狙われたその瞳

神名代洸

文字の大きさ
30 / 44

【30】

仕事がようやくひと段落できたのはひと月後のことだった。
事後処理はあるが、それはさっさと片付けた。
リジーに会える。そう思うと気持ちが焦った。

シュナイダーは今日は非番ではあるが、何かあった時には呼び出される可能性を考えて動きやすい服装をしていた。
だが今からはリジーに会うのだ。嬉しさが顔に出ているのかニヤついていると同僚にからかわれて別れたのだった。

「ったく、あいつら~覚えてろよ!」
とは言いながらも嬉しさは消せなかった。
待ち合わせ場所はお互いの自宅からちょうどいい中間にしていた。


待ち合わせの時間は10時だ。
まだ今は9時半になったところ。気持ちが焦って…ガキかと思うと笑えた。
リジーに会える。
ただそれだけなのに気持ちが高揚した。
あれもしたい、これもしたいと思うことはたくさんあるが、まずは会ってからだ。




10時になった。
だけどまだリジーの姿はない。
何かあったのか?
また?
いや、まさか…な。事件は片付いたし、犯人も取っ捕まえたから今頃は留置所の中だ。気にすることはない。
5分過ぎ、10分が過ぎた頃リジーがこっちに向かって走ってくるのが見て取れた。
焦らなくてもいいのに…。そんな姿も可愛らしい。

「ご、御免なさい!アレコレと準備に時間がかかっちゃって…間に合うと思ったんだけど…。」
「いや、いいよ。特に何もなかったんだからさ。」

リジーは今日もジーンズだ。
動きやすさと可愛さを上手に持っていて思わず抱きしめたくなったが、ここは人通りが多い場所なのでグッと堪えた。

「さっ、行こうか。」
「ええ、そうね。そうしましょう。」

2人は手を繋ぎながらその場を後にした。
その後をつける二つの影…まだ2人は気づいていない。



「さぁ、何しようか?」
「そうね~、何しようかしら。これと言って決めてなかったわ。シュナイダー、貴方はどう?」
「そうだな…、俺ならあそこに行くな。」
「あそこってどこ?」
「ついておいで。」そう言いながらさりげなく手をつかんだシュナイダーは人ごみをかき分けてぐんぐんと前に進んでいく。






「チッ。早いな。」
男は一言そう言ったがそれ以上言葉を発しなかった。連れの男も同様だ。
彼らは一体?






着いた先は喫茶店も兼ねた大型書店だった。
なぜこんな場所を選んだかというと、人が大勢いるから。
何かあった時には隠れて逃げられる…そんな考えからだった。なぜかそうしなければと思ったのだ。もう脅威はなくなったはずなのに誰かにつけられている感じがして仕方がなかったのだ。それがまさか仲間からだとは夢にも思わなかったが。
それを知るのはもう少し後の事。
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。 【感謝】 第19回恋愛小説大賞にて奨励賞を受賞しました。 ありがとうございます。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

触れられないはずの私が、ただ一人の彼にだけ心も体も許してしまいました

由香
恋愛
男性に触れられると体調を崩す令嬢リリア。 そんな彼女にとって唯一“触れられる”存在は――幼なじみの公爵令息レオンだけだった。 手を取られ、抱き寄せられ、当たり前のように触れられる日々。 それがどれほど特別なことなのか、彼女はまだ知らない。 やがて政略結婚の話が持ち上がり、“触れられない相手との結婚”か、“彼に触れられる人生”かを選ぶことに。 「お前に触れていいのは俺だけだ」 逃げ場のない独占と、甘すぎる溺愛。 これは、触れられないはずの少女が、ただ一人にだけすべてを許していく物語。

冷酷公爵と呼ばれる彼は、幼なじみの前でだけ笑う

由香
恋愛
“冷酷”“無慈悲”“氷の貴公子”――そう恐れられる公爵アレクシスには、誰も知らない秘密がある。 それは、幼なじみのリリアーナの前でだけ、優しく笑うこと。 貴族社会の頂点に立つ彼と、身分の低い彼女。 決して交わらないはずの二人なのに、彼は彼女を守り、触れ、独占しようとする。 「俺が笑うのは、お前の前だけだ」 無自覚な彼女と、執着を隠しきれない彼。 やがてその歪な関係は周囲を巻き込み、彼の“冷酷”と呼ばれる理由、そして彼女への想いの深さが暴かれていく―― これは、氷のような男が、たった一人にだけ溺れる物語。