16 / 60
4:blue illusion
4-5
しおりを挟む
「よかったですね、蓮見さん、イルカに触れて。」
プールサイドに乗り上げたイルカの真横で、蓮見さんと俺は本物のイルカと触れ合い、記念写真を撮った。
せっかくなので、自分のカメラでも撮ってくれるというので、邪魔者な俺は枠外にはけて、イルカと蓮見さんのツーショットを撮影してもらった。
隠しきれずにご機嫌な蓮見さんは、保存された写真を眺め、水族館のカフェスペースでパフェを食べながら楽しそうだ。
昨日あんな場面に遭遇してしまった手前、気分転換にでもなればとデートに誘ったがこれはいい作戦だったのではないだろうか。
「それでは蓮見さん、どこか他に寄りたい所ありますか?」
「いえ、特にないわ。」
笑えるほどになんの未練さもなく、帰る気満々の蓮見さん。
スプーンを置き、御馳走様、と手を合わせて紅茶のカップに手を伸ばした。
「ねぇ蓮見さん・・・周りの人から見たら、俺たちどんな関係に見えるんでしょうね。」
それは、いつもと同じ、ほんの出来心、揶揄うように口をついた言葉。
「・・・・・・」
蓮見さんは顔が歪む程の嫌悪を浮かべ、別人のような顔になる。
「どんな関係でもないわ。他人よ。」
「それは、蓮見さんの見解、キモチですよね?傍からはそうは見えない、かもしれない。」
「他人にどう見えようと関係ないわ。私たちには何もないし、他人よ。」
「他の人と書いて他人です。その点で言えば、血縁者であろうが、自分以外は他人だ。」
「・・・そんな屁理屈・・・今は関係ないじゃない。」
「血縁者である身内も、恋人も、進展して配偶者になろうが、血を受け継いだ子供だろうが、自分以外は他人ですよ?」
「・・・何が言いたいの?」
「・・・・・・さあ・・・なんだったか忘れました。だけど、蓮見さんにとって、嫌っている俺だけが他人ではなく、どんなに近い距離にいる人間でも・・・他人という定義においては、他人しかいないのでは?と思ったんです。」
<他人>そう何度も口にされるうちに、なぜか無性に腹が立ってきて、反論してしまった。
蓮見さんのこの言い方はいつもと同じで、何も変わらないのに。
別に蓮見さんが俺をなんとも思っていないのは言葉の通りなのに。
「・・・・・・案外理屈っぽいのね。それに、私は誰も愛さない。だから、自分以外の人間は全て他人というのなら好都合だわ。深く踏み込まれて不快感を感じる事もないでしょうから。・・・その点で言えば、やっぱりあなたは嫌い、不愉快だわ。」
周囲の楽しそうな声、店員が客を呼ぶ声、喧しい耳障りだと感じる喧騒の中、俺と蓮見さんだけが、今この瞬間に別れ話でもして違う方向に歩いて行く2人のようにピンと張り詰めた重苦しい空気に包まれていた。
別れるも何も、まだ何も始まってもいないのにだ。
プールサイドに乗り上げたイルカの真横で、蓮見さんと俺は本物のイルカと触れ合い、記念写真を撮った。
せっかくなので、自分のカメラでも撮ってくれるというので、邪魔者な俺は枠外にはけて、イルカと蓮見さんのツーショットを撮影してもらった。
隠しきれずにご機嫌な蓮見さんは、保存された写真を眺め、水族館のカフェスペースでパフェを食べながら楽しそうだ。
昨日あんな場面に遭遇してしまった手前、気分転換にでもなればとデートに誘ったがこれはいい作戦だったのではないだろうか。
「それでは蓮見さん、どこか他に寄りたい所ありますか?」
「いえ、特にないわ。」
笑えるほどになんの未練さもなく、帰る気満々の蓮見さん。
スプーンを置き、御馳走様、と手を合わせて紅茶のカップに手を伸ばした。
「ねぇ蓮見さん・・・周りの人から見たら、俺たちどんな関係に見えるんでしょうね。」
それは、いつもと同じ、ほんの出来心、揶揄うように口をついた言葉。
「・・・・・・」
蓮見さんは顔が歪む程の嫌悪を浮かべ、別人のような顔になる。
「どんな関係でもないわ。他人よ。」
「それは、蓮見さんの見解、キモチですよね?傍からはそうは見えない、かもしれない。」
「他人にどう見えようと関係ないわ。私たちには何もないし、他人よ。」
「他の人と書いて他人です。その点で言えば、血縁者であろうが、自分以外は他人だ。」
「・・・そんな屁理屈・・・今は関係ないじゃない。」
「血縁者である身内も、恋人も、進展して配偶者になろうが、血を受け継いだ子供だろうが、自分以外は他人ですよ?」
「・・・何が言いたいの?」
「・・・・・・さあ・・・なんだったか忘れました。だけど、蓮見さんにとって、嫌っている俺だけが他人ではなく、どんなに近い距離にいる人間でも・・・他人という定義においては、他人しかいないのでは?と思ったんです。」
<他人>そう何度も口にされるうちに、なぜか無性に腹が立ってきて、反論してしまった。
蓮見さんのこの言い方はいつもと同じで、何も変わらないのに。
別に蓮見さんが俺をなんとも思っていないのは言葉の通りなのに。
「・・・・・・案外理屈っぽいのね。それに、私は誰も愛さない。だから、自分以外の人間は全て他人というのなら好都合だわ。深く踏み込まれて不快感を感じる事もないでしょうから。・・・その点で言えば、やっぱりあなたは嫌い、不愉快だわ。」
周囲の楽しそうな声、店員が客を呼ぶ声、喧しい耳障りだと感じる喧騒の中、俺と蓮見さんだけが、今この瞬間に別れ話でもして違う方向に歩いて行く2人のようにピンと張り詰めた重苦しい空気に包まれていた。
別れるも何も、まだ何も始まってもいないのにだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる