狙われたその瞳

神名代洸

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そんな話をしているとインターホンが鳴った。シュナイダーはシーッと指を立ててソロリソロリと玄関に向かった。拳銃を構える。リジーは固まって縮こまっている。

「おっ届け物でーす。シュナイダー、中入れて?」
「ちっ、あいつか。」
拳銃をホルスターにしまい、玄関を開けた。するとガバーっと抱きつかれて嫌がって離れている。本気らしいのでなんか笑えてきた。

「この子か。今度の警護対象者は。」
「ああ、あともう1人は別のやつが警護してる。確か旦那持ちだったかな?」
「な~んだよ。ツバ付きか。ならいらないや。」
そう言ってリジーの方を見た。
「彼女は対象者だぞ?そんな目で見るな。」
「へぇ~、これがあんたの趣味か。いい趣味してんじゃん。」
「おい!」
「はーい。お邪魔虫は退散しまーす。あっ、ぼくはイヴァン。宜しくね。まっ、あちらさんが睨んでるから退散するけどね。あっ、これ夕食ね。あとは宜しく。」
言うことだけ言ってイヴァンは出て行った。
困ったやつではあるが、可愛いところもある。だから憎めずにいた。

そこにサミーを警護している仲間から連絡が。

奴らが動き出したようだ。何処からかサミーの情報が出たらしい。サミーに接触を図ろうとした男が網にかかった。

「食事をしたら出る。」
「私は…。」
「君はダメだ。ここにいるんだ。それから念には念を入れて俺以外は中に入れるな。返事もダメだ。」
「はい。分かったわ。でもサミーは大丈夫なのよね。」
「ああ、俺の仲間はそれほど間抜けじゃない。安心してくれ。」
「気をつけてね。」
「ああ。」
「じゃぁ。」

シュナイダーはリジーにはああは言ったが、サミーのことは聞いてなかった。頭になかったのだ。
これで何かあればリジーの気持ちが離れてしまうことはわかっていた。だからすぐに仲間に連絡を取りサミーは大丈夫だと聞いてホッとした。

リジーはこれからのことを考えていた。
もともと付き合わない?と言ってきたのはシュナイダーの方で、リジーは全く考えていなかった。けれども話しているうちにいいかなって思うように…だってサミーだって素敵じゃないって言ってたし、感じ良さそうな人みたいだから。
今のことがあって余計に近くにいるけれど、いずれは自分のあるべき場所に帰って行く人に違いない。ならば付き合って損はないかも。そう思ったの。
時間はたっぷりあるというわけではないけれどある間にロマンスがあったらいいなぁと考えていた。

とりあえずは持ってきた服の中から着替えを出して服を着替える。何処に寝ようかと考えた時、一瞬だけどシュナイダーと一緒に寝ている姿が頭に浮かんだが、そんな邪な気持ちは振り払ってソファーで寝ることにした。小さくなれば寝られなくもないから。
もともとあまり大きくはないし。

3時間ほど経ってシュナイダーが自宅へ帰ってきた時、あかりは付いていたが、ベッドにリジーの姿がなく、慌てた。けれども姿を見ると安心している自分がいた。
「ここじゃなくてベッドに寝ればいいんだよ。俺がソファーで寝るからさ。」
シュナイダーはそう言いながらリジーを抱え上げベッドにそっと寝かしつけた。
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