貴方と雪と僕

しろちゃん

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ファッションセンスは人並みです。

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チリリリリリリ、と甲高い音が聞こえる。
僕は目覚まし時計をピッと止める。
「今の時間は...」

[8:45]

「やべ!!約束間に合わねぇ!!」
急いで起きて準備して行くのだった...


そして、待ち合わせ場所に近づくとある人影が見える。
「あの形..桜?!」
そして、桜がこっちを見ると笑顔で手を振ってきた。
しかも服が桜1色...
派手だな…なんて、思ってしまう。
「やっほー!綉君!5分12秒の遅刻だよ」
「いや、細すぎて着いてけんわ…」
「よし!じゃあ、レッツゴー!!」
と言い、スッテプしながら先を歩いていく桜。
「ちょっと待てよー!」
そう言いながら僕は迷子にならないように桜を追いかけるのだった。


数分後、僕らは服屋に来ていた。
「ねぇねぇ!どれにする??」
「あ!あれもいいねー!でもこれは?」
と、勝手に盛り上がっている桜をみて段々と憂鬱になってくる。
こいつ元気すぎるんだよなぁ、と思いながら付いていく。
「あのなぁ、まず俺のファッションセンスを見てからの方が決めやすくないか?」
「お、それもそうですね。そうしましょう!」
そうして僕は派手でもなく地味でもない微妙なジーパンとパーカーを選んだ。
なんだそれみたいな目で桜は僕を見る。
「なんだその顔」
「だってダサすぎますもん。ファッションセンス人並みですか??いや、人以下ですか?」
「おい、そこまで酷くないぞ」
結構個人的にはいい服だと思ったんだけどな、と呟きながら服を探す。
「お!これなんていいんじゃないですか?貴方の好きそうな服ですよ!!」
色柄も形もまさに俺好みの服だった。
「よしそれにしよう」
「決めるの早!?!?」
「だって、この服良くないか?桜服のセンスプロなんじゃねーの?」
「ま、私はコーティングがプロですから」
じゃあその桜一色の服はプロと言えるのか。
と、心の中で呟く。
さて、お会計time!!
ここはカッコつける場所だ! 
店員さんに合計5900円と告げられる。
さてと、僕の財布の中は、、、と。
「え?!?!」
と思わず声を上げてしまった。
それは財布の中に2000円しか入ってなかったからだった。
ヤバイヤバイヤバイ!!
バレたらまずい!変な目で見られるのは確定だ!
「どうかしました??」
そう聞く桜に小声で告げる。
「財布に2000円しか入ってない」
「馬鹿ですか?」
正直自分も思った。うん。
でも桜がいて助かった。
会計出してくれた桜に感謝しなくては。
何だかんだあり、雑談しながら帰り道を歩き続けると桜の家に着いていた。
「ここが桜の家?!デカすぎ!!」
いや冗談抜きで大豪邸だ。
プール付きなのか。すげぇなこの家。
「じゃあ、とりあえず今日はありがとな。桜」
「いえいえ。礼にも及びませんよ」
そういうと桜はとびっきりの笑顔を見せた。
正直惚れそうだ。
なんて考えながら自宅まで歩くのだった。
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