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第七章 戦争
厄災⑤
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だが、遅かった。体が地面に吸い寄せられて、光季は倒れた。
立ち上がれないほどの重力に襲われて骨が軋み、息苦しくなる。
唇からは呻き声が漏れた。
全身を圧迫される苦しみに喘ぎながらも、光季は光弾を放った。
重力操作ではなくジャンプでそれを躱した帝天に、密かに接近していた京弥が斬りかかる。
京弥の日本刀が袈裟がけに帝天の背中を裂いた。光季は重力が消えた隙に立ち上がり、光弾を撃ち込む。
帝天の太腿と肩の肉がふっとんだ。
「やってくれるじゃないか」
帝天の黒い髪が逆立ち、彼の周囲に黒いオーラがゆらゆらと揺れた。
紫色の瞳を爛々と光らせ、帝天は牙を見せてニヤリと笑みを浮かべた。
「な、体がっ!」
落ちている物がふわりと宙に浮いた。瓦礫や折れた木と共に光季達の体も宙に浮き上がる。
どうやら帝天から半径数十メートルぐらいの一帯の重力が限りなくゼロに近くなってしまっているようだ。
「戦ってる最中じゃなかったら、宇宙空間みたいだって笑ってられるんだけどなー」
「水瀬先輩に同感です。ただで宇宙旅行気分なんて最高ですけど、この状況は笑えない」
光季は逆さになりながらも弾を放った。
京弥も接近戦は難しいと判断して銃を構える。
帝天は弾をすべて躱した。無重力に慣れた動きだ。
帝天が三叉槍を手に無重力に弄ばれる一条に肉迫する。
上手く体勢を整えられなかった一条の胸を槍が貫いた。
「くっ、しまった!」
霊体への換装が解けて無防備な生身となった一条を、帝天が殺そうとする。
間一髪のところで無重力圏外にいる武志が狙撃で帝天を一条から遠ざけた。
「助かりました、美作さん。申し訳ないが、俺は撤退します」
戦力減少は痛手だが一条の判断は正しい。霊体への換装が解けた状態で戦っても無駄死にするだけだ。光季は一条を追おうとする帝天を光弾で牽制する。
いつもより速く飛ぶ弾を匠にコントロールして帝天を襲う。
「お前から始末してやろう」
光弾を払い落しながら進撃してきた帝天の突きを避け切れず、肩を貫かれた。飛び散った血が赤い珠になって宙を漂う。
「水瀬先輩っ!」
光季から帝天を引き離そうと、京弥がトリガーを引く。
帝天は舌打ちすると、光季の肩から三叉槍を引き抜いて京弥に襲い掛かった。
京弥はどうにか一撃目を凌いだが、二撃目は避けられず、地面に叩き伏せられて腹を裂かれる。
「くそ、このままやられるかよ」
光季は威力が低い数百発の光弾を浮かせて一斉に放つ。
放たれた光弾は一発も帝天に当たらなかった。帝天が光季を嘲笑う。
「制御を誤ったか。残念だったな」
「外れたと思ったか? 残念でした、外れてないんだよな」
「なに?」
光弾は宙に浮いた無数の瓦礫に当たり、八方から帝天に襲いかかった。
時間差で全方向から飛んでくる瓦礫を避け切ることができず、いくつもの瓦礫が帝天にぶち当たった。
「今だ、やれ京弥っ!」
無重力に慣れてきた京弥が壁を蹴って猛スピードで帝天に突っ込んだ。
京弥の刀が帝天の腹を貫く。ダメ押しで光季は光弾を帝天に撃ちこんだ。
辺りの重力が通常に戻った。相当ダメージは与えたけれど、まだ帝天は死んでいない。
光季は注意深く帝天の姿を探すが、土煙に遮られてなかなか発見できない。
「ぐ、う……、俺がこれほど後れをとるとはな。本当に強い敵だ」
土煙を突き抜けて帝天が上空に浮かんだ。帝天の体は至るところが抉れて片腕が吹っ飛んでいたが、やはり殺せていなかった。
悔しそうな顔をする帝天の背後にブラックホールのような穴が開いた。
逃げるつもりだろう。今後のことを考えれば息の根を止めておきたいが、深追いすると自爆しそうな相手なので光季は攻撃せずにおいた。
「夜鴉の精鋭を一人ぐらい連れ去らないと、わりに合わないな」
帝天が両手を広げ、その背後に暗い穴が開く。
このまま撤退してくれるなんて考えは甘かったようだ。
光季の体が穴に向かって引っ張られ始める。
慌てて近くの街路樹にしがみ付く。
京弥も電信柱に腕を回して足を踏ん張っている。
光季より背が高くてがっしりした京弥は危なげなくしっかり電信柱に抱きついていたが、華奢な光季は重力に吸い寄せられはじめていた。
