〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?

詩海猫(9/10受賞作発売中!)

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「急だけれど十日後に夜会を開くことになったよ」
その日の帰りの馬車の中でエドワードが言った。
「……ほんとに急ですわね」
(たぶん、国王陛下と何か企、いや決めてきたんだろうけど)
「急いでリーアのドレスを仕立てないといけないな。王妃様が協力してくださるそうで明日邸にお針子を寄越してくださるそうだ」
「は?」
夜会はいつやろうが国王の勝手だが(それもどうかと思うが)、それと私のドレスに何の関わりが??

「とにかくリーアを今までで一番、いや君はいつだって一番美しいし今の装いでも充分女神のように輝いているが__「要点を話してくださいエドワード様」」
称えていただけるのはありがたいし嬉しいが話が進まないのは困る。

あと、単純に恥ずかしい。

いつからこんな美辞麗句を吐く人になったの?

これも遠征に行った先々で覚えたスキルなの?

それは今まで何も口にしてこなかったが故に八年振りに再会した最愛の相手に「どちら様ですか?」と言われ猛省したことと、頼れる部下たちに想いはその都度ちゃんと伝えろと叱咤されたからだったが、「もしかしてそれなりに女性とそういう会話をしてきたのかしら?」とアルスリーアに僅かな疑念を抱かせることになった。

ともあれ、
「とにかくその夜会で“誰よりも華やかに装って参加せよ“との御下命なんだ。費用は国王陛下が負担してくださるそうだ」
なんですと?

臣下の妻の装いが国王持ちなんてアリなんだろうか。
「国王陛下も王妃様もレベッカ王女のことで君への詫びも兼ねてとのことだ」
なるほど……、

じゃない、

詫びの気持ちってこんな高額商品化するものだっけっ?!

そのまま頷きそうになったところを、
「あの、詫びにしても高価すぎやしませんか」
「なに、その分慰謝料としてミレスナからふんだく、いや請求するから問題ないそうだ」
今ふんだくるって言ったよね?
いや、確かに他国の人間がいきなりこの国の伯爵の恋人を名乗って(書類上は)妻に離婚を迫るって大問題だけど。
ディーンとエドワードは“あの親子“って言ってたから、国王とあの王女はグルで何か企んでるってこと?

いくら王妃が亡くなってるからってあそこまでヤバい王女を放蕩三昧させるだろうか?
仮にも一国の王なのに。
考え込んでしまう私をよそに、
「大丈夫だ、次は絶対君の側を離れない。何があっても必ず守るから」
真剣な顔で言われ、私の思考は中断、もとい回路がボンっ!と音を立てて切れた。

こんなことをこの顔で言われて赤くならない女性がいるだろうか、いたら教えて欲しい。

赤くなった顔を見られないように俯いたままの私に「具合が悪いのか?!」と叫んでそのまま病院に駆け込みそうなエドワードに、「疲れただけなので早く帰りましょう」と出来るだけ落ち着いた声で言うのが精一杯だった。















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