転生したので、とりあえず最強を目指してみることにしました。

和麻

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第一章  ~騎士団~

決意

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 2人の男性が出ていった後に、ふと疑問に思った。

あれ?俺って今までどんな風に話してたんだっけ。

さっきは、泣いて、取り乱してたからそれなりに幼いしゃべり方だったよな。

あんまりしゃべってないけど。

まぁ、俺の元のしゃべり方を知ってる人はみんな居なくなっちゃったからな、、、。

前世まえのしゃべり方でいいか。

うん、しゃべり方についてはこれでいいだろう。そんなことより騎士団についてだ。

考えろと言われても、結論は話を聞いているときから出ている。

悩むまでもなく、騎士団一択だ。

だけど、団長はよく考えろと言っていたんだよな。

つまり、合格は難しいということか。

というか、子供が大人に勝てるわけないから健闘するか、戦い方の内容次第なんだろうな。

はぁ、今は俺のステータスの成長率に賭けるしかないな。

取り合えず、騎士の大体のステータスを鑑定することから始めよう。

あの時は、動揺していて鑑定する余裕がなかったからな。

うんっと頷いて、目下の方針を決め
部屋から出ようと立ち上がったとたん、


グゥーーーーー

うわ、でっけぇ腹の音。

これ俺のだ。うっわぁー恥ずかしい。

そういえば、倒れてからなにも食ってないんだよな。そりゃ腹も減るわ。

食堂かなにかないのかな。暇だし、散歩がてら探してみるとするか。

俺は部屋を出て、建物内を散歩することにした。

どうやらこの建物全体は西洋のお城と言うよりは、石造りの要塞みたいな造りになっているようだ。

外観がどうであれ、どこに何があるのか知らないからな。

とりあえず、声のする方へ行くか。

方針を決めてから、適当に廊下を進んでいると、

「ハァッ」

カンカンカン

キィン

どこからか訓練をしているとような声がした。

ちょうどいい。この声のする方へ向かってみるとするか。

~~~~~

そのまま真っ直ぐ進んでいると、広場に出た。どうやらここで訓練をしているようだ。

すぐそばには広場へ下りる階段があり、その下からひたすら稽古をする声が聞こえて来る。

やっぱり、この下で正解だな。 

「やぁ、少年。お父さんへ届け物かい?」

休憩中の兵士らしき人が話しかけてきた。

「いや、俺は昨日からここに預けられてるんだ。部屋に居ても暇だったから、散歩をしていたところなんだ。」

それを聞くと、兵士は驚いたようだった。

「そうか、お前が昨日の、、、。ごめんな、嫌なことを聞いた。」

「いや、別に。気にしてない。」

そんなに気遣われると、逆に辛いってことを分かってはくれないのだろうか。

いや、これは八つ当たりだな。

この兵士はなにも悪くない。悪いのは、一々突っかかる俺だ。

俺は、少々自己嫌悪に陥ってしまった。

けれども、兵士はなにも気付かずに

「お前は強いな。でも、子どもがそうやって、大人のように全てを受け入れなくてもいいと思うぞ?」

「受け入れてなんていないさ、、、。」

ただ、受け入れているように見せているだけで。

ふとした拍子に、現実が辛くなるんだから。

俺の寂しそうな様子に責任を感じたのか、兵士は下へ見学に来るか?と聞いてきた。

もちろん返事はYesだ。もともとそのためにここへ足を運んだんだからな。

兵士に連れられて下へ下りると、先ほどまで話をしていた団長と線の細い男がいた。 

「ほら、そこ!もっと剣の振りを速く!」

訓練の様子を見ていると副団長のようだ。

団長は、こちらに気づくと声をかけてきた。

「ようユウト、さっきふりだな。こんなところへどうした?カナタの野郎まで連れて。」

兵士の少年の名はカナタと言うらしい。

「こいつが、さっき話した我が騎士団最年少で、15歳のカナタだ。お前がもし騎士団な入りてぇっつうならこいつと良い戦いになるくらい強くないとな。」

