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「・・・綾さん、手、つないで寝るって・・・」
「・・・・・・うん・・・つないで寝よっか・・・・・・」
少し驚いて目を見開き・・・ていうか、ちょっと、なんで照れるの。
もう・・・嫌になるわ・・・可愛くて・・・
「・・・ふは・・・俺、今日熱出てよかった・・・幸せだもん・・・」
「ばか・・・」
まとめて握られた指先。
掴まれたとも言える状況に、自由になる親指で彼の手を撫でた。
冷えピタに赤い顔、決してカッコイイなんて姿じゃない。
急激なストレス過多、知恵熱。
子供のように無邪気に「幸せ」と笑うから募る愛しさに負けそうになる自分。
「もう寝なさいよ・・・」
頬を撫でて、柔らかい猫っ毛に指を通して、ほんとに猫を撫でているように手を動かしていると、どうしよう、私の方が動物セラピーを受けているみたいに穏やかな気持ちになってきた。
少しずつ下りてくる瞼。
「・・・・・・綾さん眠そう(笑)」
「・・・ん・・・?あ・・・だって・・・癒される・・・」
「え~・・・俺ペットじゃないっすよ」
「・・・違うの?」
「・・・・・・綾さんのペットならまぁ、いいですけど・・・・・・」
「ふふ・・・」
「なんですか、もう・・・」
「なんでもない・・・」
「え~気になる・・・でもどぉせまた、こいつバカだぁとか思ったんでしょ?」
「・・・・・・」
「もぉっ・・・ひどい・・・」
「あは、違うわよ・・・可愛いなぁと思ったの。」
「・・・くそぉ・・・それ、ずりぃ・・・っ」
「ほら、寝ましょ・・・治ったら・・・また・・・」
「・・・綾さん?ちょっ・・・またってなんですか?!もぉっ・・・」
生意気可愛い後輩は、可愛いペットに格上げ。
最後まで言えたか記憶にない言葉は・・・
・・・また、水族館、行こうね・・・
今度はちゃんと、手をつなげる気がするから・・・
ーーーーーー
「・・・透真くん、大丈夫・・・?」
夜中、私は隣で眠る彼の呼吸が苦しそうなものになった事に気づき目を覚ました。
私に向ける丸くなった背中に触れると熱くて、飛び起きて汗で張り付いている髪をよけると、小さく動く唇は、
「・・・め、て・・・や、だ・・・やめて・・・っ」
「っ・・・」
無邪気で明るくて、ふざけた言葉以上に私を思ってくれる彼の癒えていない傷・・・
自分を守るように身体を抱き、小さく繰り返し呟くのは「やめて」という拒絶の言葉。
それはきっと、言っても届かなかった初めての時の事。
私が本当に嫌な事はしたくない、それは実体験から生まれた彼の偽りのない本当の優しさ・・・
「・・・透真くん・・・大丈夫・・・大丈夫だから・・・」
肩を、腕を、背中を撫でて、手を握ってあげると、辛いうわ言は小さくなっていき、ふぅ・・・と大きく息を吐いて身体から力が抜けた。
寝返りを打った身体が縋るように私の腰に手を回す。
「透真くん、おいで・・・」
声をかけて手に触れると、ぼんやりとしたままの彼が正座を崩した私の太腿に胸までを乗せてお腹に顔を埋め、しっかりと腰に回された手がぎゅっと私を抱く。
・・・苦しい言葉と共に目尻から伝っていた涙はもう止まっていた。
頭を撫でたり、身体を撫でてあげながら、思い出されるのは自分が嫌だった男性関係の事ではなく、彼と出会ってからの短い日々の事。
嫌だった記憶にいつの間にか積み重なって上書きされた、笑えるような明るい日々。
無遠慮だと思っていた彼の、物凄い気遣いと思いやりがあったからこんな風に男性に触れても拒否反応が出ないと知って、壊れ始めた距離の壁。
「・・・ん・・・」
そんなに顔を埋めて苦しくないのかしらと不安になるほどしがみついて、私の下腹部にグリグリと顔を埋め、穏やかに眠っている透真くん。
ぽんぽんと背中を叩くのは、昔風邪を引いた時に母親にされたそれと同じもの。
傷を抱えて生きてるのは私だけじゃない・・・
傷を持つ彼に、私の傷はいつの間にか癒され、感情も動かされていた。
「・・・・・・うん・・・つないで寝よっか・・・・・・」
少し驚いて目を見開き・・・ていうか、ちょっと、なんで照れるの。
もう・・・嫌になるわ・・・可愛くて・・・
「・・・ふは・・・俺、今日熱出てよかった・・・幸せだもん・・・」
「ばか・・・」
まとめて握られた指先。
掴まれたとも言える状況に、自由になる親指で彼の手を撫でた。
冷えピタに赤い顔、決してカッコイイなんて姿じゃない。
急激なストレス過多、知恵熱。
子供のように無邪気に「幸せ」と笑うから募る愛しさに負けそうになる自分。
「もう寝なさいよ・・・」
頬を撫でて、柔らかい猫っ毛に指を通して、ほんとに猫を撫でているように手を動かしていると、どうしよう、私の方が動物セラピーを受けているみたいに穏やかな気持ちになってきた。
少しずつ下りてくる瞼。
「・・・・・・綾さん眠そう(笑)」
「・・・ん・・・?あ・・・だって・・・癒される・・・」
「え~・・・俺ペットじゃないっすよ」
「・・・違うの?」
「・・・・・・綾さんのペットならまぁ、いいですけど・・・・・・」
「ふふ・・・」
「なんですか、もう・・・」
「なんでもない・・・」
「え~気になる・・・でもどぉせまた、こいつバカだぁとか思ったんでしょ?」
「・・・・・・」
「もぉっ・・・ひどい・・・」
「あは、違うわよ・・・可愛いなぁと思ったの。」
「・・・くそぉ・・・それ、ずりぃ・・・っ」
「ほら、寝ましょ・・・治ったら・・・また・・・」
「・・・綾さん?ちょっ・・・またってなんですか?!もぉっ・・・」
生意気可愛い後輩は、可愛いペットに格上げ。
最後まで言えたか記憶にない言葉は・・・
・・・また、水族館、行こうね・・・
今度はちゃんと、手をつなげる気がするから・・・
ーーーーーー
「・・・透真くん、大丈夫・・・?」
夜中、私は隣で眠る彼の呼吸が苦しそうなものになった事に気づき目を覚ました。
私に向ける丸くなった背中に触れると熱くて、飛び起きて汗で張り付いている髪をよけると、小さく動く唇は、
「・・・め、て・・・や、だ・・・やめて・・・っ」
「っ・・・」
無邪気で明るくて、ふざけた言葉以上に私を思ってくれる彼の癒えていない傷・・・
自分を守るように身体を抱き、小さく繰り返し呟くのは「やめて」という拒絶の言葉。
それはきっと、言っても届かなかった初めての時の事。
私が本当に嫌な事はしたくない、それは実体験から生まれた彼の偽りのない本当の優しさ・・・
「・・・透真くん・・・大丈夫・・・大丈夫だから・・・」
肩を、腕を、背中を撫でて、手を握ってあげると、辛いうわ言は小さくなっていき、ふぅ・・・と大きく息を吐いて身体から力が抜けた。
寝返りを打った身体が縋るように私の腰に手を回す。
「透真くん、おいで・・・」
声をかけて手に触れると、ぼんやりとしたままの彼が正座を崩した私の太腿に胸までを乗せてお腹に顔を埋め、しっかりと腰に回された手がぎゅっと私を抱く。
・・・苦しい言葉と共に目尻から伝っていた涙はもう止まっていた。
頭を撫でたり、身体を撫でてあげながら、思い出されるのは自分が嫌だった男性関係の事ではなく、彼と出会ってからの短い日々の事。
嫌だった記憶にいつの間にか積み重なって上書きされた、笑えるような明るい日々。
無遠慮だと思っていた彼の、物凄い気遣いと思いやりがあったからこんな風に男性に触れても拒否反応が出ないと知って、壊れ始めた距離の壁。
「・・・ん・・・」
そんなに顔を埋めて苦しくないのかしらと不安になるほどしがみついて、私の下腹部にグリグリと顔を埋め、穏やかに眠っている透真くん。
ぽんぽんと背中を叩くのは、昔風邪を引いた時に母親にされたそれと同じもの。
傷を抱えて生きてるのは私だけじゃない・・・
傷を持つ彼に、私の傷はいつの間にか癒され、感情も動かされていた。
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