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五夜【甘い戯れと赦し】
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「ここ、いい所だね・・・」
両手に片足ずつ、ブーツと靴下をぶら下げて、ロングスカートも捲りあげて、波が足を濡らすのに任せたまま大海原に向かい仁王立ち。
ドラマか映画のワンシーンのように、ザッバーン!と波音がしそうなその背中を見ながら、打ち上げられた流木に腰を下ろした。
「うん、たまに来てた。日中も人は少ないし静かだし。」
「・・・・・・1人で?」
・・・え、なんか気にしてくれるのか・・・?これ・・・
「・・・気になるの?」
「・・・なんとなく聞いてみただけ。」
「・・・ヤキモチ?」
「違うよ」
あ・・・違う、のね・・・そんなハッキリ・・・
「桜太に彼女がいて、彼女と来ててもいいの。そうじゃなくて、なんていうか・・・1人で悩んだりとか、やっぱりあるよな、って・・・ふと思ったから・・・」
「・・・彼女とか・・・女と来たことは無いな・・・。1人で来る時は、なんとなくブラっと気分転換だったり・・・悩んでグダグダしたのは、人生の中で椎娜の事だけ」
自嘲気味に笑うしかない。
暁月、蓮、誠司と会社を立ち上げた時も、悩むより行動だったし、4人ならなんとかなるだろうって、勢いで立ち上げ、なんとか軌道に乗り、ここまできた。
ほんと情けないくらいグダグダして行動出来なかったのは椎娜の事だけだ・・・。
「・・・じゃあ、もう悩まなくていいね」
振り向いて、波に足を絡めながら近づく椎娜の影が落ちる。
「・・・そんなことない」
「?何か悩むの?」
不思議そうな椎娜に両手を広げると、椎娜は手にしていたブーツと靴下を置き、俺の腕に納まった。
椎娜の腰から背中に手を回して、顔が丁度・・・胸の位置。
「・・・好きすぎて、どうしていいかわからない。」
「・・・真似、しないでよ~」
「ふっ・・・同じでしょ」
「うん・・・同じだね・・・」
胸元から見上げる俺の髪を撫でて、サングラスを外し、見下ろす瞳と視線がぶつかる。
「・・・桜太の瞳好き・・・」
「・・・そ?」
「うん・・・ドキドキ・・・する・・・」
椎娜のサングラスを外して、もう一度腰に手を回した。
少し腰を屈めて椎娜が唇を寄せると、額に、瞼に頬に、リップ音を立ててキスを降らせた。
「・・・してくれないの?」
唇に。
椎娜が好きと言った瞳でジッと見つめ、頬を包む手のひらに唇で触れた。
両手に片足ずつ、ブーツと靴下をぶら下げて、ロングスカートも捲りあげて、波が足を濡らすのに任せたまま大海原に向かい仁王立ち。
ドラマか映画のワンシーンのように、ザッバーン!と波音がしそうなその背中を見ながら、打ち上げられた流木に腰を下ろした。
「うん、たまに来てた。日中も人は少ないし静かだし。」
「・・・・・・1人で?」
・・・え、なんか気にしてくれるのか・・・?これ・・・
「・・・気になるの?」
「・・・なんとなく聞いてみただけ。」
「・・・ヤキモチ?」
「違うよ」
あ・・・違う、のね・・・そんなハッキリ・・・
「桜太に彼女がいて、彼女と来ててもいいの。そうじゃなくて、なんていうか・・・1人で悩んだりとか、やっぱりあるよな、って・・・ふと思ったから・・・」
「・・・彼女とか・・・女と来たことは無いな・・・。1人で来る時は、なんとなくブラっと気分転換だったり・・・悩んでグダグダしたのは、人生の中で椎娜の事だけ」
自嘲気味に笑うしかない。
暁月、蓮、誠司と会社を立ち上げた時も、悩むより行動だったし、4人ならなんとかなるだろうって、勢いで立ち上げ、なんとか軌道に乗り、ここまできた。
ほんと情けないくらいグダグダして行動出来なかったのは椎娜の事だけだ・・・。
「・・・じゃあ、もう悩まなくていいね」
振り向いて、波に足を絡めながら近づく椎娜の影が落ちる。
「・・・そんなことない」
「?何か悩むの?」
不思議そうな椎娜に両手を広げると、椎娜は手にしていたブーツと靴下を置き、俺の腕に納まった。
椎娜の腰から背中に手を回して、顔が丁度・・・胸の位置。
「・・・好きすぎて、どうしていいかわからない。」
「・・・真似、しないでよ~」
「ふっ・・・同じでしょ」
「うん・・・同じだね・・・」
胸元から見上げる俺の髪を撫でて、サングラスを外し、見下ろす瞳と視線がぶつかる。
「・・・桜太の瞳好き・・・」
「・・・そ?」
「うん・・・ドキドキ・・・する・・・」
椎娜のサングラスを外して、もう一度腰に手を回した。
少し腰を屈めて椎娜が唇を寄せると、額に、瞼に頬に、リップ音を立ててキスを降らせた。
「・・・してくれないの?」
唇に。
椎娜が好きと言った瞳でジッと見つめ、頬を包む手のひらに唇で触れた。
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