「やべーな」
下半身が持ち上げられ、街路樹から手が離れてしまった。
強い奔流に呑まれて体が宙に浮く。まるでブラックホールだ。
このままじゃ向こう側に連れていかれる。
頭の中で友人や両親の顔が浮かんで消える。
異界に連れていかれたらどうなるのだろう。
木村みたく妖怪に改造されるのだろうか。
仮に改造されなくても、人間界に出撃して友人や両親を襲わなくてはならないのだろうか。それとも死ぬまで霊力を奪われ続けるのか。絶望的な考えばかりが過る。
もうだめかもしれない。諦めかけた光季の手を、肉厚な手がぎゅっと握った。
「光季、しっかり掴まれ!」
帝天から離れた引力の影響が少ない場所にいたはずの武志が、太い幹に片手でしがみ付いて光季の手を掴んでいる。
「ちょ、なんで?やめて下さい、ムチャですよ、武志さん。いくら武志さんがマッチョだからって、おれを掴んだ状態でこの引力に逆らうなんて無理だって!」
驚いて琥珀色の瞳をまん丸に見開く光季に、武志が優しく微笑みかけた。
「お前はこの前の渡界で危険を顧みずに俺を助けようとしてくれた。そんな可愛い後輩をやすやす見捨てられないだろう。それにお前を攫われたら、虎徹や響に申し訳ない」
「だめだって、武志さん! あんただってあの二人の大事な友人でしょ!」
どんなに懇願しても武志の手は固く握られたままだった。
武志の巨体がじわじわとブラックホールに引き寄せられていく。
武志の腕が幹から離れた。武志の体が完全に浮き上がる寸前に、彼は光季を帝天と逆の方向へ引っ張った。
反動で武志の体が帝天側になる。
「武志さん、なにやって……」
目を丸くする光季の両肩を、武志が渾身の力で京弥の方に突き飛ばす。
京弥が片腕でしっかりと光季を抱きとめるのを見届けると、武志は晴れ晴れとした笑みを浮かべた。
「光季、お前は夜鴉にとって大事な戦力だ。敵側に渡すのは勿体ないぜ」
「武志さん!」
「兄さん!」
「じゃあな、光季、京弥。元気でな」
何かから解放されたような笑みを浮かべたまま、武志は帝天と共に闇の向こうへ消えた。
帝天が異界に帰ったのと同時に、空を覆っていた黒雲が消えていく。
闇が晴れ、一面に鮮やかすぎるコバルトブルーが広がり、燦々と眩しい日差しが降り注いだ。
憎らしいくらいの快晴が目に沁みて、武志が消えた空の彼方を光季は涙目で見上げた。
立ち上がれないほどの重力に襲われて骨が軋み、息苦しくなる。
唇からは呻き声が漏れた。
全身を圧迫される苦しみに喘ぎながらも、光季は光弾を放った。
重力操作ではなくジャンプでそれを躱した帝天に、密かに接近していた京弥が斬りかかる。
京弥の日本刀が袈裟がけに帝天の背中を裂いた。光季は重力が消えた隙に立ち上がり、光弾を撃ち込む。
帝天の太腿と肩の肉がふっとんだ。
「やってくれるじゃないか」
帝天の黒い髪が逆立ち、彼の周囲に黒いオーラがゆらゆらと揺れた。
紫色の瞳を爛々と光らせ、帝天は牙を見せてニヤリと笑みを浮かべた。
「な、体がっ!」
落ちている物がふわりと宙に浮いた。瓦礫や折れた木と共に光季達の体も宙に浮き上がる。
どうやら帝天から半径数十メートルぐらいの一帯の重力が限りなくゼロに近くなってしまっているようだ。
「戦ってる最中じゃなかったら、宇宙空間みたいだって笑ってられるんだけどなー」
「水瀬先輩に同感です。ただで宇宙旅行気分なんて最高ですけど、この状況は笑えない」
光季は逆さになりながらも弾を放った。
京弥も接近戦は難しいと判断して銃を構える。
帝天は弾をすべて躱した。無重力に慣れた動きだ。
帝天が三叉槍を手に無重力に弄ばれる一条に肉迫する。
上手く体勢を整えられなかった一条の胸を槍が貫いた。
「くっ、しまった!」
霊体への換装が解けて無防備な生身となった一条を、帝天が殺そうとする。
間一髪のところで無重力圏外にいる武志が狙撃で帝天を一条から遠ざけた。
「助かりました、美作さん。申し訳ないが、俺は撤退します」
戦力減少は痛手だが一条の判断は正しい。霊体への換装が解けた状態で戦っても無駄死にするだけだ。光季は一条を追おうとする帝天を光弾で牽制する。
いつもより速く飛ぶ弾を匠にコントロールして帝天を襲う。
「お前から始末してやろう」
光弾を払い落しながら進撃してきた帝天の突きを避け切れず、肩を貫かれた。飛び散った血が赤い珠になって宙を漂う。
「水瀬先輩っ!」
