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七夜【大切なもの、守りたいもの】
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しおりを挟む「椎娜・・・しぃな・・・」
8時を回っても起きる気配のない椎娜の頬に触れて声をかける。
「・・・・・・しぃちゃん・・・」
「・・・?・・・ぅ、・・・?」
「椎娜、おはよ・・・」
「・・・・・・?」
完全に寝ぼけたまま、俺を見る瞳は状況も何も全く分かっていない。
「・・・おぅた・・・?なに・・・?」
「・・・(笑)なに、じゃなくて・・・(笑)ごめんね、気分どう・・・?」
固定された右手の指先に触れて、体調を問えば、少し考えて、「大丈夫・・・」と答えた。
「・・・はずかしぃ・・・」
「?何が??」
「・・・昨日・・・めちゃくちゃだった・・・でしょ・・・」
顔を隠して、ゆうべの自分を反芻しているらしく、思い返される姿に唸り声をあげる。
そう考えられる時点で、いくらか思考はいつもの状態に近い。
「・・・可愛かったよ、『できるよ・・・っ』、って。」
モノマネは似てないけど、椎娜の真似をして言うと、
「!!もぅっ・・・ほんっと!やだっ!あんなワガママ恥ずかしすぎる!!」
「あ~っやめてっ手、痛くなるよっ」
ベッドを転がってピッタリと壁に向かい合うから、転がった勢いで手がどうにかなるんじゃないかと気が気じゃない。
取り乱してパニックになって、後から恥ずかしくなって、それに「うん、大丈夫だよ、気にしないで」なんてテンプレみたいな返事をしたら、それこそ「ほんとね、気にしてるよ」って言ってるようなもんだし、実際俺は気にしていないから、いつも通り、見たことない姿だったし、それも珍しくて可愛いなと思ったまま言葉にした。
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