キミを好きな僕と僕を嫌いなキミ

焔 はる

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「・・・蓮見さん・・・」

平坂さんを俺から離れるように押しのけて、

「・・・大丈夫?」

蓮見さんの細い指が乱されたボタンとネクタイを直してくれる。

そして今度は蓮見さんの背に俺が庇われるカタチになった。

「・・・平坂さん、これまでは利害の一致でお任せしていました。でも、今回はだめです。」

「どうしても?」

「はい」

「・・・俺、今回が、忽那が一番好みなんだけどなぁ」

「それでもだめです」

「・・・ちぇっ。ざぁんねぇん。可愛いの、鳴かしてみたかったのに。」

俺を見る目はこれまでとは違う、『オトコ』の目だ。

「・・・平坂さん・・・あの・・・」

「?なに?抱かれてみたくなった?俺の予想だと、忽那、タチもネコも、男も女もイケるでしょ?」

「・・・・・・」

「ふ・・・楽しめたと思うんだけどなぁ・・・。」

・・・俺の予想だと、平坂さんはバリタチ、怖いほどに・・・。

「俺、まだ諦める気ないから、気が向いたら相手してよ、忽那。」

「・・・いえ・・・結構です・・・」

関わったらやばい人が上司だったパターンだ、と俺は蓮見さんの背で「いりません」を伝える。

「・・・やっぱ可愛い。」

平坂さんはジッと俺を見て、口元を歪める。

「ま、あんまり虐めて辞められたらつまんねぇからこのくらいにしとこ。じゃあお前らほどほどで戻って来いよ。」

じゃぁな、と手を上げて平坂さんは出て行った。


・・・・・・


・・・・・・・・・


「・・・・・・蓮見さん・・・・・・」

「・・・言えなくてごめんね」

俺の予想、平坂さんは蓮見さんを好きだというのを否定していた蓮見さんは、否定できるだけの根拠があり、平坂さんの恋愛対象や性的嗜好を知っていたのだ。

しかもそれは、利害の一致とやらで、自分に害のあるモノは平坂さんが手を出しても黙認していた。

「・・・蓮見さんの事を好きでも、蓮見さんにとって必要なければ、俺も平坂さんに食われてたんですかね・・・」

少し頭が冷静になってくるとそれは結構衝撃的で、ショックな事だと思い始めた。

「・・・結構・・・衝撃、なんですが・・・」

平坂さんがいなくなり、身体の力が抜けた俺は椅子に腰を下ろした。

「・・・俺、平坂さんに抱かれたくねぇんですけど・・・」

オトコでもオンナでもイケた俺が、平坂さんからそういう目で見られていたと知って心底『嫌だ』と思った。

足を割られて腰を抱かれ動けなくて、こんな事態になった驚きと少なからずショックがあってすぐに逃げられなかった。

「蓮見さんが、平坂さんにさせてたんですか?」

「違う、頼んでたとか、約束や契約があったわけじゃない。だからって・・・黙認してたっていうのは、どうにかしてもらってたのと一緒よね。便利に利用してたんだわ。平坂さんは・・・私が男嫌いなのも、ノンセクシャルなのも知ってるから、教育係として担当した子が私に興味を持った場合、勘づいた平坂さんがその子を・・・。無理強いをするとか、犯罪的にじゃなくて、なんか・・・上手いらしいのよ。それで平坂さんとその後セフレになってる子もいるみたいだけど・・・」

「・・・平坂さんこわ・・・。俺は、上司としての平坂さんだけでいいです。」

「・・・忽那くんは、あげない。」

「・・・・・・は?」

「平坂さんには、あげない。私が嫌だった。あなたは私が守るから。」



「・・・え・・・?」



振り向いた蓮見さんの香りが近くなる。


背伸びをして、俺の首に腕を回した蓮見さんに俺は抱きしめられていた。



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