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暗闇と気配
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「やっぱり本物の末裔の話は違うよなぁ。聞き入ってしまったよ。なぁ龍太郎?」
少し興奮気味の幸祐とは対照的で、龍太郎は意外にも冷静で、
「本当かどうかわからないじゃん。あのおじさん本当に桃太郎の末裔なの?」
「スマホ向けて記者みたいに質問してたくせに。本当は信じてるんだろう?」
「内容は面白かったよ?でも桃太郎伝説っていつの時代の話だよ。あまりにも詳しく話し過ぎ。作ってるか、盛ってるかだろ。」
(確かに子どもの考えていることはわからんな。でも何でも話を鵜呑みにしないところは褒めんとな)
幸祐は龍太郎のひねくれている性格の反面、冷静に話を聞いていたことに少し成長を感じた。
その夜、龍太郎は寝たフリをしていた。あの扉を開けて動画に撮ってやるからだ。予想通り、森での動画はバズらなかった。動画がぶれ過ぎて、高評価はほとんどつかなかった。
幸祐はビールを5杯も飲んだから、ぐっすり眠っている。龍太郎はそっと部屋から出た。1階に降りようとしたが、すぐに立ち止まってしまった。階段の下が異様に暗いのだ。玄関からの月明かりも弱々しい。時刻は午前2時を過ぎた頃。門限を11時とした理由が外にいる動物のだけじゃないことが、龍太郎にも何となくわかった。抜け出したと気づかれないよう、廊下の電気はつけられない。あの夫婦がどの部屋で寝ているかわからない。龍太郎は携帯のライトをつけた。残りのバッテリー量は36%、心もとないバッテリー量だ。
「充電すんの忘れてた…。うざっ…。」
父さんや民宿の夫婦に気づかれないように静かに降りようとしたが、この民宿は築42年の木造。一歩踏み出すたびにきしむのだ。階段がきしんで大音量に聞こえる。まるできしむ音のオーケストラだ。昼間は全く気にならなかった音が、いまは民宿中に響き渡って聞こえる。
ようやく1階に降りた。さっきまで桃太郎伝説の話で盛り上がっていたのはずが、まるでウソのような静寂さがあった。扉もうすぐそこだが…階段を降りる途中くらいから後ろに何かの気配を感じていた…。ピッタリ着いて来て、常に見られている感じ。その気配はまるで
(お前のやろうとしていることを見ているぞ!)
と圧をかけて伝えてきているかのようだ。戻ろうかとも思ったが、後ろの気配がそうさせてくれない。龍太郎は前に進むしかなかった。
「ギギッッ!」
突然大きな音が立ってしまった。自分なのか?それとも後ろの何かなのか?わからない!恐怖と驚きと気づかれるとマズイという感情がごちゃごちゃになって、龍太郎は5秒程その場から動けなかった。
息をい整え、勇気を出して、背後をライトで照らした…
すると一瞬、何か黒い影が横にサッと動いた気がした…
2、3歩戻ってあたりを照らしたが、何もいなかった。あるのは古くなって年季の入った家具がきれいに置いてあるだけだった。龍太郎はゆっくりすり足で進み出した。幾分か足音はマシになった。
ようやく扉の前までたどり着いた。普通に歩けば、10~15秒で行き着く場所だが、5分もかかってしまった。いや、龍太郎にはそれ以上の時間に感じていた。扉の前に立つと、背後の気配はなぜか消えていた。貞夫から民宿いさきでの注意点を聞いてからずっと、どうやって扉を開けてやろうかとずっと考えていた。ネットで調べた開かない扉の開け方を1つずつ試そうとした。しかし…
扉は…
既に開いていた。
少し興奮気味の幸祐とは対照的で、龍太郎は意外にも冷静で、
「本当かどうかわからないじゃん。あのおじさん本当に桃太郎の末裔なの?」
「スマホ向けて記者みたいに質問してたくせに。本当は信じてるんだろう?」
「内容は面白かったよ?でも桃太郎伝説っていつの時代の話だよ。あまりにも詳しく話し過ぎ。作ってるか、盛ってるかだろ。」
(確かに子どもの考えていることはわからんな。でも何でも話を鵜呑みにしないところは褒めんとな)
幸祐は龍太郎のひねくれている性格の反面、冷静に話を聞いていたことに少し成長を感じた。
その夜、龍太郎は寝たフリをしていた。あの扉を開けて動画に撮ってやるからだ。予想通り、森での動画はバズらなかった。動画がぶれ過ぎて、高評価はほとんどつかなかった。
幸祐はビールを5杯も飲んだから、ぐっすり眠っている。龍太郎はそっと部屋から出た。1階に降りようとしたが、すぐに立ち止まってしまった。階段の下が異様に暗いのだ。玄関からの月明かりも弱々しい。時刻は午前2時を過ぎた頃。門限を11時とした理由が外にいる動物のだけじゃないことが、龍太郎にも何となくわかった。抜け出したと気づかれないよう、廊下の電気はつけられない。あの夫婦がどの部屋で寝ているかわからない。龍太郎は携帯のライトをつけた。残りのバッテリー量は36%、心もとないバッテリー量だ。
「充電すんの忘れてた…。うざっ…。」
父さんや民宿の夫婦に気づかれないように静かに降りようとしたが、この民宿は築42年の木造。一歩踏み出すたびにきしむのだ。階段がきしんで大音量に聞こえる。まるできしむ音のオーケストラだ。昼間は全く気にならなかった音が、いまは民宿中に響き渡って聞こえる。
ようやく1階に降りた。さっきまで桃太郎伝説の話で盛り上がっていたのはずが、まるでウソのような静寂さがあった。扉もうすぐそこだが…階段を降りる途中くらいから後ろに何かの気配を感じていた…。ピッタリ着いて来て、常に見られている感じ。その気配はまるで
(お前のやろうとしていることを見ているぞ!)
と圧をかけて伝えてきているかのようだ。戻ろうかとも思ったが、後ろの気配がそうさせてくれない。龍太郎は前に進むしかなかった。
「ギギッッ!」
突然大きな音が立ってしまった。自分なのか?それとも後ろの何かなのか?わからない!恐怖と驚きと気づかれるとマズイという感情がごちゃごちゃになって、龍太郎は5秒程その場から動けなかった。
息をい整え、勇気を出して、背後をライトで照らした…
すると一瞬、何か黒い影が横にサッと動いた気がした…
2、3歩戻ってあたりを照らしたが、何もいなかった。あるのは古くなって年季の入った家具がきれいに置いてあるだけだった。龍太郎はゆっくりすり足で進み出した。幾分か足音はマシになった。
ようやく扉の前までたどり着いた。普通に歩けば、10~15秒で行き着く場所だが、5分もかかってしまった。いや、龍太郎にはそれ以上の時間に感じていた。扉の前に立つと、背後の気配はなぜか消えていた。貞夫から民宿いさきでの注意点を聞いてからずっと、どうやって扉を開けてやろうかとずっと考えていた。ネットで調べた開かない扉の開け方を1つずつ試そうとした。しかし…
扉は…
既に開いていた。
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