光季から帝天を引き離そうと、京弥がトリガーを引く。
帝天は舌打ちすると、光季の肩から三叉槍を引き抜いて京弥に襲い掛かった。
京弥はどうにか一撃目を凌いだが、二撃目は避けられず、地面に叩き伏せられて腹を裂かれる。
「くそ、このままやられるかよ」
光季は威力が低い数百発の光弾を浮かせて一斉に放つ。
放たれた光弾は一発も帝天に当たらなかった。帝天が光季を嘲笑う。
「制御を誤ったか。残念だったな」
「外れたと思ったか? 残念でした、外れてないんだよな」
「なに?」
光弾は宙に浮いた無数の瓦礫に当たり、八方から帝天に襲いかかった。
時間差で全方向から飛んでくる瓦礫を避け切ることができず、いくつもの瓦礫が帝天にぶち当たった。
「今だ、やれ京弥っ!」
無重力に慣れてきた京弥が壁を蹴って猛スピードで帝天に突っ込んだ。
京弥の刀が帝天の腹を貫く。ダメ押しで光季は光弾を帝天に撃ちこんだ。
辺りの重力が通常に戻った。相当ダメージは与えたけれど、まだ帝天は死んでいない。
光季は注意深く帝天の姿を探すが、土煙に遮られてなかなか発見できない。
「ぐ、う……、俺がこれほど後れをとるとはな。本当に強い敵だ」
土煙を突き抜けて帝天が上空に浮かんだ。帝天の体は至るところが抉れて片腕が吹っ飛んでいたが、やはり殺せていなかった。
悔しそうな顔をする帝天の背後にブラックホールのような穴が開いた。
逃げるつもりだろう。今後のことを考えれば息の根を止めておきたいが、深追いすると自爆しそうな相手なので光季は攻撃せずにおいた。
「夜鴉の精鋭を一人ぐらい連れ去らないと、わりに合わないな」
帝天が両手を広げ、その背後に暗い穴が開く。
このまま撤退してくれるなんて考えは甘かったようだ。
光季の体が穴に向かって引っ張られ始める。
慌てて近くの街路樹にしがみ付く。
京弥も電信柱に腕を回して足を踏ん張っている。
光季より背が高くてがっしりした京弥は危なげなくしっかり電信柱に抱きついていたが、華奢な光季は重力に吸い寄せられはじめていた。
「やべーな」
下半身が持ち上げられ、街路樹から手が離れてしまった。
強い奔流に呑まれて体が宙に浮く。まるでブラックホールだ。
このままじゃ向こう側に連れていかれる。
頭の中で友人や両親の顔が浮かんで消える。
異界に連れていかれたらどうなるのだろう。
木村みたく妖怪に改造されるのだろうか。
仮に改造されなくても、人間界に出撃して友人や両親を襲わなくてはならないのだろうか。それとも死ぬまで霊力を奪われ続けるのか。絶望的な考えばかりが過る。
もうだめかもしれない。諦めかけた光季の手を、肉厚な手がぎゅっと握った。
「光季、しっかり掴まれ!」
帝天から離れた引力の影響が少ない場所にいたはずの武志が、太い幹に片手でしがみ付いて光季の手を掴んでいる。
「ちょ、なんで?やめて下さい、ムチャですよ、武志さん。いくら武志さんがマッチョだからって、おれを掴んだ状態でこの引力に逆らうなんて無理だって!」
驚いて琥珀色の瞳をまん丸に見開く光季に、武志が優しく微笑みかけた。
「お前はこの前の渡界で危険を顧みずに俺を助けようとしてくれた。そんな可愛い後輩をやすやす見捨てられないだろう。それにお前を攫われたら、虎徹や響に申し訳ない」
「だめだって、武志さん! あんただってあの二人の大事な友人でしょ!」
どんなに懇願しても武志の手は固く握られたままだった。
武志の巨体がじわじわとブラックホールに引き寄せられていく。
武志の腕が幹から離れた。武志の体が完全に浮き上がる寸前に、彼は光季を帝天と逆の方向へ引っ張った。
反動で武志の体が帝天側になる。
「武志さん、なにやって……」
目を丸くする光季の両肩を、武志が渾身の力で京弥の方に突き飛ばす。
京弥が片腕でしっかりと光季を抱きとめるのを見届けると、武志は晴れ晴れとした笑みを浮かべた。
「光季、お前は夜鴉にとって大事な戦力だ。敵側に渡すのは勿体ないぜ」
「武志さん!」
「兄さん!」
「じゃあな、光季、京弥。元気でな」
何かから解放されたような笑みを浮かべたまま、武志は帝天と共に闇の向こうへ消えた。
帝天が異界に帰ったのと同時に、空を覆っていた黒雲が消えていく。
闇が晴れ、一面に鮮やかすぎるコバルトブルーが広がり、燦々と眩しい日差しが降り注いだ。
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