キミを好きな僕と僕を嫌いなキミ

焔 はる

文字の大きさ
9 / 60
3:line

3-1

しおりを挟む
蓮見さんが泣き疲れて眠った後、身の置き場に困った俺はとりあえずクッションを枕にラグに転がって一夜を明かした。

「ねぇ、ちょっと、そこに転がってると邪魔だからどいて」

蓮見さんの冷たい言葉で起されても、昨日までのような突き刺さるトゲトゲしさはなく、それが地味に嬉しくて頬が緩む。

「・・・何ニヤニヤしてるの・・・きもちわる・・・」

うわ、と顔をしかめながら俺を見下ろす。
下から見上げるのも、なかなかいい・・・。

「蓮見さん、ショーパンからパンツ見えそっうわっ」

降り下ろされた足は容赦なく俺の顔のあった場所を踏みしめた。

「ちっ・・・」

「蓮見さん、今本気でしたよね?マジなやつじゃないですか」

「昨日のお礼に何か作るから、その髭ヅラどうにかして」

「ほんともう言い方・・・」

「なに」

「なんでもないです」

俺は蓮見さんの手料理にウキウキと、荷物からシェーバーを出して洗面所へ向かった。

案外律儀というか、口は悪いし乱暴なんだけど、純粋っていうか・・・。

髪の毛や汚れのない綺麗な洗面台。
歯ブラシやコップ、歯磨き粉、メイク落としや化粧水、乳液・・・ボディローション・・・

女の家が初めてなわけでもないのに、見てはいけないものを見てしまったようないけない気持ちになっている俺・・・。

ほんと、どうしたんだ、ドキドキしてるとか変態か・・・!!

「ねぇ」

「!!はっはいっ!!!!!」

「・・・余計なもの触らないでよ・・・」

訝し気に俺と洗面所の中を見比べて、うんざりした顔で蓮見さんは顔を覗かせた。

「目玉焼きと卵焼き、どっちがいい?」

「え・・・」

「?だから、目玉か卵焼きか・・・めんどくさいからあんたの、黄身無しにするわよ」

「それはちょっとっ・・・!卵焼きがいいです!甘い卵焼き!」

「・・・・・・奇遇ね、私も甘い卵焼きが好きなの」

少し機嫌よく、蓮見さんはキッチンへと戻って行った。

案外気が短いのも、甘い卵焼きが好きなのも、やっぱり可愛い。

「うわ・・・え、俺泣いてもいいですか?」

「やめて、気持ち悪い・・・」

目の前には、味噌汁、白いご飯、ふわふわな卵焼き、ほうれん草の胡麻和え。

そして、蓮見さん。

「さっさと食べないと冷めるわよ」

手作りの和食と蓮見さんと2人の食卓に感動している俺を無視して、蓮見さんは先に食べ始めている。

「いただきます・・・!」

「・・・」

「あ~~~~染みわたる・・・」

「ばかじゃない、ただの味噌汁よ」

「違いますよ、蓮見さんが俺のために作ってくれた味噌汁です」

「それこそ違うわ、私の朝食にあんたが居合わせただけ。」

「ほんとに美味いです」

「もう黙って。」

俺はそのあと白飯も味噌汁も2杯ずつおかわりをして、冷凍しておく予定だったのに、と空っぽになった炊飯器を洗いながら、蓮見さんは不満そうに呟いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...