5 / 92
1章 悪役貴族は屈しない
第5話 父母の残滓
しおりを挟む
ステータスアップのために立てた計画だけど、初日で心が折れそうだ。
でもまだ、やるべきことが1つ残ってる。
魔法だ。
この世界には、魔法がある。
魔法がある!!(重要なことなので二回ry)
やっほう!
さっそく魔法の勉強だ。
学校ではまだ、魔法を教えてくれない。
体が出来上がってないとか、そういうことではなく、単純に危ないからだ。
そりゃそうだ。
魔法は扱いを間違えると、簡単に怪我をする。
最悪、人が死ぬ。
だから、多少自制心が育った中等部からじゃなきゃ、公共機関としては魔法を教えられないんだろう。
あくまで公共機関としては、だ。
貴族のように個人的に教師を雇えば、初等部であっても魔法の勉強が出来る。
うちも貴族だけど、いまのところ魔法の教師は雇っていない。
そもそも、そういう話が出る前に両親、死んじゃったしな……。
今年度の予算は既に決定済み。
なので、新たに教師を雇うお金はない。
つまり、独学しかない。
「かなり効率が落ちるが、仕方ない」
家の書斎から、魔法にまつわる本を探す。
すると、俺の手でも取りやすい位置に、初心者向けの魔法学の本が並んでいた。
『初心者でもわかる! 魔法の使い方』
『魔力基礎~簡単レッスン集~』
『手軽に属性と性質を知る方法』
すべて真新しい。
奥付を見ると、ここ数年の間に出版したもののようだ。
子どもでも手に取りやすい場所にある、子どもでも読みやすい本。
――ああ。これ、両親がエルヴィンのために用意した本だ。
うちの子がこっそり書斎に入って、この本を手に取ってくれればいいな。
そんなことを思いながら、本を買ったに違いない。
二人の悪戯心というか、願いというか……。
家族の愛が感じられて、鼻がツンとする。
どんな人、だったんだろうな。
二人とのエピソードを思い出そうとしても、なかなか難しい。
だって真っ先に浮かぶのは死に様なんだもん。
それくらい二人の死は、エルヴィンにとって衝撃的だったんだ。
……少しだけ、二人の人となりが知りたくなった。
まず父の執務室に入る。
執務机に、来客用のソファとテーブル。
たぶん、当時のまま。掃除だけはきちんとされていて、ほこりっぽさを感じない。
インクと革と紙の臭い。
少し、父の笑顔が脳裏をよぎった……気がする。
でも、それ以上はなにも思い出せない。
次に俺は、母の部屋に向かった。
ここも当時のまま残されていた。
天蓋付きのベッドに、化粧台と、大きな箪笥が三つ。
化粧台の上にはまだ、母が使っていただろう化粧品が並んでいた。
まるで時間が止まったみたいだ。
ここにいると後ろの扉が開いて、「何やってるのエルヴィン?」って、母の優しい声が聞こえて来そうで……。
もう少しで思い出しそうなんだけど、心の殻がかなり固い。
一旦諦めて、俺は化粧台に近づく。
「……よしよし。化粧品はあるが、化粧水はないな」
くくく。
これで、俺の作った化粧水の爆売れは決定だな。
化粧品の中に、ひときわ豪華なコンパクトがあった。
金と宝石で装飾されていて、外側だけで相当なお値段になりそうだ。
コンパクトを開くと、パフと、使いかけのファンデーションが見えた。
このファンデーション、かなり白いな……。
「…………」
本来はやらなくていいことだけど……これも何かの縁だ。
俺はコンパクトをこっそりポケットに忍ばせた。
本を抱えて、部屋に戻る。
その頃には教師を雇うなんてことは、選択肢からすっかり除外されていた。
本を読みながら、書かれていることを実戦する。
まずは、魔力を感じること。
おへその下あたりに、通称〝魔力袋〟がある。
そこに蓄えられた魔力を、目を瞑って探る。
「……これ、か?」
試してみると、すぐにそれは見つかった。
本には『この魔力を感じるだけで、数ヶ月かかかりますが、諦めてはいけません』と書かれている。
これだけ早く魔力を見つけられたのは、日本人として生きてきた経験があるからだろう。
元々ない感覚があったら、誰だって気づける。
逆に、既にあるものを感じ取るのは難しい。
血流を感じ取ってください、って言われてもまあ難しいよね。
でもゾンビが生き返ったら、たぶん『おー血が流れてる!』ってすぐ血流を理解するよ。
だからまあ、数ヶ月かかるというのは本当なんだろう。
魔力を感じ取ったら、次は魔力の移動だ。
魔力袋から少しだけ魔力を抜き出して、その塊を全身移動させる。
……なにこれむずい。
魔力、めっちゃ重いし、無理に動かそうとするとすぐ消える。
「まあでも、すぐに出来たらありがたみがないよな」
技術は一日にしてならず!
勇者と出会うまでにまだ7年あるんだ。
焦らず、じっくり取り組もう。
【知力+1UP】
トレーニングを開始してから三日目の朝だった。
いつもはノックで目覚めを確認するはずのハンナが、大慌てで部屋に飛び込んできた。
「大変ですエルヴィン様! 異常事態です!!」
でもまだ、やるべきことが1つ残ってる。
魔法だ。
この世界には、魔法がある。
魔法がある!!(重要なことなので二回ry)
やっほう!
