徒然なる恋の話

焔 はる

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十七夜【タイトル未定】

17-18~side by 桜太~

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俺がゼロに切り付けられた日から1週間。


椎娜は岐津さんと話をすると約束を取り付けて、「返事は決まってるから」という椎娜を信用してないんじゃなくて、あの岐津さんが気持ちを椎娜に伝えたのはかなりマジだという事で、俺はそんな岐津さんが椎娜の気持ちを汲んで引いてくれるとは思えず、俺の知らないところで2人が仲良くなったり、椎娜がこれまで以上に岐津さんに心を開いて懐いてしまったらどうしようと、小さい男にも程があるモヤモヤした状態で椎娜を送り出した。


怪我をした翌日家を訪れた暁月は、出社した時にもピリピリしたままで、貼り付けたような笑顔が怖かったし、かと思えば無駄な優しさや遊びの部分はないのに左腕を庇う動きしか出来ない俺の行動を先回りしてフォローてくれたり、打ち合わせは社内、取引先など外部の人間との接触は全て次週以降に変更するなど頭が上がらない、足を向けて眠れない仕事っぷりだった。


怪我の回復も順調で、医者からも『こんなに早くあの傷がよくなってくるなんて何者だね、君』と言われたけど、ただの人間だ。


割と深かったけれど傷事態がスッパリ、ザックリ綺麗に裂かれていた分、傷跡は残るが案外に綺麗に治るのではないかという話だった。


せっかくの休日なのに椎娜は岐津さんと・・・デート。


俺は大人しく自宅で療養中。


椎娜がいない部屋はガランとして冷えて寂しく「早く帰って来ないかな」と1分おきに考えていた。



今回の件の発端、水無瀬はあれだけで引き下がるとも思えなかったのに、会社に現れる事もなく、椎娜に連絡をしてくる事も今のところないままで、だからこそ不気味だった。





特にやる事もなく、椎娜がナツから借りた漫画を読んだり、そのままうたた寝をたり、俺は久しぶりに静かで寂しい休日を過ごした。



・・・椎娜と付き合うまで、俺・・・どうやって休日を過ごしてたんだっけ・・・そう考えて、あの頃はセフレだったり、女友達だったり、そういう関係の女がいた事を思い出した。






そして18時を過ぎた頃、聴いた事がないほどベロベロに酔っぱらっている岐津さんから、椎娜を迎えに来るように連絡を受け、俺は言われた時刻に間に合うように家を出たのだった。



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