狙われたその瞳

神名代洸

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シュナイダーの自宅へ行くにも回り道とかして行ったから道は覚えていなかった。
シュナイダー曰く、「追っ手が来ないようにする為、メチャクチャに走ってきたからな。まず巻いただろう。」って。
建物内に入り車を駐車スペースに止めると辺りの様子を伺いながらリジーを車から降ろした。
「ちょっとここまでしなきゃ駄目?なんか大げさな気がしちゃって。」
「大げさなものか。前に警護に着いた時にもこんなことがあったからな。用心するに越したことはない。」
そう言ってリジーを自身の体の陰で隠すと急いでエレベーターに乗り込んだ。
ボタンは最上階を押していた。
「貴方、刑事なのにお給料いいのね。こんな素敵な場所で住めるなんて。」
「そうでもないさ、ここには殆ど帰っては来ない。たまの休みに来るだけだ。だからほら、食料も非常食しか置いてない。」
「確かにそのようね。なら何か買って来ないと。飢え死にしちゃうわ。」
「待て!仲間に持って来させる。何か嫌いなものはあるか?」「いいえ、好き嫌いはないわ。なんでも食べられる。」
「OK。ならメニューはこちらで決めさせてもらうよ。」
そう言うと携帯を取り出しどこかに電話をかけていた。かけ終わると携帯を机に置きリラックスするようにソファに腰かけた。
「君も落ち着いてくれ。ここなら安全だ。」
「どうしてそう言えるの?ここは普通のマンションでしょ?」
「ああ、表向きにはな。実際は住んでるやつ全員が刑事だ。だからます入って来ない。入ろうとしても入り口で止められる。」
「あっ、暗証番号ね?」
「ああそうだ。それが分からなければ入りようもない。」
言われてみればそうだ。
入り口のドアのガラスは防弾ガラス。だとするとまず入って来られない。宅配なんかは管理人が預かることになっている。
もちろん中身は確認するが。
以前送りつけられた爆弾で仲間が殉職したことがあってからはそのようにする決まりとなっている。
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