46 / 60
8:emergency
8-1
しおりを挟む「あ~あ、蓮見さんとの旅行も終わってしまう。寂しい。日常に戻ってしまう。」
翌日12時前、定刻通りに仙台駅を出発した新幹線がゆっくりと動き出す。
仕事で来たのに、肝心な仕事の方はアッサリ終わり、濃厚だったのはその後の蓮見さんとの時間。
「旅行じゃないわ、出張よ。」
「わかってますよぉぅ・・・少しくらい夢を見ても。けどまぁ・・・ふふ・・・」
「何よ、キモチ悪い」
「ゆうべの蓮見さん可愛かったなぁって思い出したら・・・ふふふ・・・」
「変な言い方しないで。私とあなたは何も」
「何もなくないです、手をつないで1つのベッドで眠った仲じゃないですか、ボクたち。はい、蓮見さん、紅茶。」
「・・・・・・それ以上でもそれ以下でもない、そう、それ以上はないんだからね。ありがと。」
窓の外を眺めて、渡した紅茶を開ける蓮見さん。
いやぁ~蓮見さんも丸くなったものだ、うんうん。
ディスタンス短縮という大きすぎる収穫を得て俺は大満足のまま帰路に着いた。
ーーーーーーーーー
会社に顔を出して出張と昨日の報告をして、事務処理や社内の打ち合わせを終えて、明日は休日。
平坂さんに一応確認したが、「どこも空いてなかったからって、ラブホ代は出ない」と言われてしまった。
まぁ致し方ない、諦めていたのでそれはいい。
何より、あんなに可愛い蓮見さんを見ることができたのだから、ラブホ代以上の価値がある。
それにしても・・・報告した時の平坂さんの様子・・・なんか気になるんだよな。
「蓮見さん、平坂さんには気を付けてくださいね」
「はぁ?何急に。」
蓮見さんちで一緒にご飯を食べる。
一緒にスーパーで食材を買って蓮見さんちに荷物を置き、俺はフロア違いの男子寮、自分の部屋に戻って着替え、再度蓮見さん宅にお邪魔する。
俺は今日の平坂さんの様子が引っかかっていて、食後にお茶を飲みながら、蓮見さんに告げる。
「だって、入社した時から思ってましたけど平坂さんて蓮見さんの事好きですよね。」
「・・・・・・違うと思うわよ」
「え~俺はそうだと思うなぁ。」
「私は違うと思う。」
「だって、いつも俺のことけん制するみたいに見てるし、あれは『蓮見にちょっかいかけんじゃねぇぞ、小僧』って目ですよ。」
「げふッ・・・ごほっ、なっ・・・」
「間違いない、俺の男の直感が告げている。」
うんうん、と俺は経験値が告げる、ライバルの存在を蓮見さんに突き付けた。
「ほんと、何言ってるのよ・・・それはないわ。」
「なんでですか?あの熱の籠った瞳は絶対そうですよ。」
「ふ~ん、熱の籠った瞳で、忽那くんを見てるのね?それなのに私なの?」
「・・・・・・?え、はい・・・え・・・?」
なんだろう、何かが引っかかるぞ・・・
否定とも違う蓮見さんの様子、俺は何かを見落としてるのか・・・?
蓮見さんはお茶をすすり、スマホで日課のゲームを立ち上げる。
「え・・・それって・・・え・・・?」
「わからないならいいんじゃない?別に答えを出すだけが正解じゃないわ。」
「・・・でも、それって・・・」
「・・・まぁ、平坂さんが好きなのが私ではないことは確かよ。」
「蓮見さん、なんでそんな目ぇ泳いでるんすか」
目が泳いでる、それなのに確信があるような、何か情報を握っているような言葉。
「・・・人のアイデンティティを他人が勝手に喋るものではないと思うの。」
もうこれ以上話すつもりはない、という無言の圧力。
「・・・・・・アイアンメイデン??」
「馬鹿でしょ。」
俺を見捨てる瞳で見下ろして、蓮見さんは浴室へ消えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる