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四夜【藍の深淵】
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仕事が終わり、スマホを見ると、
『お疲れ様、いつものとこにいるね』
という桜太からの連絡。
付き合い始めてから桜太は、自分の仕事の都合がつく日は迎えに来るようになった。
とは言っても、少しだけ会っていなくて3日ぶり。
基本的に定時で上がれる私は、桜太が迎えに来てくれる日は、18時に退社し、少し離れた最寄り駅に向かい、今でも見慣れない<黒くて大きい外車>のナンバーを確認して、助手席に回り込んだ。
ドアを開ける前に、窓の外から車内を覗き、気づいた桜太が微笑む。
ゆったりした革張りのシートに、なんていうか・・・外国仕様っぽさのある高級感。
桜太には似合ってるな、と思うけど、なんだか私は、座ってるシートに<座らせて頂いてる>ような感じがして、それでも、座り心地が良くて、「お高い車は違うな・・・」と勝手に思っている。
車に乗って、ドアを閉め、ロックがかかって、振り向いた私を桜太が抱きしめる。
「あぁぁぁ~~~・・・椎娜の匂いだ・・・」
「・・・離れて」
「なんで!」
「嗅がないで」
「ほんと、普段は塩対応なんだよなぁ・・・久しぶりなのに・・・。」
唇を尖らせて、バンドルに肩肘を着いて私を見る。
一瞬で、その瞳は熱を帯びたように色気を宿し、ロックオンされた獲物の気持ちになった。
・・・心臓が慌ただしく鳴って、落ち着かない・・・
「・・・俺は、逢いたくて3日が長かったよ」
「・・・っ・・・」
「椎娜は・・・寂しくなかった?」
桜太の指先が髪に触れて、指先に巻き付けるように弄ぶ。
「・・・寂しく、なかった・・・」
「・・・・・・ふぅん・・・・・・」
納得いかなそうに、不満そうに桜太は瞳を逸らさない。
「・・・寂しくなかった・・・けど・・・」
「・・・けど・・・?」
「・・・逢いたかった」
桜太は目を見開いたあとに満面の笑み。
・・・寂しくはなかったよ・・・
逢えない時も、胸の中には<私には桜太がいる>と思えていたし、今まで誰と付き合っていても消えなかった冷え冷えとした気持ちが桜太には生まれなかった。
逢えなくても、思ってくれてる人がいると思えたから・・・。
『お疲れ様、いつものとこにいるね』
という桜太からの連絡。
付き合い始めてから桜太は、自分の仕事の都合がつく日は迎えに来るようになった。
とは言っても、少しだけ会っていなくて3日ぶり。
基本的に定時で上がれる私は、桜太が迎えに来てくれる日は、18時に退社し、少し離れた最寄り駅に向かい、今でも見慣れない<黒くて大きい外車>のナンバーを確認して、助手席に回り込んだ。
ドアを開ける前に、窓の外から車内を覗き、気づいた桜太が微笑む。
ゆったりした革張りのシートに、なんていうか・・・外国仕様っぽさのある高級感。
桜太には似合ってるな、と思うけど、なんだか私は、座ってるシートに<座らせて頂いてる>ような感じがして、それでも、座り心地が良くて、「お高い車は違うな・・・」と勝手に思っている。
車に乗って、ドアを閉め、ロックがかかって、振り向いた私を桜太が抱きしめる。
「あぁぁぁ~~~・・・椎娜の匂いだ・・・」
「・・・離れて」
「なんで!」
「嗅がないで」
「ほんと、普段は塩対応なんだよなぁ・・・久しぶりなのに・・・。」
唇を尖らせて、バンドルに肩肘を着いて私を見る。
一瞬で、その瞳は熱を帯びたように色気を宿し、ロックオンされた獲物の気持ちになった。
・・・心臓が慌ただしく鳴って、落ち着かない・・・
「・・・俺は、逢いたくて3日が長かったよ」
「・・・っ・・・」
「椎娜は・・・寂しくなかった?」
桜太の指先が髪に触れて、指先に巻き付けるように弄ぶ。
「・・・寂しく、なかった・・・」
「・・・・・・ふぅん・・・・・・」
納得いかなそうに、不満そうに桜太は瞳を逸らさない。
「・・・寂しくなかった・・・けど・・・」
「・・・けど・・・?」
「・・・逢いたかった」
桜太は目を見開いたあとに満面の笑み。
・・・寂しくはなかったよ・・・
逢えない時も、胸の中には<私には桜太がいる>と思えていたし、今まで誰と付き合っていても消えなかった冷え冷えとした気持ちが桜太には生まれなかった。
逢えなくても、思ってくれてる人がいると思えたから・・・。
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