キミを好きな僕と僕を嫌いなキミ

焔 はる

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「・・・」

何?
え??
水族館行ってくれるの???

わかりにくっ・・・可愛い・・・!!
わかりにくい!!
可愛い!!

しかもなに??
今のぷいってなに??
めちゃくちゃ可愛いんですけど。
ぷいって効果音出てたよね!!

俺は一人悶絶しながら先ほど綺麗にした浴室へウキウキと舞い戻った。
蓮見さんの言葉がたとえ遠回しに「あんた掃除した家の中のどこより汚いのよ」と言っているのだとしても。

自分で持ってきていないのをいいことに、蓮見さんのシャンプーやボディソープを使い、さすがにこれで喜ぶのは変態的と思いながらも緩む顔をそのままにシャワーを済ませて、リビングでメイクをしている蓮見さんに「同じ香りですね」と笑顔で言えば、「マジで気持ち悪い」とドン引きされたが、それすらも嬉しくて頬が緩むのだから俺はやはり変態的かもしれない。

・・・新たな扉が開きそうな気配。

「ちょっと、ここに座って。」

出かける直前に蓮見さんは俺をラグの上に正座させた。
正確には「座って」と言われただけだが、なんとなく緊張感があり、正座の形を自然ととってしまった。

「・・・あの・・・なんでしょう・・・」

目の前のソファーに座り足を組む姿に、「女王様」とつい言ってしまいそうになるのを飲み込んだ。

「・・・ここにいるつもり、もしくは、寮に住んでここに出入りするつもりなら、明確に線引きをしたいの」

「・・・え?」

思いがけない提案だった。
それは裏を返せば、蓮見さんの示す線引きを守れば側にいることとこの部屋への出入りを許可されるということだ。
俺が断る理由はなかった。

「はい、それはもちろんです。蓮見さんが不愉快、不快に感じない条件を俺は守ります。」

「・・・最初に言っておくけど、私はあなたを信用したわけではないから。」

「はい。」

蓮見さんは少し考えてから言葉を続けた。



条件①自分には一切触れないこと
条件②触れなくても、突然近い距離に寄らないこと
条件③寝室には入らないこと
条件④部屋にいるのなら、洗濯物はそれぞれが自分のを自分で洗うこと
条件⑤部屋を汚さない、散らかさないこと
条件⑥会社にはこの関係がバレないようにすること
条件⑦俺に誰か恋愛関係の相手ができたら早々にこの関係を解消すること(蓮見さん自身に恋愛関係の相手が出来るということはないことが前提)
条件⑧合い鍵は渡さないので来る時は事前連絡


蓮見さんからの条件は、現状この8か条だった。



「わかりました。蓮見さんからの条件、俺は守ります。」

「・・・守れなかったら即この関係は解消だから。」


任せてください!!と胸を張り、さぁ出かけましょうと立ち上がってすぐに、何の気なしに腰を抱いて促しそうになり、割と本気のグーパンが飛んできた。


「あんたね・・・(怒)」

「すいません!ほんとすいません!!いやいや・・・自分にこんな癖があるとは知らなくて・・・手って勝手に動くんですねっあははhahahaha・・・」

思っていた以上に俺って相当なクズでは、と自分の人間性に疑問を覚えた瞬間だった。
二度目はないから、となんとか蓮見さんの許しを得て、俺は誰かといることに人生で一番緊張感を持ち、蓮見さんと初めての水族館デートへと出かけたのだった。
(言葉にせず勝手に思うくらい許してほしい)

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