徒然なる恋の話

焔 はる

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十六夜【消えたい?消したい?掃除屋との遭遇】

16-21~side by 椎娜~

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「な、ん・・・ッ・・・なんで・・・!!?」


「あ、ごめん椎娜、服、血ぃ着いた・・・」


「そんなのいいよ!!それより、腕・・・!!」


肩を抱く桜太の手には真っ赤な血がべっとりと着いていた。

仕事中のはずの桜太がなんでここにいるのか、なんでゼロは桜太にナイフを向けたのか、なんで・・・なんで・・・桜太が怪我しなきゃいけないの・・・??


スーツのジャケットも中のワイシャツも切り裂かれ、下にだらりと下げた左腕からは指を伝い、ポタポタと血が滴り、アスファルトに赤黒いシミを広げている。


「あ~・・・残念。椎娜ちゃん、まだオレと遊ぼうよ、そいつ、邪魔じゃん?」


ナイフに付着した血液を舐めるように見て、本当に舐めた・・・この人・・・おかしい・・・ッ



「椎娜ちゃん、オレに食べ物くれた。オレ、優しい人好き。だから・・・・・・ね?そいつを消してあげたら、椎娜ちゃんはボスブラザーを選ぶんでしょ?そうしたらオレもずっと一緒にいられるのになぁって。」


・・・え・・・


「なんで知ってるかって?不思議そうだね。そんなの、聴いちゃったからだよ。ボスブラザーとの会話。オレ、椎娜ちゃんが消してって言うなら、なんでも消せるよ?」


ナイフを手先で遊ばせて、ゼロは事も無げに『消す』と言う。


怖い・・・怖い・・・



「椎娜ちゃん、どうしたい?」


「は・・・?」


「そいつ、消してあげようか?そしたらもっと違う楽しい事もあるかもしれないじゃん??気に入らないヤツはオレが消してあげるからさ、こないだもなんか入れ墨がすごくて、すげぇうるせぇヤツ消したんだ、あ・・・思い出した、そいつが「しいな、しいな」って言ってたんだ、だからか・・・聞いた事あるなって思ったんだ。まぁいいや、それがオレの仕事だからね。」




・・・・・・それって・・・・・・



「あ・・・あ・・・」


「しぃ、な・・・聞くな・・・」


桜太の手が背後から私の顔を覆い隠し、腕に抱えて耳を塞いだ。

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