよ」
そう言い放って少女は身軽に月の前から姿を消した。
「どう思う」
「死霊でも生霊でもないようです。かといって物の怪とも」
「なら何だ」
「織羽どのとも蓮花様とも違う、第三の魂とでも言えましょうか」
「だとしても何故体を持っている?幻術でああ見せているわけでもなさそうだったが」
「ええ。月光下で見せたあの姿は実体だと思われます」
「透夜の話では織羽のいた世界の知識もあるようだったと言っていたな?」
「ええ。そもそも今回の経緯をよくご存知でしたね」
「この世界では我らと織羽しか知らないはずなのだがな」
「生前の織羽どのに詳しく聞いたか、でなければ記憶だけ浚ったのか」
「浚ったとしたらどこのどいつだ?」
「たまたまこの世界に来た別の迷子と合わさったか、でなければ__」
「“敵“がなりすます為にそうしたか、か」
「そうは見えませんでしたが」
「だが“狩ってみろ“と言っていたぞ?」
「そうですが敵意や害意といったものは感じ取れませんでした」
「__身分が高い者のような物言いだったな」
「そうですね。動きも舞うように軽やかでした」
「ますますわからん。上にどう報告したものか……」
「何か騒ぎを誘発するような動きをしているわけでなし、とりあえず保留で良いかと」
「そうだな。とりあえず透夜にも伝えておくか、アイツが協力的かはわからんが」
「御意」
シルエットですぐに誰か気付いた少女は「“お嬢さん“って、この時代の貴人は使わないわよね?やっぱりあなた達、この世界の人じゃないんだ?あ 人でもないか、正体知らないけど」
特段驚きもせずそう返した少女に月二人は息を呑む。
その時月を覆っていた雲が晴れ、明るい月明かりが少女を照らした。
「お前は……!」
「蓮花さま……?」
眩しそうに纏い付く視線を煩わしそうに払う仕草をした少女は、
「あなた達にはそう見えるのね?」
そう睨む少女の瞳に気付いて、
「その……瞳の色は……!」
「主の知り合いにいるのか?」
驚愕する月影にがらりと口調を変えた少女が問うと、
「いえ……そういうわけでは」
言葉を濁す月影に、
「全く相変わらずの狸っぷりじゃな、其方らは」
紫色の瞳の少女が挑発するように笑う。
「織羽もよくやったものだ、知らぬ世界で其方らとやり合うのは大変だったろうに」
「貴女は一体……」
「其方らに応える義務はない。妾を狩れるものなら狩ってみせよ」
そう言い放って少女は身軽に月の前から姿を消した。
「どう思う」
「死霊でも生霊でもないようです。かといって物の怪とも」
「なら何だ」
「織羽どのとも蓮花様とも違う、第三の魂とでも言えましょうか」
「だとしても何故体を持っている?幻術でああ見せているわけでもなさそうだったが」
「ええ。月光下で見せたあの姿は実体だと思われます」
「透夜の話では織羽のいた世界の知識もあるようだったと言っていたな?」
「ええ。そもそも今回の経緯をよくご存知でしたね」
「この世界では我らと織羽しか知らないはずなのだがな」
「生前の織羽どのに詳しく聞いたか、でなければ記憶だけ浚ったのか」
「浚ったとしたらどこのどいつだ?」
「たまたまこの世界に来た別の迷子と合わさったか、でなければ__」
「“敵“がなりすます為にそうしたか、か」
「そうは見えませんでしたが」
「だが“狩ってみろ“と言っていたぞ?」
「そうですが敵意や害意といったものは感じ取れませんでした」
「__身分が高い者のような物言いだったな」
「そうですね。動きも舞うように軽やかでした」
「ますますわからん。上にどう報告したものか……」
「何か騒ぎを誘発するような動きをしているわけでなし、とりあえず保留で良いかと」
「そうだな。とりあえず透夜にも伝えておくか、アイツが協力的かはわからんが」
「御意」
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使うには難しい物語を基にされているのに、無理なく惹きつけられる作品で、感動しました❣️投票も、もちろんさせて頂きました。今後の展開を楽しみにしております。
紗矢香様
感想と投票ありがとうございます!
以降の物語も惹きつけ、ひっぱっていけるよう頑張ります!次の更新で漸く第一部エピローグの彼女が登場しますので、引き続きよろしくお願いします♪
作者様
面白くて一気読みしてしまいました😃
投票も、もちろんこちらの作品に
入れさせていたました💓💓💓
更新、楽しみにしております。
るりまま様
ありがとうございます!
大変励みになります&投票くださったとの事、本っ当に嬉しいです!
更新頑張りますので引き続きよろしくお願いします!