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十七夜【タイトル未定】
17-11
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「・・・・・・桜太、ごめん・・・・・・」
「え?椎娜が謝ることじゃ・・・」
「ううん、私が謝る事なの・・・。桜太の立場をもっと考えるべきだった。桜太は今まで付き合ってきた人と違う、それはこれからも一緒にいたいっていう意味と、社会的な立場、どちらの意味でも。私にとっても、会社にとっても特別なんだって・・・もっと早く理解しなきゃいけなかった・・・ごめんなさい・・・」
私と付き合う事になって、桜太の生活は変わってしまった。
会社での事を桜太は話さないし、私を優先させてくれる、でもそれじゃきっとダメなんだ。
「・・・ごめんなさいって、何・・・?俺は好きな女さえ守っちゃだめなの?」
頭を下げた私に降るのは、震えた桜太の声。
「ちが・・・ッそうじゃなくて・・・」
「椎娜と一緒にいたいから俺は今の立場が欲しかった、でも、そのせいで椎娜を苦しませたり、椎娜が自由でいられないのなら俺は」
「桜太!」
「・・・ッ・・・」
「・・・・・・そうじゃない、そうじゃないでしょ・・・・・・」
桜太が会社を仕事を大切にしている事だってわかってる、仕事が楽しい事も分かってる。
だから、そんな言葉聞きたいんじゃない・・・
「・・・桜太が1人で作ってきた会社じゃないでしょ・・・?暁月さんや蓮さん、誠司さん・・・仲間がいたからやって来れたんじゃないの?だから今だけの感情でそんな事・・・言わないでよ・・・・・・桜太・・・私、やっぱり、今のままじゃ結婚なてできない」
「え・・・椎娜・・・」
「最後まで聞いて、別れたいんじゃない、そうならない為に、全部清算するの。」
岐津さんの事、水無瀬くんの事、見ないようにしてきた生い立ちに関する事・・・
あと・・・・・・桜太には黙っていたけれど、以前付き合っていた何人かの人から時折復縁したいと連絡が来ている事。
返信もしていないし、会ってもいないけれど、モヤモヤした重石は全て清算しないと前に進めないと思った。
「・・・全部なかった事にはできなくても、全部終わらせて桜太に迷惑をかけない潔白の身にならないと結婚は出来ない。」
「・・・・・・前に付き合ってた男にも会うの?」
「・・・うん」
「・・・椎娜、もしそれで何かあったら・・・!」
「・・・・・・でも、今のままじゃ私はまた桜太に迷惑をかけるかもしれない・・・・・・だから・・・私、綺麗な人間じゃないんだよ・・・・・・」
情けなくて涙が出て来た。
桜太が社長の立場を捨てるとか、そんな大変な話よりもっとちっぽけな自分の汚点、黒歴史みたいな過去が、今こうして未来を邪魔しながら足元に巨大な染みとして広がり、前を塞ぐ壁として立ち塞がっていた。
「え?椎娜が謝ることじゃ・・・」
「ううん、私が謝る事なの・・・。桜太の立場をもっと考えるべきだった。桜太は今まで付き合ってきた人と違う、それはこれからも一緒にいたいっていう意味と、社会的な立場、どちらの意味でも。私にとっても、会社にとっても特別なんだって・・・もっと早く理解しなきゃいけなかった・・・ごめんなさい・・・」
私と付き合う事になって、桜太の生活は変わってしまった。
会社での事を桜太は話さないし、私を優先させてくれる、でもそれじゃきっとダメなんだ。
「・・・ごめんなさいって、何・・・?俺は好きな女さえ守っちゃだめなの?」
頭を下げた私に降るのは、震えた桜太の声。
「ちが・・・ッそうじゃなくて・・・」
「椎娜と一緒にいたいから俺は今の立場が欲しかった、でも、そのせいで椎娜を苦しませたり、椎娜が自由でいられないのなら俺は」
「桜太!」
「・・・ッ・・・」
「・・・・・・そうじゃない、そうじゃないでしょ・・・・・・」
桜太が会社を仕事を大切にしている事だってわかってる、仕事が楽しい事も分かってる。
だから、そんな言葉聞きたいんじゃない・・・
「・・・桜太が1人で作ってきた会社じゃないでしょ・・・?暁月さんや蓮さん、誠司さん・・・仲間がいたからやって来れたんじゃないの?だから今だけの感情でそんな事・・・言わないでよ・・・・・・桜太・・・私、やっぱり、今のままじゃ結婚なてできない」
「え・・・椎娜・・・」
「最後まで聞いて、別れたいんじゃない、そうならない為に、全部清算するの。」
岐津さんの事、水無瀬くんの事、見ないようにしてきた生い立ちに関する事・・・
あと・・・・・・桜太には黙っていたけれど、以前付き合っていた何人かの人から時折復縁したいと連絡が来ている事。
返信もしていないし、会ってもいないけれど、モヤモヤした重石は全て清算しないと前に進めないと思った。
「・・・全部なかった事にはできなくても、全部終わらせて桜太に迷惑をかけない潔白の身にならないと結婚は出来ない。」
「・・・・・・前に付き合ってた男にも会うの?」
「・・・うん」
「・・・椎娜、もしそれで何かあったら・・・!」
「・・・・・・でも、今のままじゃ私はまた桜太に迷惑をかけるかもしれない・・・・・・だから・・・私、綺麗な人間じゃないんだよ・・・・・・」
情けなくて涙が出て来た。
桜太が社長の立場を捨てるとか、そんな大変な話よりもっとちっぽけな自分の汚点、黒歴史みたいな過去が、今こうして未来を邪魔しながら足元に巨大な染みとして広がり、前を塞ぐ壁として立ち塞がっていた。
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