209 / 617
六夜【求めよ、さらば救われん。】
6-11
しおりを挟む
「・・・むぅ・・・」
見透かされてる・・・。
堪えるように岐津さんは笑う。
「あのさ、もちろん鍵はあるってことでいいんだよね・・・?送ってったはいいけど外で待つなんて・・・」
「はい、大丈夫です。鍵、あります・・・」
それに岐津さんは、驚き半分な表情で「へ~・・・」と声を漏らしていた。
「・・・なぁんだ。心配しなくてもあいつのド本命じゃねぇか。ったく・・・初々しいねぇ・・・」
「・・・?」
「あ、いやこっちの話」
ニッコリと微笑み、路肩に停車した1台の車を指さした。
「あ、ほらあれ乗って。」
岐津さんが指さしたのはハザードをあげて停まっている1台の黒いワンボックス。
「大丈夫、俺もついてくし、運転俺じゃないし。飲んじゃったからね。」
「・・・はい・・・」
「・・・不安?ちょっと待って。」
岐津さんはスマホを耳に当てる。
「・・・・・・あ、もしもし、悪いな手短に終わるから。あぁ、飯食って今からお前んちに送るとこなんだけど、賢い子だからちゃんと警戒心機能してて、不安みたいで、うん、ちょっと代わるわ」
岐津さんの目と、「はい」と差し出されたスマホの画面の名前。
心臓が大きく鳴る。
少し震える手で受け取って、スマホを耳に当てる。
「・・・もしもし・・・」
『・・・椎娜?』
・・・あぁ・・・だめ・・・
・・・簡単に決壊する、涙の海はいつも即時満タンになる。
それを見て、苦笑している岐津さん。
数日ぶりに耳に響く愛しい人の声。
「・・・っ・・・桜太・・・」
『(笑)・・・離れてて泣いても俺抱きしめられないじゃん、しかも、岐津さんに泣き顔見られちゃうし・・・』
「う・・・だ、って・・・」
『・・・待っててくれるんでしょ・・・?』
「・・・ん・・・いいの?」
『いいよ、いてよ・・・抱きしめたい・・・迎えに行けなくてごめんね・・・岐津さんなら大丈夫だから送ってもらって・・・?』
「・・・わかった・・・」
『ありがとう、家着いたら自由に寛いでていいからね。明日休み?』
「うん、休み・・・」
『そっか、そしたら俺が出る時家に送るね。』
「ん・・・」
『・・・椎娜・・・あとで会えるの楽しみにしてる。』
「・・・うん、私も。」
『じゃあ、岐津さんに代わってくれる・・・?』
画面をさっと拭いてお礼を言って岐津さんにスマホを返した。
見透かされてる・・・。
堪えるように岐津さんは笑う。
「あのさ、もちろん鍵はあるってことでいいんだよね・・・?送ってったはいいけど外で待つなんて・・・」
「はい、大丈夫です。鍵、あります・・・」
それに岐津さんは、驚き半分な表情で「へ~・・・」と声を漏らしていた。
「・・・なぁんだ。心配しなくてもあいつのド本命じゃねぇか。ったく・・・初々しいねぇ・・・」
「・・・?」
「あ、いやこっちの話」
ニッコリと微笑み、路肩に停車した1台の車を指さした。
「あ、ほらあれ乗って。」
岐津さんが指さしたのはハザードをあげて停まっている1台の黒いワンボックス。
「大丈夫、俺もついてくし、運転俺じゃないし。飲んじゃったからね。」
「・・・はい・・・」
「・・・不安?ちょっと待って。」
岐津さんはスマホを耳に当てる。
「・・・・・・あ、もしもし、悪いな手短に終わるから。あぁ、飯食って今からお前んちに送るとこなんだけど、賢い子だからちゃんと警戒心機能してて、不安みたいで、うん、ちょっと代わるわ」
岐津さんの目と、「はい」と差し出されたスマホの画面の名前。
心臓が大きく鳴る。
少し震える手で受け取って、スマホを耳に当てる。
「・・・もしもし・・・」
『・・・椎娜?』
・・・あぁ・・・だめ・・・
・・・簡単に決壊する、涙の海はいつも即時満タンになる。
それを見て、苦笑している岐津さん。
数日ぶりに耳に響く愛しい人の声。
「・・・っ・・・桜太・・・」
『(笑)・・・離れてて泣いても俺抱きしめられないじゃん、しかも、岐津さんに泣き顔見られちゃうし・・・』
「う・・・だ、って・・・」
『・・・待っててくれるんでしょ・・・?』
「・・・ん・・・いいの?」
『いいよ、いてよ・・・抱きしめたい・・・迎えに行けなくてごめんね・・・岐津さんなら大丈夫だから送ってもらって・・・?』
「・・・わかった・・・」
『ありがとう、家着いたら自由に寛いでていいからね。明日休み?』
「うん、休み・・・」
『そっか、そしたら俺が出る時家に送るね。』
「ん・・・」
『・・・椎娜・・・あとで会えるの楽しみにしてる。』
「・・・うん、私も。」
『じゃあ、岐津さんに代わってくれる・・・?』
画面をさっと拭いてお礼を言って岐津さんにスマホを返した。
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる