〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?

詩海猫(9/10受賞作発売中!)

文字の大きさ
46 / 73

45

「あの王女は城に滞在中、とにかく将軍に絡んでは色目を使っていましたからね。尤も将軍は全く相手にしていませんでしたし、秋波を送られていることすら気付いていなかったかもしれませんが」
やっぱそうか。
(あんなに顔面偏差値高いのに、その辺無頓着なところがあるとは思ってたけど。ていうか行く先々で言い寄られたりしなかったのかな?)
「言い寄られてる自覚のない人でしたから、その分周囲にいる我々が注意していましたので将軍は潔白ですよ、心配いりません。というかアルスリーア様はあの王女の言うことを鵜呑みにしなかったのですね」
「?鵜呑みにする理由がありませんもの」

そう答えるアルスリーアを、ディーンは眩しいものでも見るように仰ぐ。

いくら今は形だけの夫婦と言っても、長い遠征中一ヶ月近く滞在した先の王女が愛し合っていたなどと言ってくれば、疑ってしまっても仕方のないところだ。

ましてやその間二人は全くの音信不通だったのだから、「私への言葉は嘘だったのね!」と激昂してもおかしくないところなのに冷静に対応し、「買収された兵士やメイドがいるらしい」という報告と共に「こういうことがあったのですがどういうことか伺っても?」と訊ねてくる。

王女本人と対峙してもさらりとかわした上での行動。
高位の貴族令嬢であっても、こんな対応のできる令嬢がどれだけいるだろう。
将軍エドワードの愛した人は凄い女性ひとだなとつくづく思うディーンだった。

そして、何故だかディーンが感動したような目で見てくる意味がわからないアルスリーアは微妙に居心地の悪い時間を過ごすことになった。



*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*

「__あの女!なんなのよ許せないゆるせない許さない!たまたまエドワード様と幼馴染で結婚しただけの子爵の娘ごときが!私に逆らうなんて!」
レベッカは近くの調度品を乱暴に投げつけながら喚き散らしていた。

国は違えど自分は王女だ。
王族なのだ。
民は皆平伏さなければならない存在だ。
そう思うのに、耳に蘇るのは「私は貴女の国の民ではない」「言うことをきく理由がない」というあの女の言葉。

髪を振り乱したまま暫く固まっていたが、
「__そうよ、そうだわ」
ポツリと呟き、淀んでいた瞳に嫌な光が灯る。
「直ぐにお父様にお手紙を。間違いは、正さなくっちゃ」
かきむしったせいでボサボサになっている髪に頓着せず、呼び鈴を鳴らして侍女を呼ぶ。
呼ばれた侍女は気味の悪いものを見たような顔をするが自分の考えに酔っているレベッカは気付かない。
直ぐに上等の紙とペンを持って来るように命じ、妖艶に微笑んだ。




同じ頃、エドワードの急襲(?)を受けた国王がキラッキラの笑みを浮かべたエドワードと対峙し、「いつもの仏頂面の百倍怖ぇ……」と内心で悲鳴をあげていた。
















感想 35

あなたにおすすめの小説

片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた

アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。 高校生くらいから何十回も告白した。 全て「好きなの」 「ごめん、断る」 その繰り返しだった。 だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。 紛らわしいと思う。 彼に好きな人がいるわけではない。 まだそれなら諦めがつく。 彼はカイル=クレシア23歳 イケメンでモテる。 私はアリア=ナターシャ20歳 普通で人には可愛い方だと言われた。 そんなある日 私が20歳になった時だった。 両親が見合い話を持ってきた。 最後の告白をしようと思った。 ダメなら見合いをすると言った。 その見合い相手に溺愛される。

夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです

藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。 理由は単純。 愛などなくても、仕事に支障はないからだという。 ──そうですか。 それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。 王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。 夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。 離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。 気づいたときにはもう遅い。 積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。 一方で私は、王妃のもとへ。 今さら引き止められても、遅いのです。

幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。

たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。 彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。 『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』 「……『愛している』、ですか」 いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。

白い結婚のまま、旦那様は薔薇のような美人に夢中になりました

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢リディアは、美貌で有名な侯爵レオンハルトに嫁いだ。 けれど結婚して二年、夫婦は一度も結ばれないまま――白い結婚だった。 それでも旦那様は優しかった。 冷たいわけではない。気づかいの言葉も、穏やかな笑顔もくれる。 だからリディアは、愛されてはいなくても、いつか少しは夫婦になれるのではないかと信じていた。 そんなある日、彼女は知ってしまう。 旦那様が薔薇の君と呼ばれる絶世の美女に心を奪われていることを。 彼が触れなかったのは私にだけだったのだと。 都合のいい奥方として、役に立っていたと悟る 静かに離縁を決意したリディアは、実家へ戻ったあと、女子学院で働き始める。 すると侯爵夫人時代には当たり前だった実務のすべてが、外では驚くほど必要とされていた。 感謝され、認められ、自分の足で立ち始めた彼女は、少しずつ見違えるほど美しくなっていく

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる── 侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。 だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。 アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。 そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。 「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」 これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。 ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。 4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。

愛される女と利用される女 ~すぐ怪我する義妹と心配する王子、私はお見合いで何を見せられているのでしょうか~

夢窓(ゆめまど)
恋愛
スミッシィ公爵家のひとり娘ハーミヤは、王太子のお見合い相手に選ばれた。 しかし何度会っても、会話は天気と花だけ。毎回、王子の義妹が怪我をして乱入してお見合いは、途中で終わる。 断ったはずのプロポーズ。サインしていない婚約書類。気づけば結婚式の準備だけが、勝手に進んでいた。 これは、思い込みの激しい王子と、巻き込まれた公爵令嬢の話。

婚約者の王太子が平民と結婚するそうです──どうぞ、ご勝手に【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子エドモンが平民との“真実の愛“を宣言した日、王国の均衡は崩れた。 エドモンの婚約者である公爵令嬢エヴァは、公衆の面前で婚約破棄され、更には婚約者のいるクラウディオ・レンツ公爵との結婚を命じられる。 ──そして舞踏会の夜。 王太子妃になった元平民ナタリーは、王宮の礼儀も政治も知らぬまま混乱を引き起こす。 ナタリーの暴走により、王家はついにエヴァを敵に回した。 王族は焦り、貴族は離反し、反王派は勢力を拡大。 王国は“内乱寸前”へと傾いていく。 そんな中、エヴァの前に跪いたのは王太子の従弟アレクシス・レンツ。 「僕と結婚してほしい。  僕以外が王になれば、この国は沈む」 冷静で聡明な少年は、エヴァを“未来の国母”に据えるためチャンスを求めた。 「3ヶ月以内に、私をその気にさせてご覧なさい」 エヴァは、アレクシスに手を差し伸べた。 それからの2人は──? ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。視点が頻繁に変わります。