キミを好きな僕と僕を嫌いなキミ

焔 はる

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5:Rain dance

5-6

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「待って、あなたはどうするの?」


「俺はどっか探すので大丈夫です」


「私だけここに?!」


「だって、俺と2人でここに一晩泊まっても大丈夫なんですか?気が休まる自宅じゃないんですよ?」


きらびやかに輝く看板の前で、2人の男女が押し問答。

傘は買ったものの、降り始めの時点で頭から靴の中までずぶ濡れになった俺と蓮見さん。

アプリで予約出来たホテルは、シンプルなビジネスホテルではなく、まぁ・・・言わずとも用途は知れるラブホテル。

中心部から歓楽街へと向かい、大体どこの都市だって歓楽街があればラブホはあるし、1部屋だけラッキーな事に空室もあり、これで蓮見さんの宿は確保できた。

・・・ラブホに泊まった分が経費で落ちるのかは知らないけど、びしょ濡れのまま野宿をするわけにもいかない。

背に腹は代えられぬというわけだ。

けれど、そのラブホの前で自分だけここに泊まれない、とゴネて納得してくれない蓮見さん。


「別にラブホって言ったってホテルですよ?なんなら普通のビジネスホテルより部屋に備え付けの家電は充実してるし、暇ならゲームもできます。腹が減ったらルームサービスもありますし。」


「!!そういうことじゃなくて・・・!!」


「俺はどっか探すので、とりあえず蓮見さん風邪引く前に部屋入った方がいいですよ。」


「~~~!!なんで勝手に決めるの?!」


「・・・蓮見さん?」


突然のすごい剣幕で張り上げる声が、土砂降りから逃れるように足早に行き交う人の波さえ止めたほど。


「でも、他に空いている所があるか・・・すいません・・・」

ラブホ、そんなに嫌だったかな・・・それなら申し訳ない、と俺はスマホで一夜を明かせそうな施設がないか再び検索を始めた。


「・・・そうじゃなくて・・・私、仕事上であなたの事信頼してるって言ったじゃない・・・」

いまいち蓮見さんが言いたい事の脈絡を掴めず、眉間に皺を寄せて口をへの字にして言葉を選びながら紡ぐ蓮見さんを見る。


「・・・・・・あなたが、何度かうちに来ても、距離感に気を付けてくれたり、不用意に触れないようにしてくれたり、最初の頃より気にしてくれているの、わかってるのよ・・・。だから・・・・・・」


・・・だから・・・??


「・・・・・・一緒でいいんじゃないか、って・・・・・・言ってる、の・・・」


「・・・・・・でも、蓮見さん、ラブホテルですよ?ここ。」


「しっ、知ってるわよ!これでも・・・」


「・・・俺、男ですよ?我慢はしますけど、たぶんさっきフラれてますけど、蓮見さんを好きな男ですよ、俺。そんなヤツと、そういうホテルに泊まれますか?」


「・・・・・・だって、忽那くんは何もしないでしょう・・・?」


傘の下から、眉根を寄せて、少し拗ねたような黒い大きな瞳が俺を見上げていた。


・・・その目はずりぃ・・・ズルい!ズルい!!ズルい!!!


こういう時にそういう目は反則じゃね・・・??!!


何もしないでしょう?って・・・男としてどうなの?とも捉えられる言葉なのに、じゃあやってやろうじゃんか、と俺が行動に移せば地道にコツコツと積み上げてきた蓮見さんの信頼は地に落ちてしまう。


それになんだよ・・・いつも名前でなんて滅多に呼ばないくせに・・・


どれだけ強固な信頼かもわからないし、予想通り一瞬で崩れ落ちるかもしれない脆い信頼だけど、俺は失うわけにはいかないんだよ。


「・・・まぁ、蓮見さんがそんっなに俺とお泊りしたいなら一緒に泊まってあげてもいいですけどね。俺には、守らなきゃいけない条約もありますから。蓮見さんに指1本だって触れませんよ。」


「・・・うん、信用してる。」


~~~~!!!!


だからさァ・・・!!


ずりぃぃぃんだよ!!


くそっ・・・可愛いから文句も言えない!!



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