また、会いたい… 〜少しずつ見える狂気〜

クマミー

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扉の奥 

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 扉を開くと、階段が地下へと続いていた。不思議なことに、地下の暗闇が引き込むように自分を呼んでいるように感じた。得体の知れない何かが存在していて、その何かが龍太郎を誘っているかのようだった。
 
 龍太郎はカメラを起動し、少しずつ下へ降りていった。階段は少し長く感じた。今は草木生い茂る夏。しかし地下へ続くこの階段は異様な程寒かった。民宿は木造なのだが、地下への階段も壁も石造りで、触るととても冷たかった。自分の足音以外何の音もしない。そして何より、スマホのライトがほとんど先を照らせてない。スマホの光を地下の暗闇が圧倒しているのだ。振り向いたが、もう入った扉が見えない。

 2、3分くらい降りただろうか、また扉にたどり着いた。鈍く錆びた鉄の扉が目の前に現れた。扉は開けようとしたが、重くて開けるのにかなり難儀した。さっきまでは自分を誘い込むような暗闇が続いていたが、今度はここには来るな、いや、絶対入らせないとでも言っているかのようだった。やっとのことで開けると、その部屋はまるで実験室のようだった。大きなカプセルが2つ、大きな2台のモニターなどがあり、細かい配線はもはやどこに繋がっているかわからないくらい乱雑になっていた。適当に撮影して早く戻ろう。父さんにまた怒られてしまう。民宿の夫婦にも何を言われるかわからない。

2台のモニターは心電図だとすぐにわかった。母さんが入院していた頃、病院で見かけたことがあった。カプセルはとても冷たかった。中を覗くと、人間が入っていた。カプセルのパネルのボタンがいくつかあった。龍太郎は驚いて尻もちをついてしまった。声が出なかった。

目が合った。生気のない虚ろな目。20~30代の男性に見えるが、その顔が自分に少し似ているのだ。もう1人は子どもだった。なぜか着物を着ている。カプセルの中にいる人間はピクリとも動かない。龍太郎はスマホを見ると、画面が割れていた。同時に、バッテリーが切れかかりそうなことに気がついた。
「クソ…こんなところで…。」

すると突然、
「こらこら。勝手に触ってはいかんよ!」

白衣を着た男が現れ、怒鳴られた。その白衣の男は一直線にカプセル向かった。龍太郎は民宿に来て、白衣を着た男には1度も会っていない。白衣の男はカプセルに異常がないと確認出来たのか、龍太郎を一瞥もせずに、資料だらけのデスクに座った。

「おじさん誰ですか?」

「誰でもいい。ここで研究をしている者だ。」
男は白衣に加え、2、3日風呂に入っていないようなボサボサ頭、メガネを頭にかけている。いかにも研究者の身なりをしている。
「これ…何の実験ですか?このカプセルの中の人たちは?」

「君、"研究"と言っただろう?わかったらここから出ていってくれないか。気が散ってしょうがない。」
白衣の男は頭をボリボリ掻きながら、モニターや資料を読んでいる。

「カプセルの中の人は死んで…」

「生きてるよ!!死んでなんかいないさ…。」
龍太郎が言い終わらないうちに、白衣の男が言い放った。

白衣の男は続けて、
「君はカリギュラ効果を知っているかね?」

「カリ…何?」

「カリギュラ効果だよ。聞いたことない?」

「…。わかんねぇよ!何言ってんの?」
龍太郎は意味のわからない言葉を当然のように使われ、イライラした。

「わかりやすい例を上げるなら鶴の恩返しさ。お爺さんは"開けてはいけません"という鶴との約束を破ってふすまを開けただろう?」

「鶴の恩返しくらい知ってるよ!」
龍太郎は少し乱暴に返事した。

「君はここに入ってはいけない、近づいてはいけないという約束を破っただろう?人との約束を破ると身を滅ぼすことになるぞ。」

龍太郎は訳がわからなかった。
(たった今会ったばかりなのに、なぜ上での会話を知っているんだ?)

「おじさん本当に誰?何で約束のこと知ってんだよ?民宿に泊まってんの?」

すると突然後ろから龍太郎は何者からか口を塞がられ、
「そろそろ眠る時間…。」
と耳元で囁く声がした。目の前がボヤけて、暗くなり、崩れ落ちた。
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