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十七夜【タイトル未定】
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「・・・したくたって、好きな男がいる子にそんな事したら俺の負けでしょ。それに、前よりも警戒せずにそこにいてくれるのに、その信頼すら失いたくないんだよ俺は。」
「わッちょッき、づさ、んっ」
「あははは、ざまぁみろっ」
信号待ちの僅かな時間、重苦しい空気を壊すように岐津さんは私の頭をグシャグシャに撫で回した。
「どぉせ桜太を選ぶことなんてわかってんだよ。」
「え・・・」
「当たり前だろ。椎娜ちゃんに俺を選ぶのもありじゃない?って言ったのも嘘じゃねぇけど・・・本気で勝ち目があるなんて思ってもいなかったよ。」
「・・・・・・そんなの・・・・・・」
「・・・勝ち目、あった?」
サングラスの向こうの瞳が真っ直ぐ射抜くように、嘘なんてすぐ見破る瞳が私の心の内を覗いていた。
「・・・ない、です・・・」
「さぁ聞かせてもらおうか、なんて返事を引っ張るのは時間の無駄だ。だって、俺と会ってくれようとした時点て答えは決まってたはずだからな。」
「・・・すいません・・・」
「謝る必要はないさ。きっと椎娜ちゃんには桜太しかいない・・・。男が溢れてたって、椎娜ちゃんが本当に自分を任せられて、愛情に胡坐をかいても自分らしくいられるのは桜太の隣しかないんだろうからな・・・。椎娜ちゃんが桜太の愛情に慣れたり飽きても、桜太は勝手に好きでいたくて、椎娜ちゃんがいれば生きていける奴だから。」
「・・・すいません・・・」
肯定も否定もできない・・・だって本当にその通りだと思うから・・・。
岐津さんは・・・兄弟がいない私にとって初めて安心できる異性の恋人でもない友人でも上司でもない貴重な人で・・・
「・・・岐津さんは・・・失いたくない人です・・・。でも、恋人、という風には見られない・・・すいません・・・桜太しかいないんです・・・」
きっとどの人も、『桜太以上』になり得ないから・・・。
「・・・椎娜ちゃん」
「・・・はい」
「もう謝るの、禁止ね。次謝ったら・・・」
「え・・・」
ふわっと近くなった距離が陽光を遮り、髪を直しながら頬に触れる綺麗な指が唇に触れ、岐津さんの腕とドア、綺麗な顔が間近に迫って閉じ込められ、私は身動きを取れずに固まった。
「・・・次謝ったら・・・キスで塞ぐ。わかった?」
にっこりと微笑む、美魔王・・・(泣)
「・・・わ、かりま・・・した・・・ぁっ」
「よし。」
ぽん、と頭に手が置かれ、魔王の檻から解き放たれる。
・・・うぅ・・・心臓に悪い・・・っ
美魔王の誘惑っ・・・心臓が止まっちゃうよっ・・・!
それは、桜太しかいないなんて大層な事を言ってもこんなにすぐに、大人の色気にノックアウトされる寸前に追い込まれ、それには気づかないで「腹は?減ってない?甘いもんでもいいよな~」と楽しそうにハンドルを握る岐津さん。
きっと、岐津さんに愛される人は幸せだ・・・
私はこれ以上謝るのは失礼に当たると言葉を飲み込み、心の中で感謝の言葉を岐津さんへ向けた。
「わッちょッき、づさ、んっ」
「あははは、ざまぁみろっ」
信号待ちの僅かな時間、重苦しい空気を壊すように岐津さんは私の頭をグシャグシャに撫で回した。
「どぉせ桜太を選ぶことなんてわかってんだよ。」
「え・・・」
「当たり前だろ。椎娜ちゃんに俺を選ぶのもありじゃない?って言ったのも嘘じゃねぇけど・・・本気で勝ち目があるなんて思ってもいなかったよ。」
「・・・・・・そんなの・・・・・・」
「・・・勝ち目、あった?」
サングラスの向こうの瞳が真っ直ぐ射抜くように、嘘なんてすぐ見破る瞳が私の心の内を覗いていた。
「・・・ない、です・・・」
「さぁ聞かせてもらおうか、なんて返事を引っ張るのは時間の無駄だ。だって、俺と会ってくれようとした時点て答えは決まってたはずだからな。」
「・・・すいません・・・」
「謝る必要はないさ。きっと椎娜ちゃんには桜太しかいない・・・。男が溢れてたって、椎娜ちゃんが本当に自分を任せられて、愛情に胡坐をかいても自分らしくいられるのは桜太の隣しかないんだろうからな・・・。椎娜ちゃんが桜太の愛情に慣れたり飽きても、桜太は勝手に好きでいたくて、椎娜ちゃんがいれば生きていける奴だから。」
「・・・すいません・・・」
肯定も否定もできない・・・だって本当にその通りだと思うから・・・。
岐津さんは・・・兄弟がいない私にとって初めて安心できる異性の恋人でもない友人でも上司でもない貴重な人で・・・
「・・・岐津さんは・・・失いたくない人です・・・。でも、恋人、という風には見られない・・・すいません・・・桜太しかいないんです・・・」
きっとどの人も、『桜太以上』になり得ないから・・・。
「・・・椎娜ちゃん」
「・・・はい」
「もう謝るの、禁止ね。次謝ったら・・・」
「え・・・」
ふわっと近くなった距離が陽光を遮り、髪を直しながら頬に触れる綺麗な指が唇に触れ、岐津さんの腕とドア、綺麗な顔が間近に迫って閉じ込められ、私は身動きを取れずに固まった。
「・・・次謝ったら・・・キスで塞ぐ。わかった?」
にっこりと微笑む、美魔王・・・(泣)
「・・・わ、かりま・・・した・・・ぁっ」
「よし。」
ぽん、と頭に手が置かれ、魔王の檻から解き放たれる。
・・・うぅ・・・心臓に悪い・・・っ
美魔王の誘惑っ・・・心臓が止まっちゃうよっ・・・!
それは、桜太しかいないなんて大層な事を言ってもこんなにすぐに、大人の色気にノックアウトされる寸前に追い込まれ、それには気づかないで「腹は?減ってない?甘いもんでもいいよな~」と楽しそうにハンドルを握る岐津さん。
きっと、岐津さんに愛される人は幸せだ・・・
私はこれ以上謝るのは失礼に当たると言葉を飲み込み、心の中で感謝の言葉を岐津さんへ向けた。
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