クマの短編ホラー小説

クマミー

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隣の物置き部屋

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 壁が薄いせいか、隣の部屋から話し声が聞こえてくる。内容はわからない。壁に耳を当てても、何やらモゴモゴ言っているようで聞き取れない。

 私はアパートの管理人に相談することにした。
「そこは物置き部屋ですよ。話し声なんて聞こえるはずはないと…。」
管理人は不思議がる。確かに物置き部屋だった。しかしどうしても隣からの音が気になるので、中を見せてもらった。私は原因を突き止めるべく、スマホのカメラを起動した。中には掃除用具やカラーコーンがあった。これといったものは見当たらない。

 すると、後ろで物置き部屋の扉が閉まった。
「えっ?ちょっと!何してるんですか?!」
扉を開けようにもびくともしない。部屋は薄暗くて良く見えない。

 突然、部屋の奥から何かの気配を感じた。スマホを向け、目を凝らして見ていると、何かがこちらへ近づいてる。それは呻き声と共に迫る無数の腕だった。血の気のない、傷だらけの腕が私の体につかみかかった。

(終わった…。)
そう思ったとき、扉が開いた。
「何遊んでるんですか?あなた?」
尻もちをついた私の後ろには管理人の姿があった。
「もうこの部屋を十分堪能したでしょ?もう閉めるよ。」
部屋の奥を見ると、無数の腕は消えていた。

 自分の部屋戻り、スマホを確認したが、私を襲った無数の腕は映っていなかった。

 私はその日のうちに引っ越しを決意した。
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