狙われたその瞳

神名代洸

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リジーからの電話で表に待機していたシュナイダー達は女子トイレにもかかわらずズカズカと入り込んできた。
他に女子はいなかったのでホッとしたリジーだが、まだ油断はできないと思っていた。
この女の言うことがもし本当だとすれば状況は変わらない。
ここから抜け出すためには何が一番得策か?
女を放っておくこともできなかった。
仲間には反対されたが、彼女の言うことがもし本当ならマジでやばいからだ。
目隠ししてどこかに隠しておくことも考えたが、奴らがどう出るかがわからなく、下手なことはできないと思っていたのだ。

一応警察にも一報を入れておいた。
もしもの時の場合を考えてだ。
狙われているのがこれで3人になって、ますます警護が難しくなる。
そこでシュナイダーはある人物にコンタクトを取ることにした。
その人物とは…刑事部長だ。
SPをやっていると色々な人物とコネクションを持つことができ、何かと都合が良かったのだ。
今回はそのつてで地元の刑事部長に連絡を取り、秘密裏にことを進めていった。
彼女はどこに連れて行かれるのかさえわからないだろう…。

「彼女大丈夫かしら?」
「ああ、それは問題ない。知り合いの仲間に頼んできたからな。下手に何かあれば警察が動く。そんなヘマをする奴らじゃないだろう?」
「ええ、そうね。それは間違い無いと思うわ。なら安心ね。でも、犯罪組織をこのまま放っておいても私が解放されるわけじゃ無いわよね。一体どうしたら…。」

「そうだ!罠を貼ろう。奴らに都合のいいように写真を譲るとホームページに載せるんだ。」
「それでどうなるっていうの?奴等がのってくるかしら…。」
「このままでいるよりは良くないか?トカゲの尻尾切りにならないように親玉が出てくるようにしかけるんだ。」
「そう簡単にのってくれるかしら?」
「ホームページに載せる内容はこちらに任せてくれ。後は奴等の出方を伺うだけだ。」
「分かったわ。それ以外に私ができることはないかしら?」
「今のところはないよ。決まったらまた知らせる。とりあえずは待機しててくれ。」
「分かったわ。じゃあ。」

リジーはそう言って部屋の奥に入って行った。
シュナイダーは早速罠を作る事にした。



数日は全くと言っていいほど何も変化は起こらなかった。リジーは【敵さんも諦めたかも…。】そう思っていたのだが、間違いだと気づいた。
だって買うという人が何人も現れたからだ。
誰が本ボシなのかを探らなくてはならなかったが、シュナイダー達はそこらへんも慎重に事を進めていった。絞って3人にまで数を減らしたのだが、まだこの中の誰かはわからない。
緊張が走る。
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