さっそく魔法の勉強だ。
学校ではまだ、魔法を教えてくれない。
体が出来上がってないとか、そういうことではなく、単純に危ないからだ。
そりゃそうだ。
魔法は扱いを間違えると、簡単に怪我をする。
最悪、人が死ぬ。
だから、多少自制心が育った中等部からじゃなきゃ、公共機関としては魔法を教えられないんだろう。
あくまで公共機関としては、だ。
貴族のように個人的に教師を雇えば、初等部であっても魔法の勉強が出来る。
うちも貴族だけど、いまのところ魔法の教師は雇っていない。
そもそも、そういう話が出る前に両親、死んじゃったしな……。
今年度の予算は既に決定済み。
なので、新たに教師を雇うお金はない。
つまり、独学しかない。
「かなり効率が落ちるが、仕方ない」
家の書斎から、魔法にまつわる本を探す。
すると、俺の手でも取りやすい位置に、初心者向けの魔法学の本が並んでいた。
『初心者でもわかる! 魔法の使い方』
『魔力基礎~簡単レッスン集~』
『手軽に属性と性質を知る方法』
すべて真新しい。
奥付を見ると、ここ数年の間に出版したもののようだ。
子どもでも手に取りやすい場所にある、子どもでも読みやすい本。
――ああ。これ、両親がエルヴィンのために用意した本だ。
うちの子がこっそり書斎に入って、この本を手に取ってくれればいいな。
そんなことを思いながら、本を買ったに違いない。
二人の悪戯心というか、願いというか……。
家族の愛が感じられて、鼻がツンとする。
どんな人、だったんだろうな。
二人とのエピソードを思い出そうとしても、なかなか難しい。
だって真っ先に浮かぶのは死に様なんだもん。
それくらい二人の死は、エルヴィンにとって衝撃的だったんだ。
……少しだけ、二人の人となりが知りたくなった。
まず父の執務室に入る。
執務机に、来客用のソファとテーブル。
たぶん、当時のまま。掃除だけはきちんとされていて、ほこりっぽさを感じない。
インクと革と紙の臭い。
少し、父の笑顔が脳裏をよぎった……気がする。
でも、それ以上はなにも思い出せない。
次に俺は、母の部屋に向かった。
ここも当時のまま残されていた。
天蓋付きのベッドに、化粧台と、大きな箪笥が三つ。
化粧台の上にはまだ、母が使っていただろう化粧品が並んでいた。
まるで時間が止まったみたいだ。
ここにいると後ろの扉が開いて、「何やってるのエルヴィン?」って、母の優しい声が聞こえて来そうで……。
もう少しで思い出しそうなんだけど、心の殻がかなり固い。
一旦諦めて、俺は化粧台に近づく。
「……よしよし。化粧品はあるが、化粧水はないな」
くくく。
これで、俺の作った化粧水の爆売れは決定だな。
化粧品の中に、ひときわ豪華なコンパクトがあった。
金と宝石で装飾されていて、外側だけで相当なお値段になりそうだ。
コンパクトを開くと、パフと、使いかけのファンデーションが見えた。
このファンデーション、かなり白いな……。
「…………」
本来はやらなくていいことだけど……これも何かの縁だ。
俺はコンパクトをこっそりポケットに忍ばせた。
本を抱えて、部屋に戻る。
その頃には教師を雇うなんてことは、選択肢からすっかり除外されていた。
本を読みながら、書かれていることを実戦する。
まずは、魔力を感じること。
おへその下あたりに、通称〝魔力袋〟がある。
そこに蓄えられた魔力を、目を瞑って探る。
「……これ、か?」
試してみると、すぐにそれは見つかった。
本には『この魔力を感じるだけで、数ヶ月かかかりますが、諦めてはいけません』と書かれている。
これだけ早く魔力を見つけられたのは、日本人として生きてきた経験があるからだろう。
元々ない感覚があったら、誰だって気づける。
逆に、既にあるものを感じ取るのは難しい。
血流を感じ取ってください、って言われてもまあ難しいよね。
でもゾンビが生き返ったら、たぶん『おー血が流れてる!』ってすぐ血流を理解するよ。
だからまあ、数ヶ月かかるというのは本当なんだろう。
魔力を感じ取ったら、次は魔力の移動だ。
魔力袋から少しだけ魔力を抜き出して、その塊を全身移動させる。
……なにこれむずい。
魔力、めっちゃ重いし、無理に動かそうとするとすぐ消える。
「まあでも、すぐに出来たらありがたみがないよな」
技術は一日にしてならず!
勇者と出会うまでにまだ7年あるんだ。
焦らず、じっくり取り組もう。
【知力+1UP】
トレーニングを開始してから三日目の朝だった。
いつもはノックで目覚めを確認するはずのハンナが、大慌てで部屋に飛び込んできた。
「大変ですエルヴィン様! 異常事態です!!」
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜
ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」
「街の井戸も空っぽです!」
無能な王太子による身勝手な婚約破棄。
そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを!
ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。
追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!?
優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。
一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。
「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——!
今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける!
※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる