キミを好きな僕と僕を嫌いなキミ

焔 はる

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8:emergency

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自分からは触れない。

約束を守る事だけを考えて蓮見さんの側にいた。

それが今は自分の言葉を逆手に取られて、『嫌な事は嫌でいい、触りたくなったら触っていい』という・・・俺から境界線を越えてもいいという・・・

それはどこですか・・・?

どのラインまでなら近づいてよくて、触れてもOKで、ラブホでの時みたいにあのくらいなら触れてもいっていう・・・??


えぇぇっっ・・・わからないよぉ・・・っ


「・・・・・・えっと・・・それって・・・・・・」


「忽那くんはどうしたいの?」


「どう・・・したい、って・・・」


あらゆる欲望を殺しているうちに、蓮見さんとの肉体的接触を望む事が俺の中から失われていて、蓮見さんから触れられたのは奇跡みたいな時間だったからそれだけで十分だったのに・・・どうしたいって聞かれても・・・


「・・・もっかい、ぎゅってする・・・?」


「!ッ・・・なん、スか、それ・・・・・・」

かわいすぎでしょ・・・


「・・・はい。」


俺の前に立って、両手を広げる蓮見さん。

「はい」って・・・そんな急に警戒心解除で両手を広げて、無防備に受け入れてくれる腕に、俺はどう飛び込んだらいいんだよ・・・


俺が躊躇している間に、蓮見さんは俺の足の間に1歩踏み出し、そのまま俺を抱き締める。


「嫌じゃない・・・?」


俺がいつか聞いたのと同じ言葉。


抱き締められて、俺は蓮見さんの手に包まれ、お腹に顔を埋めた。


「・・・・・・いや・・・じゃ、ないです・・・・・・」


恐る恐る身体に手を回し、強引になんてできるわけもなく、少しだけ引き寄せた。


「・・・平気だと思っていても、癒されてない傷ってあるのよね・・・」

頭を撫でる手は何を思いながらなのか、髪を梳いて、後頭部を撫で「よしよし」とたまにぽんぽんと叩く。


「・・・・・・嫌じゃなければ、リハビリ・・・してみない?」


「・・・リハビリ・・・?こないだみたいな・・・??」


呼吸の度に、蓮見さんのお腹が上下して、俺はその温もりに身を任せていた。

俺に触りたいってことかな・・・

落ち着いてきた気持ちで、目を閉じて聞き返すと、


「・・・リハビリ、っていうと大したものだけど・・・傷の舐め合い・・・?必要だから・・・触れていたい・・・それだけ・・・私が、触れたいの・・・利用してるの、忽那くんを。」


ゆっくりと顔を上げると、「ごめんね」と困ったように微笑う人がいた。


「・・・傷の舐め合いなら、俺も蓮見さんに触ってもいいってことですか・・・?」


頬に触れて、もう一度俺を抱き締めるから表情はわからなかったけど、「そうね」と返して、


「・・・とりあえず、一緒にラーメン、食べよっか」


と、蓮見さんは背中を撫でてくれた。


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