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第一章 神童と呼ばれた第一王女 

11 追放

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予想以上に味方がいなかった。
暗殺をしようとしたのは父らしい、というのは母との話で察せられた。

ベルタもベルトルドとともにドーリア伯のところに帰ってしまったようで、母の侍女も一人は部署替え、一人は刺殺された上で川に浮かんでいたらしい。
ボクが刺した暗殺者のうちの一人だったのではないだろうか。
一緒に川に浮かんだ恋人の騎士と無理心中したという形で事件は処理されているらしい。

母としては母の兄であるフロライト伯の所へ引くことを考えていた様だが、フロライト伯にも断られてしまったらしい。
フロライト伯はボクが見る限り、情は厚いが空気を読みすぎる人だ。母にとっては非常に意外だったようだが、おそらく、父である王から圧力がかかったのだろう。
そういった状況をはねつけられるほどの豪胆さはあの人にはないと思う。

結局この国にボクの居場所はなさそうだ。
先生と一緒に東方大陸に逃げるしかなさそうである。
先生も暗殺者が昨日の今日で襲ってくるとまでは読んでいなかったようで、日程を早め、今夜には出発することになった。

「お母さまは来ないでください」
「いいえ、あなたについていくわ」
「ヨハンとコーディはどうするんですか!」
「私がいた方が二人は危ないわ。フロライト伯も二人の貢献は引き受けてくれたし、ベルタやキアラも二人を守るのは約束してくれているから大丈夫よ」
「しかし!!」
「あなたが心配なのよ、アデライド」
「喧嘩してる暇はないよ、白いのと青いの。向こうについたら好きなだけ喧嘩していいからな」
「先生! しかし!!」

二人旅だと思っていたにも関わらず、母がついてくることになってしまった。
弟ヨハンと妹コーディリアはどうするのか。コーディリアなんてまだ2歳にもなっていないのに。
そう思うのだが、母は一切譲る気配を見せない。先生も止めるつもりはないらしい。

結局ボクの反対は押し切られ、夜の闇に隠れるように、三人で東方大陸へと旅立つことになった。




先生の用意した書類と鼻薬で、王都を抜け出したボクたちは、王都近くの港に到着し、そこから東方大陸へと渡ることになる。

のちに伝え聞いたところによると、ボクと母は追放処分ということになっており、弟ヨハンは子のいなかったフロライト伯の嫡子に、妹コーディリアはバドリオ候の嫡子の婚約者になったらしい。
そうして王は、後妻を迎え、後妻との間に生まれた、ボクの一つ下の隠し子を嫡子として迎えたという。
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