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九夜【真昼のぬくもり】
9-16
しおりを挟む家主がいない家に招き入れていいものか、普通に考えてダメだろうと、私は2人に1階のエントランスで待っていてもらうようお願いし、急いで身支度を整えて準備をした。
お昼と夜用とナツさんが作ってくれたお弁当はちゃんと冷蔵庫にしまう。
今から化粧をしたら待たせてしまう時間は長くなるし、とりあえず部屋着から着替えて、髪はザックリ整えて1つにまとめ、鏡を見て悲鳴を上げそうになった。
「や、やややや・・・っ!!これは・・・まずい・・・!!」
いくら寝起きだからと言って・・・こんな、こんな・・・!
恥ずかしいくらい、首から胸元に桜太の痕・・・!!
恥ずかしいくらいなんてもんじゃない、恥ずかしくて泣きそう・・・2人は顔色1つ変えてなかったけど、気づいてしまった今、私は今からどんな顔をして2人に会えばいいというの・・・
悩んでも見せてしまった事実は変わらないのに・・・
私は、素知らぬふりをして、襟付きのシャツにパーカーで行く事にした。
・・・恥ずかしさ隠しのマスクも添えて。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「すいません、お待たせしました・・・!」
「「・・・・・・」」
エントランスで待っていた2人は、私を見て顔を見合わせ、ナツさんは顔を逸らして笑いを堪え、柊誠さんは穏やかに笑みを浮かべている。
「・・・マスクしてる、首元・・・寒い?」
「あ・・・え、と・・・」
「ごめんね、大丈夫、愛されてるな~って思っただけだから」
「!!!」
泣きたい・・・その、美しいお顔で言われるなんて・・・
「柊誠さん、そのくらいにしてあげて下さい・・・」
「え?あ、ごめんね・・・?」
「・・・すいません、柊誠さんは、揶揄うとか悪気があるわけじゃなくて・・・」
「本当にそう思ったんだよ?」
「・・・・・・黙ってられないんです」
恥ずかしさで地面にメリ込みそうな私と、フォローをしたいナツさんの言葉をことごとくブチ壊す柊誠さん。
「・・・お、み・・・ぐるしぃもの・・・を・・・すいません・・・」
なんと言ったらいいのか、言葉が本当に見つからず、私は謝りながら頭を下げた。
うぅぅ・・・・・・変な汗が出る・・・・・・
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