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十七夜【タイトル未定】
17-33
しおりを挟むえ・・・
え・・・・・・
「え・・・」
ようやく声に出た私の手をガシッと掴み、そのうちの1本を桜太の手が握った。
「・・・ほんッッッッと、ばぁぁぁかッ!」
「え、え、え、うぇ、こ、ほ、ぉ?え??」
「椎娜ばぁぁ~~~ッか!!」
「な、え??い、え?」
「返品は受け付けません。椎娜はもう俺のだから、一生外す事は認めません。」
ポケットから出した桜太の手、それに、掴まれてギュッという圧迫感が通過した私の左手の薬指にはキラッと太陽に輝く同じシルバーのリング。
「俺の優先度一番は椎娜。場合によっては仕事もあるかもだけど、俺がいなきゃ回らない会社じゃないし、椎娜がいるから俺は生きていける。子供なんて、この先の事だろ?俺は椎娜じゃない人に産んで欲しいとも思わないし、椎娜との子供だから会いたいとは思う。でも、最優先は椎娜。これは絶対変わらない。」
「桜太・・・」
「あ~~~~まさかこういうプロポーズになるとはなぁ~~~」
「ちょッあっ」
抱き上げられて膝に乗せられ、向いあった私の左手と自分の左手を重ねる。
「椎娜しかいらない、椎娜しか欲しくない、大好きなのは椎娜だけ。」
「・・・・・・桜太・・・」
「結婚してください」
「・・・・・・う・・・ぅ・・・ぅ・・・」
「椎娜さん、お返事してください」
「・・・・・・う・・・うぅぅ・・・す、る・・・ごめ、ん・・・する・・・」
「(笑)、それじゃどっちかわからないじゃん(笑)椎娜・・・今度、おじさんとおばさんにも話ししに行こ?」
「うん・・・ありがとう・・・」
ずっと心にひっかり、棘となって疼き痛みを生む私の産みの両親と育ててくれた今の両親・・・
2人に聞きたくても聞けなかった事、結婚報告の前に話しをしないといけない。
「桜太・・・一緒に来てくれる・・・?」
「・・・当たり前でしょ?1人がいいなら邪魔はしないけど。」
離れた手には同じ指輪がはめられて、ぎゅっと強く握りしめる大きな手。
「ううん、一緒に来て・・・だって、これからもずっと一緒にいてくれるなら、私の事、知っててほしい。」
「いいよ、一緒に行く。」
「ありがとう」
「・・・椎娜、俺・・・ん・・・」
揺らめいて熱が生まれる瞳。
桜太が言葉にするより先に私は桜太の唇を塞いだ。
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