なるほど、どうやらカナタがこの団の最低基準らしい。

後で、ステータスを確認しとくか。

「えっ、こいつ受けるんですか?まだ、こんなに小さいのに?受けられるのって10歳からじゃありませんでしたっけ?」

「ん?10歳からだぞ。まあ、ユウトは歳の割に小さいから、10歳に見えないかもしれないが。あと、こいつは受けるかどうかまだ決めてない。今日1日考えさせることにした。」

小さいの下りは余計だ。チッ!気を取り直して話を続けよう。

「ああ、そのことについて話があるんだ。俺、試験受けたい。」

俺がそう言うと、団長が信じられないものを見るかのような目でこちらを見た。

「おいおい、俺の話をきちんと聞いていたのか?」

「聞いていたさ。聞いたうえで決めたんだ。俺の決意を疑わないで欲しい。」

「まぁ、別に。受けるだけなら問題ないが、、、。落ちたら大人しく孤児院行けよ?」

「わかってる。」

そんならいいけどよぉ、と団長はため息を吐いた。

「つーか、お前しゃべり方変わってね?」

「気のせいだ。俺は前からこんなんだったぞ?」

「ふーん。変わったガキだなお前。」

「失礼な。」

まぁ、それはともかく。俺が騎士団に入るために、倒さなくてはいけないカナタの鑑定をすることにする。

(鑑定)

・ステータス

カナタ

レベル        18  (年齢 15)


生命力        80
魔力   60
力    30
体力   30
器用さ  20
敏捷性  20
知力      30
幸運   50

称号   努力家
  レベルアップ時補修小


スキル
【剣術】  レベル  3

ユニークスキル
なし


やはり、俺より強いようだ。というか知力と器用さくらいしか勝ってるのなくね?

これは1週間、必死ななるしかないようだ。

「どうした、ユウト。いきなりボーッとして。拗ねたのか?」

「拗ねてねーよ。ところで団長、試験はいつから始めるんだ?」

「あれ?俺ら自己紹介したっけ?なんで俺が団長だって知ってんだ?」

「えっ、いやだって、階級章つけてんじゃん。それに、さっき団長って呼ばれてたし。」

「お前、これがよく階級章だなんてわかったな。これ初見でわかる奴なんて滅多にいねーぞ?なんでわかったんだよ。」

うわー、まさかそんなに珍しい物だったとは。

もちろん、知っているのは前世の知識のおかげだ。でも、そんなこと言えるはずがない。

「なんでもいいだろ。それより、団長?で合ってんの?いつから受けられんの。」

不満が残る顔をしていたが、無視して質問を続けた。

「えっ、ああ。合っている。俺の名前はガルディア・バランだ。試験はな、訓練期間の1週間後の最終日だな。何なら今から訓練初めても良いぞ。」

名字持ちか。どうやら貴族のようだ。

「まあ、とりあえずあっちにいる奴の紹介もしとくか。」

そう言って、先ほど俺の元へ一緒にやって来た男を指差した。

「副団長の、サイメル・ブロウンドだ。」

やはり、団長と副団長で合っていたらしい。

なんか、それっぽかったしな。

納得だ。

「俺のことは好きに呼べ。サイメルの呼び方は本人に聞け。」

「わかった。あんたのことは団長と呼ぶことにする。」

「ああ、それでいい。ところで、ユウト。お前、何しにここへ来たんだ?」

「そんなの、訓練を見に来たに決まってるじゃないか!」
 
「そうか、ならちょうどいいな。さっきも言ったように今から始めるか。」

そんなの願ってもないチャンスだ。張りきって頷こうとしたとたん、

グゥーーーーー

また、腹の音が大音量で広場へ響いた。
一段落着いたせいで、身体が空腹を思い出したようだ。

「あっはっは、どうやら朝飯が先みたいだな。そういえば食堂への道のりを案内するのを忘れてたか。よし、俺が案内してやる。カナタは訓練に戻ってろ。」

「はっ!了解しました!」


こうしてカナタは訓練に戻り、俺と団長は食堂へと向かうのだった。
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