狙われたその瞳

神名代洸

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お互い話したいことはたくさんあり、何か飲み物をとシュナイダーに言われるまで気づかなかったリジーは冷蔵庫の中からビールを出して渡そうとしたが、仕事中だからと断られ、ジュースを差し出した。

「これでもうストーカーの件は大丈夫よね。後は…。」
「リジー、あなたまだ他にもあったわよね。あっ、言っちゃまずかったかしら。」
「何をだい?」
シュナイダー達は緊張して聞いている。

「いや、あら、大したことじゃないのよ。」
「それを決めるのは君じゃない。僕らの仕事だ。」
そう言って近くにあった椅子を手に彼女のそばまでやって来て座った。
足を組んでリラックスしている姿は見ていてかっこいいと思う。

「で、他にもあるとはどういう事だい?狙われてるのは誰?サミー?それともリジー?」
「そうね…どっちかと言ったらリジーかしら。」
それを聞いたシュナイダーは緊張のせいか唾を飲み込んだ。

「そう緊張しないで。ホントに大したことじゃないから。そうね…言ってしまえばあなたの事よ。これでいい?じゃあこれでこの話はなし。」リジーは真っ赤な顔をして下を向いてしまった。
その姿が可愛く見えてシュナイダーは片手を口元に持っていった。
「俺?」

「ちょっ、サミー、バラさないでよ。恥ずかしいじゃない。」
「そう?あなたは彼が気になり始めてたって言ってたじゃない。なら、何も問題ないわよね。あ~良かった。私はお邪魔みたいだからちょっとでてくわね?」
「それはダメよ!リジー。まだ問題は解決してないのよ?組織的な犯罪グループが関係してるかもしれないのよ?危ないわ。」
「分かったわよ。でも、他の部屋に移動はするわよ?お邪魔みたいだから。」
そういうが早いか隣の部屋へのドアを開け引っ込んでしまった。
イヴァンも手を振りながら隣の部屋に消えた。

リジーは困ってしまった。
サミーにバラされてから余計にシュナイダーの事を気にしてしまっている自分がいる。今は犯罪グループに狙われているから一緒にいるだけ。
警護対象じゃなくなったら離れていくに決まっている。そう考えてしまう自分が嫌だった。

シュナイダーは頭の中で考えていた。
どうやったらリジーといい関係になれるかと言う事を。サミーにはバレてたみたいなのはプロとしてどうかと頭を抱えたが、今まで恋愛から遠ざかっていた為鈍くなっていても仕方がないと思ってはいた。
この仕事で付き合ってきた彼女達と何度別れたか数知れない。皆最初はカッコいいと言うけれど、付き合い始めると色々と言ってくるようになり、仕事にかこつけて自然消滅になっていく事が多かった。
だけどリジーとはいい関係でいたいと仕事をセーブしたりもしていた。上司からは冷やかされているが、周りを気にしてはいられなかったのだ。
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